このページでわかること
こんにちは、あきです。
前回の第37回では、成果が落ちたときの切り分けを扱い、最後に「直すのは1つだけ」と書きました。この回は、その1つが本当に効いたのかを確かめる方法です。Google広告の「テスト」機能と、広告を入れ替えるときの判断の基準を扱います。
先に結論を出します。
テストは、変える前と変えた後を「同じ期間に、半分ずつ」で比べます。先月と今月を比べる方法だと、季節や競合の動きまで結果に混ざってしまいます。Google広告の「テスト」機能を使えば、同じ期間の中でトラフィックを分けて比べられます。
そして、結果は「差が出たか」ではなく「その差が偶然ではないか」で判断します。管理画面には、偶然ではないと言える差に印が付きます。

運用中のアカウントで、テストと広告の状態を見ました。
| 見たもの | 結果 |
|---|---|
| テスト機能の記録があったアカウント | 11アカウント中0 |
| 有効なレスポンシブ検索広告が2つ以上入っている広告グループ | 22中4 |
| 有効なレスポンシブ検索広告26本の、広告アセットの充実度 | 「低い」10、「平均的」13、「高い」1、「非常に高い」2 |
Google広告APIで2026年10月10日に集計しました。
テストの機能を使った記録は、どのアカウントにもありませんでした。そして、広告グループの8割以上は広告が1つだけで、比べる相手がいない状態でした。実務の現場では、テストは「やったほうがいいと分かっていて、やられていない」ことの代表です。この回では、いちばん手軽な形から始める方法を書きます。
この回のゴールは3つです。
- テストの3つの種類を、変えたいものに合わせて選べる
- 広告バリエーションで、広告文の1か所を半分ずつで比べられる
- 結果の数字と印を読んで、入れ替えるかを決められる
所要時間は30分です。管理画面の左のメニューで「テスト」を開いた状態で読み進めてください。
この回で使う「広告テスト計画シート」を、私のLINEで配布しています。仮説の書き方、業種別のテスト案12業種、判断の基準をまとめました。
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1. なぜ「先月と今月」ではだめなのか
いちばん手軽な比べ方は、広告文を変える前の月と、変えた後の月を比べる方法です。ただ、この比べ方には大きな弱点があります。

変えたのは広告文だけでも、その間に変わったものは他にもたくさんあります。
- 季節や曜日の並び
- 競合の数や入札
- 検索の数そのもの
- 自動入札の学習の状態
第37回で見たとおり、何も変えていなくても、30日ごとの数字は大きく動きます。その動きの中で、広告文の変更が効いたのかを見分けるのは難しいです。
同じ期間の中で、半分の人には元の広告、半分の人には新しい広告を見せれば、季節も競合も両方に同じように影響します。残った差が、変えたことの効果です。これがテスト機能の考え方です。
2. テストの種類と使い分け
管理画面の左のメニューにある「テスト」から作ります。公式ヘルプによると、以前は「下書きとテスト」と呼ばれていたページです。

| 種類 | 何を試すか | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 広告バリエーション | 広告の文言、最終ページURL | 広告文の1か所を変えて比べる。いちばん手軽 |
| カスタムテスト | 入札戦略、マッチタイプ、飛び先、オーディエンスなど | キャンペーンの設定を変えて比べる |
| AI最大化設定テスト | 検索語句とのマッチングやアセットの最適化 | AI最大化設定を入れるか決める |
ほかにも、アプリ、デマンド ジェネレーション、P-MAX、動画のテストがあります。(出典 Google広告ヘルプ [テスト]ページ(旧称 下書きとテスト)について 2026年10月10日確認)
公式ヘルプは、検索広告の文言を試すなら広告バリエーションを使うようにすすめています。ただし、キャンペーン全体ではなく特定の広告グループだけで試したいときは、カスタムテストを使います。(出典 カスタムテストについて 2026年10月10日確認)
AI最大化設定テストは、第40回で扱います。この回では、広告バリエーションとカスタムテストの2つを中心に書きます。
3. 何を試すかを決める
テストで一番大事なのは、機能の使い方ではなく、何を試すかです。

仮説を1行で書く
「何を、どう変えると、どの数字が、なぜ良くなるか」を1行で書きます。
- 例 見出しの「無料相談」を「最短当日に相談」に変えると、クリック率が上がる。急いでいる人が多い検索だから
- 例 飛び先をトップページから料金のページに変えると、コンバージョン率が上がる。料金で調べている検索が多いから
「なぜ」が書けないテストは、結果が出ても次に生かせません。勝っても負けても、なぜそうなったかの手がかりが残らないからです。
1回に変えるのは1か所
見出しと説明文と飛び先を一度に変えると、勝っても、どれが効いたのか分かりません。1回のテストで変えるのは1か所にします。
効きやすい順に試す
検索広告で、差が出やすいものから順に並べると、だいたい次のとおりです。
1. 飛び先のページ ー コンバージョン率に直接効く 2. 見出しの訴求 ー 何を約束するか(速さ、安さ、安心、実績) 3. 入札戦略 ー カスタムテストで比べる 4. 説明文の言い回し ー 差は小さめ
この順番は、私の運用の経験からの目安です。小さな言い回しの違いは、差が出ても小さく、偶然との区別が付きにくいので、最初のテストには向きません。
4. 広告バリエーションで、広告文を比べる
いちばん手軽なのが、広告バリエーションです。既存の広告の文言を、一部だけ置き換えた版を作り、半分ずつで比べます。

手順
1. 左のメニューの「キャンペーン」から「テスト」を開く 2. プラスのボタンから「広告バリエーション」を選ぶ 3. 範囲を選ぶ。すべてのキャンペーンか、特定のキャンペーン 4. 広告の種類で「レスポンシブ検索広告」を選ぶ 5. 必要なら、見出しや説明文、最終ページURLで対象の広告を絞る 6. 変え方を選ぶ。「検索と置換」か「テキストを更新」 7. 開始日、終了日、バリエーションに回すトラフィックの割合を決めて保存する
「検索と置換」は、広告の中の言葉を別の言葉に置き換える方法です。公式ヘルプの例では「今すぐご予約ください」を「今すぐお電話ください」に置き換えています。大文字と小文字は区別されるので、英字を含む言葉を置き換えるときは注意します。(出典 Google広告ヘルプ 広告バリエーションをセットアップする 2026年10月10日確認)
割合は50%にするのが基本です。半分ずつにすると、いちばん早く結果が出ます。
範囲を広く取ると、早く結果が出る
公式ヘルプは、広告バリエーションを、複数のキャンペーンやアカウント全体で1つの変更を試すのに向いている、としています。1つの広告グループだけで試すより、同じ言葉を使っている広告をまとめて対象にしたほうが、表示回数が集まって判断が早くなります。
5. カスタムテストで、設定を比べる
入札戦略やマッチタイプ、飛び先など、広告文以外を試すときはカスタムテストを使います。

仕組み
元のキャンペーンから、テスト用のキャンペーンを作ります。テスト用のほうだけ設定を変え、トラフィックと予算を2つに分けて、同じ期間に走らせます。期間が終わったら、テストのほうが良ければ、元のキャンペーンに変更を反映できます。
決まりと注意

| 決まり | 内容 |
|---|---|
| 使えるキャンペーン | 検索、ディスプレイ、動画、ホテル広告。アプリとショッピングでは作れない(別のページではデマンド ジェネレーションも挙がっている) |
| 同時に走らせられる数 | 1つのキャンペーンに5つまで予定できるが、同時に走るのは1つ |
| 元のキャンペーンを変えると | テストには反映されない。途中の変更は分析を難しくする |
| 元のキャンペーンが止まると | テストも走らない |
| 開始日 | 審査に時間がかかるので、数日後にするのがおすすめ |
| 分け方(検索) | Cookieベースか、検索ベースかを選べる |
いずれも公式ヘルプ「カスタムテストを設定する」に書かれている決まりです。(出典 2026年10月10日確認)
公式ヘルプには、50対50で分けても表示回数や費用が同じになるとは限らない、とも書かれています。オークションごとの結果で、片方が多く出ることがあります。さらに、入札が安定するまで7日から14日ほどかかるとあります。テストを始めた最初の1週間の数字で判断しないでください。
6. どれくらいの期間、走らせるか
テストの期間は、「十分な件数が集まるまで」です。日数で決め打ちしません。

目安になる考え方は、次のとおりです。
- クリック率を比べるなら、表示回数とクリックの数が必要
- コンバージョン率を比べるなら、コンバージョンの数が必要。片方に数件ずつでは、差が出ても偶然の範囲のことが多い
- 曜日の偏りを消すため、少なくとも2週間、できれば4週間は走らせる
公式ヘルプには、統計的な有意性に影響する3つの要素が書かれています。元の広告とバリエーションの差の大きさ、数字の日ごとのばらつき、表示回数の合計です。差が小さく、ばらつきが大きく、表示が少ないほど、結果が出るまで時間がかかります。(出典 Google広告ヘルプ 広告バリエーションの掲載結果を確認する 2026年10月10日確認)
コンバージョンが月に十数件のアカウントで、コンバージョン率の差をテストで確かめるのは、正直に言うとかなり時間がかかります。その場合は、クリック率のように件数の多い数字で比べるテストから始めるのが現実的です。
7. 結果の読み方
テストの結果は、「テスト」のページで、元とテストを並べて見られます。

4つの数字
広告バリエーションの結果には、指標ごとに4つの数字が並びます。
| 数字 | 意味 |
|---|---|
| 最初の数字 | バリエーションの値(クリック数なら何回か) |
| 括弧の外のパーセント | 元の広告との差 |
| 括弧の中の2つの数字 | 差がこの範囲に収まる見込みの幅。最初は80%の信頼区間 |
| 青い「*」の印 | 統計的に意味のある差。95%以上の確率で、偶然ではなく変更によるもの |
判断に使うのは、青い印が付いているかどうかです。括弧の外のパーセントが大きくても、印が付いていなければ、まだ偶然の範囲の可能性があります。
判断の基準

| 結果 | 判断 |
|---|---|
| 目的の数字が良くなり、印が付いた | 入れ替える |
| 目的の数字が悪くなり、印が付いた | 元のまま。仮説が外れたことを記録する |
| 印が付かないまま、予定の期間が終わった | 差がないとみなす。延長するか、もっと大きな変更で試し直す |
目的の数字は、テストの前に1つ決めておきます。クリック率を上げるテストなら、クリック率で判断します。結果を見てから「コンバージョン率は良くなったから勝ち」と目的を変えると、偶然の差を拾いやすくなります。
ただし、クリック率が上がってコンバージョン単価が大きく悪くなった、という場合は入れ替えません。目的の数字は1つでも、成果の数字は必ず並べて見ます。
入れ替え方
広告バリエーションの結果が良ければ、変更した広告をキャンペーンに適用できます。既存の広告を置き換えるか、新しい広告として足すかを選べます。カスタムテストの場合は、元のキャンペーンに反映するか、テストのほうを新しいキャンペーンとして残し、元のキャンペーンを一時停止するかを選べます。
「広告テスト計画シート」には、仮説の1行の型、業種別のテスト案12業種、期間と判断の基準、テストの記録表をまとめています。
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8. テストを使わずに広告を入れ替えるとき
テスト機能を使うほどの件数がない、すぐに直したい、という場面もあります。その場合の入れ替え方です。

広告グループに広告を2つ置く
公式ヘルプは、広告グループごとに、広告アセットの充実度が「高い」か「非常に高い」レスポンシブ検索広告を2つ以上置くことを、ベストプラクティスとして挙げています。広告を1つから2つにした広告主で、同程度のコンバージョン単価でコンバージョン数が6.6%増えた、という数字も載っています。(出典 Google広告ヘルプ レスポンシブ検索広告に関する広告の有効性について 2026年10月10日確認)
冒頭の表のとおり、運用中の広告グループでは、2つ以上置いていたのは22中4でした。まずは、広告が1つの広告グループに、訴求の違う2つ目を足すところから始められます。
ただ、2つ並べた状態は、テストではありません。どちらをどれだけ出すかはGoogleが決めるので、表示の数が偏ります。差を比べるときは、表示回数が十分ある期間で、クリック率とコンバージョン率を並べ、明らかに弱いほうを入れ替える、くらいの使い方にとどめます。
「広告アセットの充実度」はテストの結果ではない
広告の一覧に出る「低い」「平均的」「高い」「非常に高い」は、広告アセットの充実度という評価です。公式ヘルプのページ名では「広告の有効性」とも書かれています。公式ヘルプによると、これは広告の潜在的な効果を示す評価で、配信の要件に直接は影響しません。実際に成果が良いかどうかは、この評価ではなく、数字で確かめます。レスポンシブ検索広告の作り方は第16回で扱いました。
9. つまずきポイント
テストを始めたのに、表示回数が0のまま
元のキャンペーンが止まっていないか、テストの広告が審査中でないかを見ます。公式ヘルプには、入札戦略の学習期間(通常7日間)の中にないか、広告が不承認になっていないかを確かめるよう書かれています。開始日を数日後にしておくと、審査待ちで始まらないことを防げます。
50%に分けたのに、片方だけ表示が多い
オークションごとの結果なので、表示や費用がぴったり半分になるとは限りません。公式ヘルプにもそう書かれています。比べるのは回数ではなく、率(クリック率、コンバージョン率)です。
テストの途中で、元のキャンペーンの設定を変えた
元のキャンペーンの変更は、テストには反映されません。途中で変えると、何と何を比べているのか分からなくなります。テスト中は、元のキャンペーンを触らないのが原則です。
青い印が付く前に終わってしまった
差が小さいか、件数が足りなかったかのどちらかです。延長するか、もっと大きな違い(訴求そのものを変える)で試し直します。
勝った広告に入れ替えたら、翌月は元と変わらなかった
テストの差が小さかったり、季節が変わったりすると、そういうことはあります。勝った広告も、次のテストの「元」になります。テストは1回で終わりではなく、続けて回すものです。
慣れたらここまで
テストの記録を残しておくと、アカウントの「勝ちパターン」が見えてきます。何を試して、どちらが勝ち、なぜそうなったと考えたか。10回分たまると、その商売のお客様が何に反応するかの傾向が分かります。

勝ったパターンは、ほかのキャンペーンや、ほかの媒体の広告にも使えます。検索広告で勝った見出しの訴求を、LINEやSNSの広告文に使う、という流れです。
突き詰めるなら
カスタムテストで、入札戦略そのものを比べることもできます。たとえば、コンバージョン数の最大化と目標コンバージョン単価を、同じ期間に半分ずつで比べる、といった使い方です。入札戦略の違いは第21回で扱いました。

入札戦略のテストは、学習期間があるぶん、広告文のテストより長くかかります。公式ヘルプのとおり、入札が安定するまでの7日から14日は判断から外し、そのあと少なくとも数週間は走らせます。成功の指標は、最大2つまで決めておけます。
まとめ
- テストは「同じ期間に、半分ずつ」で比べる。先月と今月の比較には季節や競合が混ざる
- 広告文は広告バリエーション、設定はカスタムテスト、AI最大化設定は専用のテスト
- 仮説は「何を、どう変えると、どの数字が、なぜ良くなるか」で1行に書く
- 1回に変えるのは1か所。目的の数字は先に1つ決める
- 期間は件数が集まるまで。少なくとも2週間、入札のテストは安定までの7日から14日を外す
- 判断は青い「*」の印で。印のない差は偶然の範囲かもしれない
- 運用中の11アカウントでテストの記録は0。まずは広告グループに2つ目の広告を置くところから
「広告テスト計画シート」は、仮説の型、業種別のテスト案12業種、種類の選び方、期間と判断の基準、やってしまうと困ること、テストの記録表をまとめています。
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次のレッスン
第39回は、拡張コンバージョンとオフラインコンバージョンです。問い合わせのあと、実際に契約や来店につながったかまでを広告に返す方法を扱います。
この講座の全42回の一覧は、講座トップにまとめています。 → Google広告マスター講座トップ


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