このページでわかること
こんにちは、あきです。
第1回と第2回で、Meta広告の全体地図と、インスタ広告がどこに出るのかを扱いました。第3回は、いちばん聞かれる「結局いくらかかるのか」です。
先に結論を出します。
インスタ広告(Meta広告)には、決まった料金表がありません。予算はこちらが決め、その範囲で、表示された分のお金を払います。だから「相場はいくらか」より、「1件の成果にいくらまで払えるか」から予算を決めるほうが、外れません。

今回も、私たちが運用している6つの広告アカウントの数字を使います。Meta広告APIで、2026年9月9日から10月8日までの30日間を集計しました。
| 見たもの | 結果 |
|---|---|
| 1,000回表示あたりの費用(CPM)がいちばん安いアカウントと高いアカウント | 約96円と約2,422円 |
| クリック単価(CPC)がいちばん安いアカウントと高いアカウント | 約8円と約126円 |
| クリック単価が、CPMとクリック率の計算どおりになっていたアカウント | 6アカウント中6つ |
2026年10月10日に集計しました。アカウント名、業種、費用の総額は出していません。
この回のゴールは3つです。
- お金がいつ、何に対してかかるのかを説明できる
- CPM、クリック率、クリック単価、1件の値段のつながりを、自分の数字で計算できる
- 1件に払える上限から、最初の1か月の予算を出せる
所要時間は25分です。
この回で使う「Meta広告 予算の逆算シート」を、私のLINEで配布しています。上限の計算欄、6アカウントの実測の早見、予算の段階表、毎週の記録表をまとめました。
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1. 料金表は無い。払うのは「表示された分」
インスタ広告は、月額いくら、1回いくら、という定価で売られている広告ではありません。
公式ヘルプ「Metaの広告料金の請求のしくみ」によると、Metaはオークションで広告の表示を競わせています。そして、広告の作成時に特に指定しない限り、通常は広告が表示された回数に基づいて料金を請求します。

ここで大事なのは、こちらが決められるのは「使ってよい金額」であって、「1回の値段」ではないということです。1回の値段は、そのときに同じ人へ広告を出したい他社がどれだけいるか、自分の広告がどれだけ反応されそうか、で毎回変わります。オークションの仕組みそのものは第1回で扱いました。
「4種類の課金方式」をどう考えるか
ほかの解説記事では「インスタ広告の課金方式は4種類」と紹介されていることがよくあります。表示ごと、クリックごと、動画の再生ごと、アプリのインストールごと、という分け方です。
ただ、2026年10月の公式ヘルプ「Metaの広告料金の請求のしくみ」に書かれているのは、「特に指定しない限り、通常は表示回数に基づいて請求する」という一文です。設定によって別の基準を選べる場面はありますが、初めて広告マネージャで作るなら、まず表示回数で請求される前提で考えておけば困りません。どの基準で請求されても、最後に見るのは成果1件の値段だという点は変わらないからです。
「予算」「消化金額」「追加された金額」は別のもの
管理画面には、似た言葉が3つ出てきます。公式ヘルプの定義をそのまま並べます。
| 言葉 | 公式ヘルプの説明 | ひとことで |
|---|---|---|
| 予算 | 広告を表示するために割り当てる金額。全体的な支出を管理するためのコスト管理ツール | 上限の目安 |
| 消化金額 | キャンペーン、広告セット、広告の掲載期間中に使った費用の概算の合計 | 実際に使った額 |
| 追加された金額 | 広告を掲載するために、広告アカウントの利用可能残高に追加した金額 | 前払いで入れた額 |
1日の予算が日によって最大75%上振れする決まりは、第1回の5章で扱いました。週単位では1日の予算の7倍を超えないので、1週間で見れば予算どおりに収まります。
もう1つ、公式ヘルプに書かれている注意があります。広告マネージャに出るクリック数や表示回数と、領収書に載る請求の対象の数は、一致しない場合があります。請求の金額を確かめるのは、広告マネージャの表ではなく[請求と支払い]の画面です。税金や手数料も、そこに出ます。
2. よく見る4つの数字と、そのつながり
費用の話でよく出てくる数字は4つです。
| 数字 | 意味 | 計算 |
|---|---|---|
| CPM | 広告が1,000回表示されたときの費用 | 費用 ÷ 表示回数 × 1,000 |
| クリック率(CTR) | 表示されたうち、クリックされた割合 | クリック数 ÷ 表示回数 |
| クリック単価(CPC) | 1回クリックされたときの費用 | 費用 ÷ クリック数 |
| 1件の値段(CPA) | 購入や問い合わせなど、成果1件あたりの費用 | 費用 ÷ 成果の数 |
この4つは、ばらばらの数字ではありません。表示の値段とクリック率から、クリック単価が決まり、クリック単価と成約率から、1件の値段が決まります。

式にすると、こうなります。
- クリック単価 = CPM ÷(クリック率 × 1,000)
- 1件の値段 = クリック単価 ÷ 成約率
例えば、CPMが1,000円で、クリック率が1%なら、クリック単価は100円です。同じCPMでもクリック率が2%になれば、クリック単価は50円に下がります。そこから成約率が2%なら、1件の値段は50円 ÷ 2% = 2,500円です。

6アカウントでも、計算どおりだった
私たちの6つのアカウントで、本当にこの関係になっているかを確かめました。
| アカウント | CPM | クリック率 | クリック単価 |
|---|---|---|---|
| A | 約723円 | 1.97% | 約37円 |
| B | 約2,422円 | 1.92% | 約126円 |
| C | 約557円 | 4.36% | 約13円 |
| D | 約96円 | 1.20% | 約8円 |
| E | 約1,654円 | 2.73% | 約61円 |
| F | 約1,354円 | 5.08% | 約27円 |
6つとも、CPMをクリック率で割った値が、実際のクリック単価とほぼ一致しました。ここでのクリックは、Meta広告APIの標準の指標で、リンク以外のクリック(いいねや「もっと見る」など)も含みます。

この表から言えることが2つあります。
1つ目は、表示の値段が高いことは、それだけでは悪くないということです。FはCPMがAの2倍近いのに、クリック率が高いので、クリック単価はAより安くなっています。素材が反応されれば、高い場所に出ても1クリックは安くなります。
2つ目は、いちばん安く表示されたDが、成果でも安いとは限らないということです。Dはクリック率がいちばん低く、表示は安いが反応は少ない、という形です。見るべきは、いつも最後の「1件の値段」です。
3. 「相場」の数字が当てにならない理由
検索すると「CPMは500円から1,000円」「クリック単価は40円から100円」のような相場が出てきます。私たちの6アカウントでも、CPMは約96円から約2,422円まで、約25倍の差がありました。同じ30日、同じMeta広告でも、これだけ違います。

値段を動かすのは、主に次の5つです。
| 要因 | 値段が動く理由 |
|---|---|
| 目的 | 購入や問い合わせを狙う設定は、そうしてくれそうな人を探すので、表示の値段が上がりやすい |
| 届けたい人 | 狭い地域や、ほかの会社も狙っている人ほど、オークションの相手が増える |
| 配置 | 第2回で見たとおり、ストーリーズ、フィード、リールで値段の傾向が違う |
| 時期 | 年末の商戦期など、広告を出す会社が増える時期は上がりやすい |
| 素材 | 反応されやすい広告は、オークションで有利になり、クリック単価も下がる |
だから、相場の数字で「月10万円なら◯件取れる」と計算すると、ほぼ外れます。相場は「だいたいこのくらいの幅に収まることが多い」という参考までにして、予算は自分の商売の数字から決めます。
4. お金はいつ払うのか(2つの支払い設定)
支払いは、最初の広告を出す前に支払い方法を登録して決まります。公式ヘルプでは、大きく2つの設定があります。
| 設定 | いつ払うか | 主な支払い方法 |
|---|---|---|
| 自動請求 | 使った額が「支払い単位額」に達したときと、毎月の請求日 | クレジットカード、デビットカード、PayPal |
| 利用可能残高 | 先に入れておいた残高から、1日1回を上限に引き落とし | 残高に資金を追加する |

自動請求で、知っておくと慌てない決まりがあります。公式ヘルプ「Metaが広告料金を請求するタイミング」によると、1か月に何回も請求されることや、広告を止めたあとに請求が届くことがあります。止める前に使った分が、あとから請求されるからです。
もう1つ、請求額が、ある広告の予算より多く見えることもあります。請求には、その期間に出したすべての広告の料金と、地域によってかかる手数料が含まれるためです。
支払い方法の登録と変更の手順は第8回で扱います。iPhoneのInstagramアプリで残高を追加して宣伝すると、Appleのサービス料がかかる場合がある話は、第2回で扱いました。
5. 最初の予算は「1件の上限」から逆算する
ここが今回の中心です。予算を相場から決めずに、自分の商売の数字から決めます。手順は5つです。

手順1 1件の成果で、いくら利益が残るかを出す
商品なら「売値 − 原価 − 送料などの経費」、サービスなら「1件の契約で残る利益」です。ここでは架空の例として、1万円の商品で、1件売れると4,000円が残る、とします。
手順2 1件に払える上限を決める
残る4,000円を全部広告に使うと、利益はゼロです。最初は、残る額の半分から7割くらいを上限にしておくと安全です。この例では、上限を2,500円とします。リピートが多い商売なら、2回目以降の購入まで含めて考えてもかまいません。
手順3 払えるクリック単価を出す
払えるクリック単価 = 1件の上限 × 成約率です。広告を見て来た人の2%が買うなら、2,500円 × 2% = 50円です。自分のサイトの成約率が分からないときは、最初は1%として計算し、数字がたまったら直します。
手順4 「学習」に要る件数を確かめる
Meta広告には、配信を学習する期間があります。公式ヘルプ「情報収集期間について」によると、この期間は新しい広告セットを作ったときや、大きく編集したときに始まります。そして通常は、最後の大きな編集から1週間以内に、約50件の成果を得たあとに終わります。この期間は成果が安定せず、1件の値段も高くなりがちです。
この例で1週間に50件を取るには、2,500円 × 50件 = 12万5,000円が1週間に要る計算です。

手順5 予算の段階を決める
多くのお店にとって、1週間12万円以上は、最初から出せる金額ではないと思います。その場合の選び方は次の3つです。
| 選び方 | どうするか | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 学習を終わらせる額を出す | 上限 × 50件を、1週間の予算にする | 1件の上限が小さい、予算に余裕がある |
| 数える成果を手前にする | 購入の手前の「カートに追加」や「申し込み画面を開いた」を成果にする | 購入の件数が週50件に届かない |
| 学習が終わらない前提で、小さく試す | 1件の値段が上限を超えないかだけを、数週間かけて見る | まず素材や訴求が当たるかを知りたい |

2つ目の「手前の成果を数える」は、少ない予算で回すときによく使う方法です。購入は週に数件でも、カートに追加は週に数十件ある、ということはよくあります。手前の成果で学習を終わらせ、そのうちどのくらいが購入につながったかを、別に見ます。成果の設定の仕方は第12回で扱います。
最初の1か月の予算は、「この金額を使ったら、続けるかやめるかを判断できる」額にします。判断に使える件数が集まらない予算は、安くても無駄になりやすい、というのが私たちの考えです。
「Meta広告 予算の逆算シート」には、この5つの手順をそのまま書き込める計算欄と、業種別の計算例8業種を入れています。ご自分の数字を入れて、最初の予算を出してから始めてください。
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6. 単価をどう管理するか(入札戦略)
予算とは別に、「1件をいくらで取りにいくか」を決める設定があります。それが入札戦略です。公式ヘルプ「入札戦略について」では、3つの型に分かれています。
| 型 | 戦略 | 何をするか |
|---|---|---|
| 消化金額に基づく | 最大数量 | 予算を使い切って、成果の数を最大にする |
| バリュー最大化 | 予算を使い切って、購入の金額の合計を最大にする | |
| 目標に基づく | 結果の単価目標 | 1件の平均の値段を、目標に近づける |
| ROAS目標 | 広告費に対する売上の割合を、目標に近づける | |
| 手動 | 入札価格上限 | 1回のオークションで払う上限を決める |

初めての方は、まず「最大数量」で始めることをおすすめします。目標に基づく戦略は、公式ヘルプにも「目標の遵守は保証されない」と書かれていて、件数が少ないうちは配信が止まりがちになります。公式ヘルプは、最高のパフォーマンスのために週50件から100件以上の成果を目指すことをすすめています。
最大数量で数週間回して、自分の1件の値段の実力が見えてから、結果の単価目標に切り替える。この順番が失敗しにくいです。入札戦略と学習の詳しい扱いは第23回でまとめます。
7. 少ない予算で始めるときに、やってはいけないこと
予算が少ないときほど、学習を邪魔しないことが大事です。前の版の記事でも書いた、私たちが現場でいちばんよく見る失敗を3つ並べます。

毎日、予算や設定をいじる
大きな編集をすると、学習がやり直しになります。公式ヘルプは、情報収集期間が終わるまで広告セットを編集しないことをすすめています。広告マネージャの[前回の大きな変更]列で、最後にいつ大きく変えたかを確かめられます。数字を見るのは毎日でかまいませんが、手を入れるのは週に1回と決めておくと、学習を邪魔しにくくなります。
広告セットを細かく分けすぎる
月の予算が同じなら、広告セットを5つに分けると、1つあたりの成果は5分の1になります。それぞれが学習に要る件数に届かず、どれも不安定なまま終わります。予算が少ないうちは、広告セットは1つか2つに絞ります。
数日で判断して止める
学習中の数字は、公式ヘルプが言うとおり、将来の成果を表しているとは限りません。最初の数日の1件の値段が高いのは、よくあることです。判断は、少なくとも1週間たってから、件数がある程度たまってからにします。
8. 代理店に頼むと、費用はどう変わるか
自分で運用すれば、払うのは広告の費用だけです。代理店に頼む場合は、広告の費用とは別に、運用の手数料がかかります。手数料の決め方は、広告費の何割という形や、月額の固定などさまざまです。
もう1つ、広告の画像や動画を外に作ってもらう場合は、その制作費も別にかかります。広告は同じ素材を出し続けると反応が落ちていくので、最初から「月に何本、新しい素材を用意するか」も予算に入れておくと、あとで慌てません。素材の作り方は第21回で扱います。
どちらが得かは、手数料の額ではなく、成果1件の値段がどれだけ下がるかで決まります。代理店に任せるか自分でやるかの判断は、次の第4回で扱います。
よくある質問
Q. いくらから始められますか。
決まった最低額は、Metaの公式ヘルプで今回確かめられませんでした。小さな金額から出すことはできますが、5章のとおり、判断できるだけの件数が集まる額にすることをおすすめします。
Q. 月にいくらくらい用意すればいいですか。
1件の上限 × 1か月に欲しい件数、が目安です。例えば上限2,500円で、1か月に40件のデータが欲しいなら、10万円です。相場の数字ではなく、自分の上限から出してください。
Q. 広告を止めたら、お金はかかりませんか。
止めたあとは新しい費用はかかりませんが、止める前に使った分の請求が、あとから届くことがあります。自動請求では、支払い単位額と毎月の請求日の2つのタイミングで請求されるためです。
Q. 予算を設定したのに、それより多く使われています。
1日の予算は、1週間で見た1日あたりの目安です。良い機会がある日は多めに使い、ほかの日で調整します。決まりの詳細は第1回の5章をご覧ください。
9. つまずきポイント
相場で予算を決めて、1件の値段を見ていない
表示の値段やクリック単価が相場どおりでも、1件の値段が上限を超えていれば、続けるほど赤字です。毎週見るのは、1件の値段と、上限との差です。
自分の利益を計算しないまま始める
1件で残る利益が分からないと、1件の値段が高いのか安いのか、判断できません。広告を出す前に、5章の手順1と手順2だけは必ず済ませてください。
請求の画面を見ずに、広告マネージャの数字だけで経理をする
広告マネージャの消化金額は概算で、請求の対象の数とは一致しないことがあります。経理に使うのは[請求と支払い]の画面の金額です。
10. 慣れたらここまで
慣れてきたら、毎週、次の数字を記録します。

記録すると、1件の値段が悪くなったとき、どこが原因かを切り分けられます。CPMが上がったのか、クリック率が下がったのか、成約率が下がったのか。2章の式に当てはめれば、どこを直せばよいかが見えます。素材を直すのか、届ける人を変えるのか、サイトを直すのか、が決まります。
11. 突き詰めるなら
突き詰めるなら、1件の上限を「1回目の利益」ではなく「お客様が長く使ってくれた場合の利益」で考えます。2回目、3回目の購入が多い商売なら、1回目は赤字でも、全体では利益が出ることがあります。ただし、これは実際のリピートの数字がそろってからにしてください。見込みの数字で上限を上げると、取り返せないまま費用だけが増えます。
もう1つは、予算を増やすときの段階です。成果が良いからといって一気に何倍にもすると、学習がやり直しになり、1件の値段が跳ねることがあります。私たちは、増やすときは少しずつ、様子を見ながら上げています。
まとめ
- インスタ広告に料金表は無い。予算はこちらが決め、通常は表示された回数に基づいて請求される
- 4つの数字はつながっている。クリック単価 = CPM ÷(クリック率 × 1,000)、1件の値段 = クリック単価 ÷ 成約率
- 6アカウントでCPMは約96円から約2,422円。相場ではなく自分の数字で決める
- 最初の予算は、1件に払える上限から逆算する。学習に要るのは、1週間に約50件の成果
- 足りないときは、数える成果を手前にするか、小さく試す
- 入札戦略は、まず最大数量で始める
- 少ない予算ほど、毎日いじらない、分けすぎない、数日で止めない
「Meta広告 予算の逆算シート」は、1件の上限から予算を出す計算欄、6アカウントの実測の早見、予算の段階の選び方、毎週の記録表をまとめています。
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次のレッスン
第4回は、代理店に任せるか、自分で運用するかです。どこまでを自分でやり、どこからを任せると、費用と手間の釣り合いが取れるのかを扱います。
この講座の全32回の一覧は、講座トップにまとめています。 → メタ広告マスター講座トップ


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