このページでわかること
こんにちは、あきです。
前回の第31回では、オーディエンスの使い方を扱いました。この回は、広告が1本も出なくなる、いちばん困る場面の話です。アカウントそのものが止まったときの対応を扱います。
先に結論を出します。
アカウント停止は、原因を特定して、直してから、1通だけ再審査を出す。これしか道はありません。新しいアカウントを作って逃げると、そちらも止まる可能性があると公式に書かれています。
Googleの公式ヘルプは、再開の見込みについてもはっきり書いています。
「よほどの理由(誤審など)がない限りアカウントは再開されません。」(出典 Google広告ヘルプ Google 広告アカウントの強制停止についての概要 2026年9月26日確認)
厳しい書き方ですが、裏を返すと「誤審だった」「原因を直した」を相手が確かめられる形で出せれば、再開の道は残っています。この回は、その形の作り方を順番に書きます。

ここで扱うのは、アカウント単位の停止です。広告1本が「不承認」になったときの直し方と再審査は、第19回で扱いました。広告が出ない理由がアカウントなのか広告なのかは、この回の1章で見分けます。
この回のゴールは3つです。
- 止まった理由が、5つの系統のどれかを特定できる
- 再審査請求を、事実と直した内容が伝わる形で1通書ける
- 停止中にやってはいけないことを知り、止まる前の点検を習慣にできる
所要時間は40分です。止まっている最中の人は、2章と7章と9章を先に読んでください。
この回で使う「アカウント停止の対応フローシート」を、私のLINEで配布しています。通知の文言から原因の系統を決め、再審査を出すまでの順番を追える形にしました。
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1. 「止まった」には4つの種類がある
「広告が止まった」と一口に言っても、中身は4つに分かれます。どれなのかで、やることがまったく違います。
| 種類 | 何が止まるか | 主なきっかけ | 扱う回 |
|---|---|---|---|
| 広告の不承認 | その広告1本だけ | 広告文やリンク先がポリシーに合わない | 第19回 |
| アカウントの一時停止 | アカウント全体(期間や条件つき) | 違反警告、お支払い方法の確認、不正使用の疑い | この回 |
| アカウントの強制停止 | アカウント全体(解除されるまで) | 悪質な違反、繰り返しの違反、支払い、適格性確認 | この回 |
| 自分で止めた一時停止 | 選んだキャンペーンや広告 | 自分の操作 | 第7回 |

不承認との見分け方
見分けるのは簡単です。管理画面を開いたときに、画面の上部に赤い帯の通知が出ていて、どのキャンペーンも配信されていないなら、アカウント単位の停止です。
広告の不承認なら、アカウント自体は普通に動いていて、止まっているのは特定の広告だけです。広告の一覧で「不承認」と出ている広告があり、ほかの広告は配信されています。この場合はこの回ではなく、第19回の手順で直します。
アカウント単位の停止では、キャンペーンの画面はほぼ見られるのに、編集ができません。ボタンが押せない、保存できない、という状態になっていたら、アカウントの停止を疑います。
強制停止は全地域で効く
「日本向けの広告だけ止められたのでは」と考える人がいますが、そうではありません。
「アカウントが停止されると、全地域で広告が配信および表示されなくなります。」(出典 Google広告ヘルプ Google 広告アカウントの強制停止についての概要 2026年9月26日確認)
配信地域を変えても、キャンペーンを作り直しても、止まった状態は変わりません。動かせるのは、原因を直して再審査を出すことだけです。
2. まずこれだけ(通知とメールで種類を特定する)
止まったと気づいたら、最初の30分でやるのは、原因を書いてある場所を3つ開いて、写しを残すことです。何かを直すのは、そのあとです。
1. 管理画面の上部の通知を読む。停止の理由の名前(たとえば「広告掲載システムの回避」「お支払いに関する問題」)が書いてあります。 2. 届いたメールを探す。件名に「停止」を含むメールが、Google広告から届いているはずです。支払いが理由のときは、Google Payments(payments-noreply@google.com)からも届きます。 3. [管理者] > [ポリシー] > [アカウント] を開く。以前は「広告主様の適格性確認」という名前だったページです。確認の手続きや支払いの確認が求められていれば、ここに出ます。 4. 3つの画面をそれぞれ保存し、気づいた日時をメモする。あとで再審査の文面を書くとき、そして代理店や社内に説明するときの元になります。

通知に書かれた理由の名前が、この先のすべての分かれ道になります。名前を読まずに「とりあえず問い合わせる」と、的外れの文面を送って、時間だけが過ぎます。

なりすましの連絡に気をつける
停止の最中は、あせっているところに「アカウントを戻せます」という連絡が来ると、つい信じたくなります。公式ヘルプは、Googleからの連絡の見分け方を書いています。
「Google がお客様への連絡に使用するメールドメインは、「@google.com」のみです。」(出典 Google広告ヘルプ Google 広告アカウントを保護する 2026年9月26日確認)
電話で「Googleの担当です」と言われたら、メールで送ってもらうよう頼み、差出人が @google.com かを確かめます。メールのリンクを開く前に、リンク先が google.com のページかどうかも見ます。止まっている最中にログイン情報を盗まれると、状況はさらに悪くなります。
3. 強制停止の理由は5つの系統に分かれる
公式ヘルプに書かれている停止の理由を、対応の仕方が同じもので束ねると、5つの系統になります。
| 系統 | 中身 | 予告 | 対応の中心 |
|---|---|---|---|
| 1 悪質なポリシー違反 | 広告掲載システムの回避、悪意のあるソフトウェア、偽造品など | なし(即時) | 誤審を示すか、事業ごと見直す |
| 2 繰り返しの違反 | 同じポリシーに何度も違反した | 7日前までに通知 | 違反を消して同意か再審査 |
| 3 支払い | 未払い、チャージバック、不審な支払い、プロモーションコードの悪用 | 場合による | 支払いか、お支払い方法の確認 |
| 4 適格性確認 | 期限までに確認を終えていない、確認できなかった | 期限つきで通知 | 確認を終える |
| 5 不正使用 | 第三者にアカウントに入られた疑い | なし(保護のため) | 本人が安全を取り戻す |

即時に止まるものと、7日前に通知が来るもの
系統1の悪質な違反は、予告なしで止まります。公式ヘルプには、悪質な違反として次のものが挙がっています。
- 広告掲載システムの回避
- 組織的な欺瞞行為
- 偽造品
- 悪意のあるソフトウェア
- 処方オピオイド鎮痛薬の宣伝
- 無許可で開設された薬局の宣伝
- 許可されないビジネス手法
- 貿易制裁に関する違反
- 性的描写が露骨なコンテンツ
- 児童の性的虐待と搾取
それ以外のポリシー違反では、止まる前に通知が来ます。
「この通知は、強制停止が行われる 7 日前までに送信されます。」(出典 Google広告ヘルプ Google 広告アカウントの強制停止についての概要 2026年9月26日確認)
つまり、予告なしで止まったなら、系統1か系統3か系統5のどれかと考えてよい場面が多いということです。前日まで普通に配信されていて、朝に急に止まっているのは、このパターンです。
広告掲載システムの回避とは何か
系統1の中で、普通の事業者がいちばん当たりやすいのが「広告掲載システムの回避」です。名前からは想像しにくいので、中身を書き出します。
公式ヘルプの書き方は「Google の広告システムやプロセスを回避、阻害するような行為」です。範囲が広いので、公式ヘルプの複数のページの記載から、この違反に当たる動きを書き出します。
- 審査の目をすり抜けるための細工。審査で見られる中身と一般の人に見せる中身を変える、いわゆるクローキングや、検出を逃れるために広告の文や画像やドメインに手を加えること
- 停止を逃れるために、別のアカウントで同じ広告を出すこと
- 適格性確認で、本当と違う情報を出すこと
「このポリシーに対する違反が確認された場合、該当する Google 広告アカウントは事前の警告なく即時強制停止され、Google 広告での広告掲載が再び許可されることはありません。」(出典 Google広告ポリシーヘルプ 広告ネットワークの不正利用 2026年9月26日確認)
本人に回避のつもりがなくても、そう見える動きをしただけで当たります。たとえば、別の会社が止められたアカウントと同じカードや同じログインを使っていると、「停止を逃れて新しく作った」と見なされることがあります。ここは9章でもう一度扱います。

4. 違反警告(ストライク)の仕組み
系統2の「繰り返しの違反」には、段階を踏む仕組みがあります。違反警告(ストライク)と呼ばれるものです。
「初めてのポリシー違反で違反警告が出されることはありません。」(出典 Google広告ポリシーヘルプ 違反の繰り返しに対する措置のプロセスについて 2026年9月26日確認)
段階は次のとおりです。
| 段階 | 起きること |
|---|---|
| 事前警告 | 初めての違反。メールが1回届くだけで、アカウントは止まらない |
| 1回目の違反警告 | アカウントが3日間の一時停止 |
| 2回目の違反警告 | 1回目から90日以内に同じポリシーに違反。7日間の一時停止。最後の通知 |
| 3回目の違反警告 | 2回目から90日以内に同じポリシーに違反。アカウントの強制停止 |

大事なのは、3日や7日がたっても、自動では戻らないことです。公式ヘルプには、一時停止の間に「違反警告の同意か再審査請求の対応」を取らなければ、そのあとも一時停止が続くと書かれています。
対応は2つのどちらかです。
- 違反を直して、同意のフォームを出す。違反している広告やアセットを消すか直し、フォームを送ります。このフォームには、同じ違反をしないことや、停止を避けるために新しいアカウントを作らないことへの同意が含まれています。
- 違反ではないと考えるなら、違反警告の再審査を出す。

違反警告の対象になるポリシー
違反警告の仕組みが使われるのは、決まったポリシーだけです。公式ヘルプに挙がっているのは、たとえば次のものです。
- 不正行為を助長する商品やサービス
- 不承認の薬物
- 銃、銃部品、関連商品/爆発物/その他の武器および兵器
- タバコ
- クリックベイト
- 誤解を招く広告のデザイン
- 信用スコア回復サービス
- バイナリーオプション
- 個人ローン
このどれにも当たらない普通の不承認は、何回出ても違反警告にはなりません。ただし不承認を放置すれば広告は出ないので、第19回の手順で直すことに変わりはありません。
「90日」は、同じポリシーごとに数えます。1回目の違反警告を受けた直後は、同じポリシーに触れそうな広告を、配信中のものも含めて一度全部見直してください。2回目が最後の通知です。
5. 支払いが理由の停止
系統3の支払いは、ポリシー違反とは別の理由です。公式ヘルプに挙がっている理由は4つです。
- 残高の未払い、または支払いに関する懸念
- 不審な支払い行為
- チャージバック(カード会社を通じた代金の差し戻し)
- プロモーションコードの悪用

一時停止なら、確認か支払いで戻る
支払いの理由では、強制停止ではなく「一時停止」になることがあります。この場合は、お支払い方法を確認するか、支払いをすれば戻ります。
確認の場所は [管理者] > [ポリシー] > [アカウント] です。確認の方法は、書類の提出、支払い、コードを使った確認のどれかです。
コードを使った確認では、Googleがカードに少額の請求を立て、その取引履歴に確認用のコードが出ます。
「請求額はご利用の通貨の種類によって異なりますが、1.95 米ドルを超えることはありません。」(出典 Google広告ヘルプ 請求とお支払いに関する問題による強制停止 2026年9月26日確認)
この請求は30日以内に払い戻されます。取引履歴に出るまで、最大7日かかる場合があります。

カード会社の明細にまだ出ていないからといって、別のカードを足して何度も試すのは避けます。支払い方法をころころ変えると、それ自体が不審な動きに見えます。
強制停止なら、30日以内の確認を求められることがある
支払いの理由で強制停止になった場合は、再審査を出すために、お支払い方法の確認を30日以内に求められる場合があります。求められる書類の例は次のとおりです。
- お支払いプロファイルの名前と、正式な氏名や会社名
- 住所と、住所を証明する書類
- 本人確認書類の画像
- お支払い方法の画像
この確認ができるのは、アカウントの管理者の権限を持つ人だけです。運用を代理店に任せている場合でも、カードの持ち主である会社側が動かないと進みません。
6. 広告主様の適格性確認が理由の停止
系統4は、広告主様の適格性確認です。広告主が誰なのかをGoogleが確かめる手続きで、画面の入口は第7回で扱いました。この回では、停止との関係だけを書きます。
確認を求められる理由として、公式ヘルプには次のようなものが挙がっています。
- いずれはすべての広告主が対象になる
- アカウントの動きに不審な点があった
- 金融サービスなど、確認が必要な業種の広告を出している
- ほかのブランドの名前で検索されたときに広告を出している
- 停止されたアカウントが、再審査を出す前に確認を求められている
期限は、届いた通知やメールに書かれています。期限までに終えないと、アカウントが止まります。

ここで知っておいてほしい数字が2つあります。
1つめは、確認のステータスが変わるまで、最長で5営業日かかることです。出した直後に「まだ終わらない」と出し直す必要はありません。
2つめは、確認の失敗は3回までだということです。
「確認を 3 回行っても身元が確認できなかった場合、再審査請求を行うことはできません。」(出典 Google広告ヘルプ Google 広告アカウントの強制停止についての概要 2026年9月26日確認)
3回で道が閉じるので、1回ずつ丁寧に出します。書類の名前と、お支払いプロファイルの名前と、入力した名前が1文字でも違うと、確認が通らない原因になります。登記の名前、カードの名義、管理画面の名前を並べて見比べてから出してください。
そして、本当と違う情報を出すのは、適格性確認の失敗ではなく、広告掲載システムの回避の違反になります。つまり3章の系統1に移り、即時の強制停止の対象になります。
また、お支払いプロファイルや請求先の住所、事業の情報を変えると、確認をやり直すよう求められることがよくあります。停止中や確認中に、会社の名前や住所を変えないのは、このためです。
7. 再審査請求の手順
原因の系統がわかったら、再審査請求に進みます。順番を間違えないことが、いちばん大事です。

1. 原因の系統を決める(2章と3章) 2. 原因を直す。違反している広告、リンク先のページ、支払い、確認の手続きを、再審査を出す前に終わらせる 3. 関連するアカウントを洗い出す。同じログイン、同じカード、同じ管理者アカウント(MCC)、同じ確認書類でつながっているアカウントを、すべて書き出す 4. 再審査の文面を書く(次の節) 5. 管理画面上部の通知の [お問い合わせ] から送る。画面の右側に再審査請求のフォームが開く 6. ステータスが「再審査保留中」になったのを確かめ、結果のメールを待つ
手順2を飛ばして手順5に行くのが、いちばん多い失敗です。「アカウントが戻ったら直します」と書いても、相手には直ったかどうかが確かめられません。直した状態を見せてから出すが原則です。
複数のアカウントが止まっている場合は、アカウントごとに再審査を出します。公式ヘルプには、同じ確認書類で確認された別のアカウントが原因で止まった場合、そちらの再審査が認められれば、こちらも自動で再開されると書かれています。どれが元の原因なのかを先に見極めると、出す数を減らせます。
1通に書くこと(事実と仮説を分ける)
公式ヘルプのヒントは、「状況を説明する」「身元確認を行う」「ベストプラクティスを実践する」の3つです。これを文面に落とすと、次の5つの段落になります。
- 事業の説明。何を売っている会社で、広告から来た人に何をしてもらうのか
- 止まったと気づいた日時と、通知に書かれていた理由の名前
- 確かめた事実。広告、リンク先、支払い、権限で、実際に確認したこと
- 直したこと。何を、いつ、どう直したか。直す前と後の違い
- 原因の見立て。ここは「私たちの見立てでは」と書いて、事実と分ける

事実と見立てを混ぜないことが、読み手の信頼につながります。見立てを事実のように書くと、それが外れていたときに、文面全体が疑われます。
私が対応した停止の事例でも、「確かめた事実」と「見立て」を段落で分け、見立てには見立てだと書いて出しました。わからないことは、わからないと書きました。ごまかした説明より、わからない部分を正直に書いた説明の方が、次の審査で情報を足しやすくなります。
書かない方がいいこともあります。
- 「絶対に違反していない」「今すぐ戻してほしい」だけの文面。根拠がなく、判断の材料になりません
- 「戻ったら直します」という約束。直してから出します
- 怒りや不満。審査をするのは担当の人やしくみで、感情は判断を動かしません
送るのは1通ずつ、間を空ける
却下されても、また再審査を出すことはできます。ただし、同じ文面を何度も送るのは逆効果です。
「再審査請求機能を乱用されている可能性があると判定された場合、一部の再審査請求について処理を 7 日間停止します。」(出典 Google広告ヘルプ Google 広告アカウントの強制停止についての概要 2026年9月26日確認)
私が停止に対応するときは、却下のあとは少なくとも7日は空け、その間に新しく確かめたことや直したことを足してから出し直す、と決めて動いています。同じ中身を出し直しても、同じ結果になると考えた方がいいです。2通目を出す理由は、1通目になかった情報があるときだけです。

期限は少なくとも6か月
「すべての広告主様には、アカウントが停止された日から少なくとも 6 か月間の、再審査請求を送信できる期間が設けられています。」(出典 Google広告ヘルプ Google 広告アカウントの強制停止についての概要 2026年9月26日確認)
あわてて雑な1通を出すより、1週間かけて原因を直し、材料をそろえた1通を出す方がいいということです。止まった直後の焦りが、いちばん判断を誤らせます。

ここまでで、原因の系統を決めて、直して、1通の再審査を出すまでの順番がそろいました。通知の理由の名前から系統を決め、再審査の5つの段落を埋めていくだけで出せる「アカウント停止の対応フローシート」を、私のLINEで配布しています。
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8. 停止中にできること、できないこと
強制停止されたアカウントは、読み取り専用のような状態になります。見ることはできますが、変えることはほとんどできません。公式ヘルプに書かれた、停止中にできる操作は次のとおりです。
| 区分 | できること |
|---|---|
| アカウント設定 | アカウントの利用停止、払い戻しの請求 |
| お支払い | 支払い、税務書類のダウンロード、お支払い方法の追加 |
| 再審査と確認 | 停止への再審査請求、広告主様の適格性確認 |
| セキュリティ | アカウントのセキュリティ設定の更新 |
| 閲覧 | 画面の移動、情報の閲覧、レポートのダウンロード |

レポートは見られるので、止まった直後に過去のデータを保存しておきます。公式ヘルプには、停止から長い期間がたったアカウントには入れなくなる場合がある、とも書かれています。
止まったあとでは、権限の整理ができない
私が対応した停止の事例では、止まったあとに、アカウントについている権限やつながりを外そうとしても外せませんでした。管理画面からも、APIからも、変更は受け付けられませんでした。
これは、止まる前でないと権限の整理ができない、ということです。誰が管理者なのか、知らない管理者アカウント(MCC)がつながっていないか、使っていない人のログインが残っていないか。11章の点検は、止まる前にやるものです。

9. 停止中にやってはいけないこと
止まっている最中の行動で、状況が悪くなることがあります。次の5つは避けてください。

1 新しいアカウントを作る
いちばん大事なものです。
「強制停止されているすべての広告アカウントを再開してから、アカウントを新規作成されることを強くおすすめします。」(出典 Google広告ヘルプ Google 広告アカウントの強制停止についての概要 2026年9月26日確認)
同じページには、停止中のアカウントに関連するアカウントも止まる場合があり、新しく作ったアカウントもすべて止まる場合があると書かれています。
別のメールアドレスで作る、別のカードで作る、別の管理者アカウント(MCC)の下に作る、社員の名前で作る。どれも「関連するアカウント」と見なされる可能性があります。私が見てきた範囲では、ログイン、カード、管理者アカウント、確認書類のどれかが同じだと、つながったアカウントとして扱われると考えて動いています。

そして、停止を逃れるために別のアカウントで広告を出すことは、3章の「広告掲載システムの回避」そのものです。新しいアカウントは、今のアカウントを戻す道を自分でふさぐことになります。
2 会社の名前や住所、カードの名義を変える
6章で書いたとおり、事業の情報を変えると確認のやり直しを求められることがあります。停止中に情報を変えると、「別の事業者に見せかけようとしている」と受け取られるおそれもあります。本当に変わった場合でも、再審査の文面にその経緯を書きます。
3 直さずに再審査を出す
7章のとおりです。直してから、直した内容を書いて出します。
4 同じ文面を何度も送る
7章のとおり、処理が7日止まる場合があります。1通ずつ、新しい情報を足してからです。
5 電話やチャットで判断を覆そうとする
Google広告のサポートに電話やチャットで相談することはできます。ただ私が見てきた範囲では、サポートの窓口で停止の判断そのものが変わった例はありませんでした。窓口は「再審査のフォームから出してください」と案内するのが普通です。相談は手続きの確認に使い、判断を変える場は再審査のフォームだと考えておくと、時間を無駄にしません。
10. 停止に見えて停止ではないとき
最後に、よくある勘違いを1つ書きます。「止まった」と思ったら、実は停止ではなかったというものです。
長いあいだ配信を止めていたアカウントで配信を再開したら、表示回数が0のまま動かない。停止の通知は出ていない。こういう場面があります。
私が対応した事例では、アカウントの状態も、支払いも、キャンペーンも、広告もすべて問題がないのに、表示回数が0のままというケースがありました。このときは次の4つを順に確かめます。
| 確かめるところ | 見る値 |
|---|---|
| アカウント | 有効になっている |
| お支払い | 承認されている |
| キャンペーン | 配信中になっている |
| 広告 | 承認されている |

4つとも問題がないのに表示されないなら、こちらの設定では解けない、Google側の状態が原因の可能性があります。この場合は、アカウントの持ち主からGoogle広告のサポートに問い合わせてもらいます。ここで設定をいじり回したり、新しいアカウントを作ったりしないことは、停止のときと同じです。
11. 止まらないための点検(月に1回)
停止は、止まってから直すより、止まる前に原因を消す方がずっと楽です。月に1回、次の6つを見てください。15分で終わります。

1. ポリシーマネージャーを開く。不承認や「制限付き」の広告が残っていないか。残っていれば第19回の手順で直す 2. 違反警告や事前警告のメールが来ていないかを、受信箱で「警告」「ポリシー」で探す 3. お支払いに未払いがないか。カードの期限切れで引き落としが止まっていないか 4. 権限の一覧を見る。知らない人、辞めた人、知らない管理者アカウント(MCC)がつながっていないか 5. ログインしている人全員が2段階認証を使っているか 6. 会社の名前、住所、カードの名義が、確認したときの情報と合っているか
4と5は、止まってからではできません。8章のとおり、停止中は権限を外せないからです。
代理店に運用を任せている場合
代理店の管理者アカウント(MCC)から運用してもらっている場合も、アカウントの持ち主は自分の会社です。
- 管理者の権限は、自社の人が1人以上持つ
- カードの名義は自社にする
- 代理店との契約が終わったら、代理店の権限を外す
止まったときに確認の手続きや支払いの確認をするのは、持ち主の側です。代理店に任せきりにしていると、止まったときに誰も動けません。

12. つまずきポイント
通知の理由がよくわからない言葉で書かれている
理由の名前を、そのまま公式ヘルプの検索窓に入れます。「広告掲載システムの回避」「お支払いに関する問題」など、名前ごとにヘルプのページがあります。3章の5つの系統の表と照らし合わせて、どれに当たるかを決めてください。
前日まで普通に出ていたのに、朝に急に止まった
予告なしで止まるのは、系統1、系統3、系統5のどれかが多いです。まず通知の理由の名前を読みます。心当たりがなければ、別の会社や別の担当者が、同じログインやカードで広告を出していないかを確かめてください。
広告の透明性センターで自分の広告を探したら、0件だった
停止中のアカウントの広告は、実際に出していた広告でも、広告の透明性センターでは出てこないことがあります。私が対応した事例でもそうでした。0件だからといって、過去に出していた広告がなかったことにはなりません。再審査の材料には、管理画面のレポートを使います。
再審査を出したが、何日たっても結果が来ない
ステータスが「再審査保留中」になっていれば、受け付けられています。待っている間に同じ再審査を出し直すのは避けます。その間は、次に足せる情報を探す時間にあてます。
適格性確認を出したのに、ステータスが変わらない
公式ヘルプには、ステータスが変わるまで最長で5営業日かかるとあります。5営業日たっても変わらなければ、メールや通知で追加の情報を求められていないかを見ます。
再審査が却下された
却下のメールに書かれた理由を読みます。1通目に書かなかった事実や、まだ直していないところがないかを探し、それを足してから出し直します。同じ文面を出し直しても、結果は同じになると考えた方がいいです。
担当者が辞めていて、管理者の権限を持つ人がいない
止まったときに一番困る状態です。支払いの確認も適格性確認も、管理者の権限を持つ人しかできません。止まっていない今のうちに、11章の4番の点検をしてください。
慣れたらここまで
- 月に1回の点検を、カレンダーに入れて習慣にする。点検した日と結果を1行ずつ残しておくと、止まったときに「いつから問題がなかったか」を示せます
- 違反警告の対象になるポリシー(4章)に近い商材を扱う場合は、広告を出す前に公式ヘルプのポリシーのページを読む
- 停止の対応の記録を、社内に1つのファイルで残す。通知の写し、再審査の文面、結果のメール。次に何か起きたとき、最初の30分が短くなります
突き詰めるなら
- 複数のアカウントを管理している場合は、アカウントごとに「ログイン、カード、管理者アカウント、確認書類」の4つを一覧にしておく。1つが止まったとき、どこまで影響が広がるかを先に読めます
- リンク先のページを変えるときは、広告の審査にかかる前提で考える。ページの中身が広告の約束と違っていないかを、公開前に確かめる習慣をつけます
- 1つの広告アカウントに売上の全部を頼らない。止まることを前提に、ほかの集客の手段も持っておくと、止まったときに落ち着いて再審査の準備ができます
まとめ
- 「止まった」には4つの種類がある。広告1本の不承認は第19回、アカウント単位の停止はこの回
- 最初の30分は、通知、メール、[管理者] > [ポリシー] > [アカウント] の3か所の写しを残す
- 停止の理由は5つの系統。悪質な違反、繰り返しの違反、支払い、適格性確認、不正使用
- 違反警告は、事前警告、3日、7日、強制停止の順。同じポリシーで90日以内に重なると進む
- 適格性確認の失敗は3回まで。名前をそろえてから1回ずつ出す
- 直してから、事実と見立てを分けた1通を出す。却下されたら、新しい情報を足してから
- 新しいアカウントを作らない。関連するアカウントとして止まる可能性がある
- 権限の整理は、止まる前にしかできない。月に1回の点検で、止まる原因を先に消す

「アカウント停止の対応フローシート」は、通知の理由から系統を決める早見表、最初の30分でやること、再審査の5つの段落の下書き欄、停止中にやってはいけないこと、月に1回の点検表をまとめています。
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次のレッスン
第33回は、コンバージョンが計測できないときの直し方です。
→ 第33回 コンバージョンが計測できないときの直し方
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