ゴールデンサークル理論とは?
ゴールデンサークル理論とは
・なぜ?(Why)
・どのように?(How)
・何を?(What)
の順番で話を展開していくと、共感を生み、相手を行動させやすくなるという理論のことです。
この理論は、マーケティングコンサルタントのサイモン・シネック氏が2009年のTEDのプレゼンで話し、提唱されました。
彼は、Appleやキング牧師、ライト兄弟などの成功事例を分析し、どうすれば人の感情を動かすことができる伝え方ができるかを研究しました。
その結果彼らには共通点があり、それが「なぜ」を重視したメッセージを最初に発信していた点です。
従来の伝え方では、「何を」「どのように」を説明し、最後に「なぜ」を伝えるという順番が一般的です。
しかし、この順番では、聞き手の感情に訴えかける力が弱く、共感を得にくいという欠点があります。
「何」 から語る人は、商品を売る際に商品のスペックや機能ばかりを語ってしまい、人を行動させることができません。
「なぜ」 から語る人は、その商品がなぜできたのか、なぜ売っているのかを語り、人の心を動かします。
人は、感情で買い、論理で正当化するという、コピーライティングの基礎的な概念があります。
つまり、人はすべての意思決定を感情で行っており、論理的に正しいかどうかではなく、感情が動けば行動してしまうのです。
あなたもこんな経験ないですか?
商品が欲しいと感情で思い購入し、奥さんになぜその商品を勝ったのか?理由を正当化して説明する。
例えば
私の場合、キャンプが好きなので何台も焚き火台を持っているのにまた新しい焚き火台を購入し、奥さんに今しか買えないから!とかセールで安くなっていたから!と論理で正当化して説明したことが何度もあります。
これが人は、感情で買い、論理で正当化するなのです!
話を戻すと、「なぜ」を語ることは、その思いや理念、理想の世界を語ることであり、相手の心(感情)を動かし、行動させる唯一の方法なのです。これを感情設計と言ったりもします。
そして、ゴールデンサークル理論では、「なぜ」を最初に伝えることで共感を生み、相手を行動させやすくすることができるのです。
これは科学的にも証明されていて、「なぜ」を最初に伝えることで、聞き手の大脳辺縁系と呼ばれる、感情や本能を司る脳の部分に直接訴えかけることができるそうです。
後ほど詳しく説明しますが、このゴールデンサークル理論を知っておくことで、ビジネスシーンだけでなく、日常生活でも応用できます。
例えば、友人と旅行を計画する際に、「なぜ」を語ることで、相手を動かしやすくなります。
なぜ、そこに行きたいのか!どんななぜのストーリーを語るかで相手が感情的に納得し、承諾を得やすくなります。
ゴールデンサークル理論を活用できる分野について
では、ゴールデンサークル理論が使えるシーンにはどんな場面があるでしょうか?
・マーケティング
・ブランディング
・プレゼンテーション
・営業
・リーダーシップと組織開発
・採用活動
・日常生活
順番に詳しく解説していきます。
マーケティング
顧客の共感を得ることができます。
商品やサービスの機能や価格だけでなく、企業の理念やビジョン、商品開発の背景にある「想い」を伝えることで、顧客は感情的な共感を覚え、商品やサービスに特別な価値を見出すようになります。
またまたキャンプの例で申し訳ないのですが、凄く良いマーケティング施策をしているのでご紹介します。
キャンプブランドでYOKAというのがあります。
この会社の代表角田さんはキャンプ用品の開発過程を全てYouTubeでアップしています。
最近は次世代の七輪の開発を行なっていて、初号機か完成品までを全て動画で公開しています。
商品の機能を伝えることはもちろんですが、なぜ七輪に目をつけたのか?どんな想いで七輪開発をしているのか?
しっかりとなぜを伝えいるのです。
そして、全ての過程を見せつつ、次世代型の七輪として、クラウドファンディングにも挑戦し10日前後で目標額に到達しています。
もちろん私もサポーターの一人です。
では、なぜサポーターになったのか?を言語化すると、この七輪が欲しいと思ったのもありますし、YOKAさんの理念や想いに共感し、応援したくなったというのも理由の一つです。
このようになぜから伝えることで、共感を生み、サポーター(ファン化)することができる良い例だと思います。
マーケティングの勉強になるので、興味がある方は見てみてください。
公式YouTube:YOKA
クラウドファンディング:Kibidango YOKA七輪
熱狂的とまでは言わないですが、ファンになってくれれば、私のように自発的に宣伝もしてくれるようになるので、なぜから伝えることは非常に強力なのです。
マーケティングにおけるゴールデンサークル理論の活用
・顧客の共感を得ることができる
・ブランドストーリーの構築ができる
・なぜを伝えることで独自性が生まれ差別化できる
ブランディング
マーケティングと被る部分もありますが、ブランディングにおいてゴールデンサークル理論が有効な理由について深ぼってみていきましょう。
まずは、顧客の心を掴み、共感と信頼に基づいた強力なブランドを構築するための基盤を作ることができます。
ブランド構築は、単にロゴやデザイン、広告展開といった表面的な要素だけでなく、企業の存在意義や顧客に提供する価値、ブランドが目指す世界観を明確に定義し、顧客に伝えることが重要です。
ゴールデンサークル理論をブランディングで活用するポイントは以下の3点です。
1→「Why」を核としたブランドアイデンティティの確立
企業のミッション・ビジョン・バリュー(MVV) を明確に定義し、それをブランドの「Why」として核に据えることで、ブランドの存在意義を明確化することができます。MVVは、企業の行動指針、目指す未来、顧客に提供する価値を表すもので、ブランドストーリーの根幹を成します。
「Why」を明確にすることで、以下の効果が期待できます。
・社内の一体感を高める: 全社員が共通の理念を理解し、共感することで、組織全体が同じ方向に向かって進むことができます。
・顧客との共感を生み出す: 顧客は企業の理念やビジョンに共感することで、ブランドに愛着を持ち、ロイヤルカスタマーへと育ちます。
・競合との差別化を図る: 多くの企業が機能や価格で競争する中、明確な「Why」を持つブランドは、独自性を持ち、顧客に選ばれる理由を明確に示すことができます。
2→「How」と「What」を通じて「Why」を体現する。
ブランドの「Why」を実現するために、具体的な商品やサービス(What)を開発し、独自のマーケティング戦略やコミュニケーション方法(How)を通じて顧客に伝えます。YOKAさんの例だと七輪がWhatでHowの部分がYouTube。
3→一貫したメッセージで「Why」を伝える。
あらゆるコミュニケーションにおいて、「Why」を中心としたメッセージを発信することで、顧客の心にブランドイメージを深く刻み込むことができます。YOKAさんが狙ってやったのかは聞いてないので分かりませんが、職人気質で想いが先行していれば、自然とそうなってしまうのかも知れません。
YouTubeに限らず、ウェブサイト、広告、SNS、パンフレットなどでも有効です。ただし、ファン化させやすい媒体の順番としては動画媒体→音声媒体→文字媒体です。
プレゼンテーション
ゴールデンサークル理論は、プレゼンテーションにおいても聴衆の心を掴み、共感を得て行動を促すための効果的な手法として活用できます。
従来のプレゼンテーションでは、お伝えした通りWhat(何を)、How(どのように)といった具体的な情報(商品スペックなど)が中心になりがちでした。
しかし、ゴールデンサークル理論では、Why(なぜ)を最初に伝えることで、聴衆の感情に訴えかけ、共感を先に得ることでその後のHow、Whatをより理解しやすく、納得しやすくさせられる効果があります。
詳しく見てみましょう。
1→Why:聴衆の心を掴む「なぜ」を伝える
プレゼンテーションの冒頭で、なぜこのプレゼンテーションを行うのか、その目的や背景、伝えたいメッセージの背にある信念や情熱を明確に伝えます。聴衆は、話し手の熱意や信念に共感することで、話に引き込まれ、より深く内容に耳を傾けるようになります。
例えば、新製品のプレゼンテーションを行う場合、「この製品は~という優れた機能があります(What)」と説明する前に、「私たちは、お客様の~という課題を解決するために、この製品を開発しました(Why)」と伝えることで、聴衆は製品の開発背景にある「想い」に共感し、製品への興味関心を高めることができます。
2→How:具体的な方法やプロセスを説明する
Whyで聴衆の心を掴んだら、Howで具体的な方法やプロセスを説明します。
Whyを実現するために、どのような手段や戦略を用いるのか、どのようなプロセスで進めるのかを分かりやすく説明することで、聴衆は提案内容を理解し、納得することができます。
例えば、新製品のプレゼンテーションであれば、その製品がどのように開発されたのか、どのような技術が使われているのか、どのような特徴があるのかを具体的に説明することで、Whyで語った「想い」を裏付け、製品の価値をより深く伝えることができます。
3→What:具体的な内容や提案を示す
Whatで具体的な内容や提案を示し、聴衆に求める行動を明確にします。
ここまでWhy、Howで説明してきた内容を踏まえ、Whatで具体的な提案や結論を提示することで、聴衆はプレゼンテーションの全体像を理解し、次のステップへ進むことができます。
例えば、新製品のプレゼンテーションであれば、製品の価格、発売日、購入方法などを具体的に提示することで、聴衆は「製品を購入する」という具体的な行動をイメージしやすくなります。
営業
営業活動においても、ゴールデンサークル理論は顧客の心を掴み、成約率を高めるために非常に効果的です。
従来の営業手法では、商品やサービスの特徴やメリット(What)を説明し、顧客に購入を促すことが一般的でした。
しかし、多くの場合、顧客は「なぜこの商品が必要なのか?」「なぜこの会社から購入する必要があるのか?」という疑問を抱き、購入に踏み切れないことがあります。
ゴールデンサークル理論を活用することで、顧客の感情に訴えかけ、共感と信頼を獲得し、「なぜ」を購入するのかを理解してもらうことで、成約率の向上につなげることができます。
営業活動におけるゴールデンサークル理論の3つのポイント
1→Why:顧客の課題解決や目標達成に貢献する「なぜ」を伝える
商品やサービスを販売する際に、顧客にとってどのような価値を提供できるのか、なぜその商品やサービスが顧客の課題解決や目標達成に貢献できるのかを明確に伝えましょう。顧客は、商品やサービスが自分のニーズを満たし、より良い未来を実現するための手段であると認識することで、購入意欲が高まります。要するに理想の未来像を想像させましょうと言うことです。
2→How:商品やサービスの独自性や価値を伝える「どのように」
顧客の課題やニーズに対して、自社の商品やサービスが「どのように」解決できるのか、具体的な方法やプロセスを説明することで、顧客の理解を深めます。競合他社との差別化ポイントを明確に示し、自社の商品やサービスならではの価値をアピールすることで、顧客は納得感を得て購入へと傾きやすくなります。
3→What:顧客が求める具体的な商品やサービスを提示する「何を」
Why、Howで顧客の心を掴み、自社の価値を理解してもらった上で、顧客のニーズに合った具体的な商品やサービスを提案します。提案内容を明確にすることで、顧客は購入イメージを持ちやすくなり、成約へと近づきます。
例え、携帯ショップ店員
携帯ショップの店員で、ビジネスの勉強をせずに営業している人は、商品のスペックや機能ばかりを語ってしまいがちです。
しかしそれでは、顧客は購入意欲を感じません。
商品を売りたい場合、まず語るべきは商品のスペックや機能といった「何」ではなく、 その商品がなぜできたのか、なぜ売っているのかという「なぜ」 なのです。
リーダーシップ
リーダーシップにおいても、ゴールデンサークル理論は部下の心を掴み、共感を得て行動を促す、強力なツールとなりえます。
従来のリーダーシップでは、What(何を)、How(どのように)といった指示や命令が中心になりがちでした。
しかし、これだけでは部下は指示に従う理由を見出せず、モチベーションが低下してしまう可能性があります。
ゴールデンサークル理論を用いることで、リーダーはまずWhy(なぜ)を部下と共有し、部下に行動の目的や意義を理解させ、共感を得ることで、自発的な行動を促し、チーム全体の目標達成へと導くことができます。
この山を一緒に登れ!と命令するのではなく、この山を一緒に登って壮大な景色を一緒に見よう!と言うようになぜ登るのかを伝えることが重要です。
これはビジネスにおいても同じで、ただ作業をやれ!と言うのではなく、社長が部下に対して目標や理想の未来を提示し、、なぜその目標を達成したいのか?を伝えることで部下も一緒に頑張りたいと思いモチベーションが上がります。※厳密に言えばなぜ?だけではなくストックオプションなどの金銭的な理由でモチベーションが上がっている場合もありますが、ここでは割愛します。
1→Why:部下の心を掴む「なぜ」を伝える
リーダーは、なぜこの目標を達成する必要があるのか、その目標達成によってどのような未来が実現するのか、といったビジョンや信念を明確に示す必要があります。部下は、リーダーのWhyに共感することで、自分たちの行動が大きな目標に繋がっていることを実感し、モチベーションを高めることができます。
2→How:具体的な方法や戦略を共有する
Whyを共有した後は、Howで具体的な方法や戦略を示し、部下が行動を起こせるように導きます。目標達成のために、どのようなプロセスで進めるのか、どのような役割分担が必要なのかを明確に示すことで、部下は迷うことなく行動に移すことができます。この考えマニュアル化する時に非常に重要な概念です。
3→What:具体的な行動や成果を明確にする
最後に、Whatで具体的な行動や成果を明確にします。部下は、Whatを理解することで、自分たちが何をすべきかを具体的に把握し、目標達成に向けて努力することができます。またWhyを共有しておくことで、自走する組織を作ることもできるようになります。なぜなら、最初に言いましたが、人は感情で動き、論理で正当化します。リーダーが「なぜ」を語ることで、メンバーは感情的に共感し、自発的に行動するようになるからです。
採用活動
採用活動においても、企業理念やビジョン(Why)を効果的に伝えることで、企業に共感し、共に成長したいと考える求職者を引きつけることができます。
従来の採用活動では、給与や福利厚生、仕事内容(What)、スキルや経験(How)といった情報が中心になりがちでした。
しかし、これらの情報だけでは、求職者は企業の独自性や魅力を感じにくく、他の企業との差別化が難しくなります。
ゴールデンサークル理論を活用することで、求職者は企業の存在意義やビジョンに共感し、その企業で働くことへのモチベーションを高めることができます。
採用活動におけるゴールデンサークル理論の3つのポイント
1→Why:求職者の心を掴む「なぜ」を伝える
企業は、なぜその事業を行っているのか、社会にどのような価値を提供したいのか、といった企業理念やビジョンを明確に伝え、求職者の共感を得ることが重要です。企業の理念やビジョンに共感する求職者は、その企業で働くことに意義を感じ、自発的に行動し、貢献意欲の高い人材となる可能性が高まります。
2→How:企業文化や働き方を伝える「どのように」
Whyで示した理念やビジョンを、どのように実現しているのかを具体的に示すことが重要です。企業文化や働き方、社員教育制度、福利厚生など、求職者にとって魅力的な情報を伝えることで、企業への興味関心を高め、入社意欲を高めることができます。
3→What:具体的な仕事内容や募集要項を提示する「何を」
Why、Howで企業の魅力を伝え、求職者の共感を得た上で、具体的な仕事内容や募集要項を明確に提示します。募集ポジションの役割や責任、求められるスキルや経験、キャリアパスなどを具体的に示すことで、求職者は入社後のイメージを持ちやすくなり、応募へと繋がりやすくなります。
日常生活(自己分析)
ゴールデンサークル理論は、ビジネスシーンだけでなく、日常生活においても、目標達成、人間関係の改善、自己成長など、様々な場面で応用することができます。
日常生活では、日々の行動や選択に追われ、「なぜ」それをやっているのか、という目的意識を見失いやすいです。
ゴールデンサークル理論を意識することで、より充実した、意味のある人生を送ることができるでしょう。
1→Why:人生の目的、価値観を明確にする
日常生活におけるゴールデンサークル理論の出発点は、「なぜ」を明確にすることです。
例えば
・自分の人生で本当に大切なことは何か?
・どのような価値観に基づいて行動したいのか?
・どんな人間になりたいのか?
これらの問いに向き合い、自分自身のWhyを明確にすることで、日々の行動に目的意識が生まれ、より充実感を感じることができるようになります。
2→How:目的を達成するための具体的な方法を考える
Whyを明確にした後は、Howで具体的な方法を考えます。
例えば
・目標達成のためには、どのような行動が必要なのか?
・どんなスキルを身につける必要があるのか?
・どんな人と関わるべきなのか?
具体的なHowを考えることで、Whyを実現するための道筋が見えてきます。
3→What:日々の行動、選択を決定する
最後に、Whatで日々の行動や選択を決定します。
例えば
・仕事、勉強、趣味、人間関係など、様々な場面で、自分が本当にやりたいこと、やるべきことは何か?
Why、Howを意識することで、What、つまり日々の行動や選択が、より明確になり、迷いが減るでしょう。
他にも、友人と旅行の計画を立てる場面を考えてみてください。
・従来型: 来月、みんなでヨーロッパ旅行に行こう!
・ゴールデンサークル理論型: 最近はみんな忙しくて、なかなか会えなくなってしまったよね。 これから先も、こうやってみんなで同じ時間を過ごせるかどうか分からない。だから、今この瞬間を大切にしたいと思って、みんなで思い出に残る旅行に行きたいんだ。 だから、みんなでヨーロッパに行こう!
後者の方がみんなでヨーロッパに行けそうな感じがしますよね。
ゴールデンサークル理論がマーケティングに役立つ理由
ここまで読んだ方はゴールデンサークル理論がどのようなプロセスで人に行動を促すか完璧に理解できたと思います。
ここでは今一度マーケティングでこのゴールデンサークル理論が役立つ理由を深ぼって見ていきましょう。
人の脳を刺激する?
ゴールデンサークル理論は、人間の脳の構造と働きに合致したコミュニケーション方法であるため、人の心を動かし、行動を促すのに効果的なのです。
人間の脳は、理性的な思考を司る大脳新皮質と、感情や本能を司る大脳辺縁系という2つの構造でできています。
一般的な「What」→「How」→「Why」の順番の説明では、大脳新皮質には理解できても、大脳辺縁系には訴えかける力が弱いため、共感や行動意欲に繋がりづらいです。
しかし、ゴールデンサークル理論に基づいた「Why」→「How」→「What」の順番の説明では、最初に「Why」を伝えることで、大脳辺縁系に直接働きかけ、感情や直感を刺激することが可能です。
感情が揺さぶられ、共感を得た状態で「How」「What」を伝えることで、人は納得感を持って行動しやすくなるのです。
例えば、Appleは商品スペックではなく、世界を変えるという「Why」を伝えることで、顧客の共感と購買意欲を高めています。
イノベーター理論に沿っている
ゴールデンサークル理論は、イノベーター理論において重要な「イノベーター」と「アーリーアダプター」を獲得するのに有効な方法です。
イノベーター理論とは、新商品やサービスの普及プロセスを、消費者を5つのタイプに分類して分析する理論です。
特に、初期市場を形成する「イノベーター」と「アーリーアダプター」は、新商品やサービスに対して他の層よりも早く反応を示し、市場全体の購買意欲に影響を与えるため、重要な顧客層とされています。
商品が爆発的に広まるかはこの「イノベーター」と「アーリーアダプター」がどれだけ反応するかで決まります。
「イノベーター」と「アーリーアダプター」は直感を重視するため、「Why」を強調することで共感を呼び、購買意欲を高めることができます。
つまり、ゴールデンサークル理論を用いることで、より多くの顧客を獲得し、市場に商品やサービスを浸透させることが期待できるのです。
価値観の多様化
現代社会では、価値観の多様化や社会課題への意識の高まりを受け、消費者は単なる商品やサービスの機能・価格だけでなく、企業の理念やビジョン、社会への貢献にも目を向けるようになっています。
「Why」を明確に伝えることは、企業の存在意義や社会的な価値を顧客に共有することとなり、信頼感の獲得、ブランドロヤリティの向上に繋がります。
例えば、パタゴニアは環境保護を重視する企業として知られており、環境問題に関心の高い消費者から支持を得ています。
ゴールデンサークル理論を自己紹介に取り入れる
ゴールデンサークル理論を自己紹介に応用する方法はLineの友達追加特典として配布しています。
展示会などで魅力的な自己紹介で相手の心をグッと掴む方法について詳しく解説しています。
展示会だけでなく、就職活動や歓迎会など自己紹介をする場面で自分の武器として一つ作成しておいてもいいのではないでしょうか?
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ゴールデンサークル理論の事例と具体例
ここでは実際に大手企業などが、どのようにこのゴールデンサークル理論を取り入れているのかについて掘り下げてみてみましょう。
Apple
Appleは、ゴールデンサークル理論を最も効果的に活用している企業の一つとして広く知られています。
彼らのマーケティング戦略は、「なぜApple製品を選ぶのか」という問いに答えることから始まります。
・Why: Appleは、世界を変えるという信念を持ち、現状に挑戦し、他者と違う考え方に価値があると信じています。
・How: その信念を実現するために、美しくデザインされ、直感的で使いやすい製品を開発しています。
・What: その結果として、Mac、iPhone、iPadなどの革新的な製品が生まれています。
Appleは、製品の機能やスペックを強調するのではなく、「Apple製品を使うことで、人々がより創造的で自由になれる」 という感情的な価値を訴求しています。
これは、消費者の大脳辺縁系(感情や意思決定を司る脳の部分)に直接訴えかけることで、共感と購買意欲を喚起する効果的な戦略です。
Wantedly
Wantedlyは、従来の求人情報サービスとは異なるアプローチで、ゴールデンサークル理論を活用しています。
彼らは、「なぜ仕事をするのか」 という本質的な問いから始め、求職者と企業の共感に基づくマッチングを目指しています。
・Why: Wantedlyは、仕事を通して、人々が自分の才能や情熱を活かせる社会を実現したいと考えています。
・How: そのために、企業理念やビジョン、働く人の想いを重視した求人情報プラットフォームを提供しています。
・What: 求職者は、企業のカルチャーや仕事内容への共感に基づいて仕事を探すことができます。
Wantedlyは、給与や待遇といった条件面よりも、企業理念や仕事内容への共感を重視することで、求職者と企業のより深い結びつきを生み出しています。
アイデアプラス
アイデアプラスは、社内教育にゴールデンサークル理論を取り入れています。
・Why: 社員のモチベーション向上と組織全体の一体感を高めることを目的としています。
・How: 社員に対して、自社の存在意義や付加価値を明確に伝え、共感を促しています。
・What: 社員教育の一環として**「ゴールデンサークル」理論を学ぶ時間を設けています。
アイデアプラスは、社員一人ひとりが 「なぜこの会社で働くのか」 を理解することで、より高いモチベーションと帰属意識を持つようになり、組織全体の活性化につながっています。
パラドックス
パラドックスは、ブランディングサービスを提供する企業として、ゴールデンサークル理論を顧客企業のブランドストーリー構築に活用しています。
・Why: パラドックスは、企業独自の価値である「こころざし」を抽出し、ブランディングを通じてその実現に貢献することを使命としています。
・How: 企業の「こころざし」をミッションストーリーとして具体化し、顧客に共感を与えるブランドストーリーを構築します。
・What: コーポレートブランディング、採用ブランディング、カスタマーブランディングなど、様々なブランディングサービスを提供しています。
パラドックスは、「なぜその企業が存在するのか」「その企業は何を成し遂げたいのか」 を明確にすることで、顧客の心を捉える独自のブランドストーリー作りを支援しています。
これらの事例からわかるように、ゴールデンサークル理論を効果的に活用するためには、「Why」 を明確にすることが重要です。
「なぜ私たちはこれを行うのか」 という根本的な問いを掘り下げ、共感を生み出す強いメッセージを伝えることが、顧客や社員の心を動かし、行動を促す鍵となります。
ただし、ゴールデンサークル理論のWhyだけをゴリ押しすれば良いと言うわけではありません。
HowとWhatで提供されている商品やサービスが良いというのは大前提にあります。
HowとWhatが素晴らし結果Whyの訴求の効果が一層増すのです。
もしYOKAさんの七輪という商品が良い物ではなく、想いだけ伝えられても支援はしなかったと思います。
まとめ:ゴールデンサークル理論をうまく使って人を巻き込もう
ゴールデンサークル理論は、「なぜ?(Why)」「どのように?(How)」「何を?(What)」の順番で話を展開することで、聞き手の共感を生み出し、行動を促す効果的なコミュニケーション戦略です。従来の「What」→「How」→「Why」という順番とは逆にすることで、人の感情に訴えかけ、共感を得やすくなるという特徴があります。
なぜゴールデンサークル理論が有効なのか?
- 人間の脳の構造に合致: ゴールンサークル理論は、感情や本能を司る大脳辺縁系に直接働きかけるため、共感や行動意欲を高める効果があります。
- イノベーター理論との親和性: 新商品やサービスの普及において重要なイノベーターやアーリーアダプターを獲得するのに有効です。
- 価値観の多様化への対応: 現代社会においては、企業理念やビジョンへの共感が重要視されており、「Why」を伝えることが重要になっています。
ゴールデンサークル理論の活用シーン
ゴールデンサークル理論は、ビジネスシーンだけでなく、日常生活でも幅広く活用できます。
- マーケティング: 顧客の共感を生み出し、ブランドストーリーを構築することで、商品やサービスの独自性を際立たせることができます。
- 例:キャンプブランド「YOKA」は、YouTubeで商品開発の過程を公開し、「なぜ七輪に目をつけたのか?」「どんな想いで開発しているのか?」を伝えることで、顧客の共感を得ています。
- ブランディング: 企業の存在意義や顧客に提供する価値を明確に伝えることで、強力なブランドを構築できます。
- プレゼンテーション: 聴衆の心を掴み、共感を得ることで、メッセージを効果的に伝え、行動を促すことができます。
- 営業: 顧客の課題解決や目標達成に貢献する「なぜ」を伝えることで、成約率を高めることができます。
- リーダーシップ: 部下とビジョンを共有し、共感を得ることで、自発的な行動を促し、チーム全体の目標達成へと導くことができます。
- 採用活動: 企業理念やビジョンを効果的に伝えることで、共感する求職者を引きつけることができます。
- 日常生活: 人生の目的や価値観を明確にし、日々の行動に目的意識を持たせることで、より充実した人生を送るための指針となります。
- 例:旅行の計画を立てる際に、「なぜ旅行に行きたいのか?」を伝えることで、相手の共感を得やすくなります。
ゴールデンサークル理論の事例
- Apple: 「世界を変える」という信念に基づいた製品開発。
- Wantedly: 仕事を通して人々が才能を活かせる社会の実現。
- アイデアプラス: 社員教育における自社の存在意義の明確化。
- パラドックス: 企業の「こころざし」を抽出し、ブランドストーリー構築。
まとめ
ゴールデンサークル理論は、「なぜ」を起点に考えることで、人の心を動かす強力なコミュニケーション手法です。ビジネスシーンはもちろんのこと、日常生活においても、目標達成や人間関係の改善、自己成長など、様々な場面で活用することができます。
「なぜ」を明確にすることで、共感を生み出し、人々を巻き込み、行動を促すことができるという点が、ゴールデンサークル理論の最大の強みと言えるでしょう。
ただし、「Why」だけでなく、「How」と「What」で提供される商品やサービスの質も重要であることを忘れてはなりません。
「Why」を効果的に伝え、「How」と「What」で優れた価値を提供することで、より大きな成果を上げることが可能になります。
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