このページでわかること
こんにちは、あきです。
前回の第35回では、検索語句レポートから無駄な費用を止める手順を扱いました。無駄を止めたら、次に知りたいのは「本当は出られたのに、出られなかった検索がどれくらいあるか」です。それを示すのが、この回のインプレッションシェアです。
先に結論を出します。
インプレッションシェアは、損失率の2つの列と並べて読みます。広告が出られなかった理由は、「予算が足りなかった」か「ランクが足りなかった」の2つに分かれます。どちらが大きいかで、打つ手がまったく変わります。
そして、インプレッションシェアは100%を目指す数字ではありません。上げるには費用がかかります。上げた分のクリックが、成果に見合うかで判断します。

運用中のアカウントで、検索キャンペーンのインプレッションシェアを見ました。
| 見たもの | 結果 |
|---|---|
| 直近30日にクリックが30回以上あった検索キャンペーン | 15キャンペーン(6アカウント) |
| インプレッションシェアの中央値 | 25% |
| インプレッションシェアが50%以上 | 15中2 |
| インプレッションシェアが10%未満 | 15中4 |
| ランクによる損失のほうが、予算による損失より大きい | 15中13 |
| 予算による損失が20%以上 | 15中8 |
Google広告APIで2026年10月10日に集計しました。期間は2026年9月9日から10月8日までの30日です。
出られたはずの検索のうち、実際に広告が出たのは、真ん中のキャンペーンで4回に1回でした。そして、逃した理由は、ほとんどのキャンペーンで「予算」より「ランク」のほうが大きかったのです。「予算を上げれば表示が増える」と考えがちですが、多くの場合、先に効くのはランクのほうです。
この回のゴールは3つです。
- インプレッションシェアと2つの損失率を、管理画面に出して読める
- 予算とランクのどちらで逃しているかを見て、次の手を選べる
- 上げるべきかどうかを、費用と成果で判断できる
所要時間は30分です。管理画面でキャンペーンの一覧を開いた状態で読み進めてください。
この回で使う「インプレッションシェア診断シート」を、私のLINEで配布しています。3つの数字を書き込むと、予算とランクのどちらから手を付けるかが決まる形にしました。
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1. インプレッションシェアとは
インプレッションシェアは、広告が表示される可能性があった回数のうち、実際に表示された回数の割合です。

インプレッションシェア = 表示回数 ÷ 広告が表示可能だった合計回数
公式ヘルプによると、「表示可能だった回数」は、ターゲット設定、承認状況、品質など、多くの要因を考慮して見積もられます。つまり、実際の回数ではなく推定です。(出典 Google広告ヘルプ インプレッション シェアについて 2026年10月10日確認)
表示回数との違い
表示回数は「何回出たか」、インプレッションシェアは「出られた回数のうち何割出たか」です。
| 数字 | 分かること | 分からないこと |
|---|---|---|
| 表示回数 | 何回出たか | もっと出られたのか |
| インプレッションシェア | 出られた回数のうち何割か | 何回出たか |
表示回数が先月より増えていても、検索の数そのものが増えた季節なら、インプレッションシェアは下がっていることがあります。逆に、表示回数が減っても、検索が減っただけでシェアは変わっていないこともあります。2つを並べると、「自分の広告が弱くなったのか、市場が動いたのか」が分かれます。
推定なので、少しの上下は気にしない
公式ヘルプには、インプレッションシェアは推定で算出されるもので、多少の変動があっても対処が必要なわけではない、と書かれています。入札単価を今の2倍にすれば出られたオークションは数に入るが、10倍が必要だったオークションは入らない、という例も載っています。数ポイントの上下で設定を変えないのが基本です。
2. 管理画面に出す
インプレッションシェアは、最初は表に出ていません。表示項目から足します。

手順
1. キャンペーンの一覧を開く 2. 表示項目のアイコンを押し、「競合指標」のメニューを開く 3. 次の列にチェックを入れる 4. 適用を押す
| 足す列 | 意味 |
|---|---|
| 検索広告のインプレッション シェア | 検索で出られた回数のうち、実際に出た割合 |
| 検索広告のインプレッション シェア損失率(予算) | 予算が足りずに出られなかった割合 |
| 検索広告のインプレッション シェア損失率(ランク) | 広告ランクが足りずに出られなかった割合 |
| 検索広告の上部インプレッション シェア | 上部の広告として出た割合 |
| 検索広告の最上部インプレッション シェア | 上部の広告の1番目として出た割合 |
前回の第34回で作った表示項目のセットに、上の3つを足しておくと、毎週同じ形で見られます。(出典 Google広告ヘルプ インプレッション シェアのデータを取得する 2026年10月10日確認)
知っておきたい4つの決まり

- 予算による損失率は、キャンペーン単位でしか見られない。予算はキャンペーンに付いているため
- 検索パートナーのデータは含まれない
- 数字の更新には1日から2日かかる。直近の日付で見ると、まだ出ていないことがある
- データが足りないと「ー」と表示される。トラフィックが少ない、キーワードが新しい、など
どれも公式ヘルプに書かれている決まりです。(2026年10月10日確認)
3. 3つの数字を並べて読む
インプレッションシェアは、単独では「低い」としか分かりません。2つの損失率と並べて、初めて「なぜ低いか」が分かります。

3つの数字は、足すとおおむね100%になります。たとえば、インプレッションシェアが30%、予算の損失が10%、ランクの損失が60%なら、出られたはずの検索の6割は、ランクが足りずに逃しています。
予算による損失が大きいとき
1日の予算が、出られたはずの検索に対して足りていない状態です。途中で予算を使い切ってしまい、その日の残りの時間に広告が出ていないことが多いです。
打つ手は2つです。
1. 予算を上げる 2. 予算を変えずに、出る範囲を絞る(キーワード、地域、時間帯)
公式ヘルプにも、予算を引き上げることと、ターゲット地域を減らすことが、改善のヒントとして挙げられています。ただし、地域を減らせば、獲得が見込まれる表示回数そのものも減ると注意書きがあります。(出典 Google広告ヘルプ インプレッション シェアを向上させる 2026年10月10日確認)
ランクによる損失が大きいとき
オークションで、広告ランクが足りずに負けている状態です。広告ランクは、入札単価と広告の品質で決まります。仕組みは第22回で扱いました。
打つ手は3つです。
1. 広告の品質を上げる(広告文と検索の関連性、飛び先のページ) 2. 入札単価を上げる(自動入札なら、目標の単価を上げる) 3. 勝てない検索から降りる(キーワードを絞る)
予算を上げても、ランクの損失はほとんど減りません。オークションで負けている検索には、お金を積んでも予算が使われないからです。
4. 実測|15キャンペーンのインプレッションシェア
ここからは、実際のアカウントの数字です。
シェアの中央値は25%

15キャンペーンのうち、インプレッションシェアが50%を超えていたのは2つだけでした。10%未満が4つ。真ん中は25%です。
「シェアが低い=悪い運用」ではありません。狙っている検索の範囲が広ければ、シェアは自然と下がります。部分一致で幅広い検索を拾っているキャンペーンなら、20%台は珍しくありません。大事なのは、シェアの高さより、損失の内訳です。
15中13で、ランクの損失のほうが大きかった

予算の損失よりランクの損失が大きかったのは、15キャンペーン中13でした。ランクの損失が50%を超えていたキャンペーンも8つありました。
「表示を増やしたいから予算を上げよう」と考えたとき、このアカウントの多くでは、予算を上げてもほとんど表示は増えなかったはずです。先に見るべきは、ランクの側でした。
予算の損失が6割を超えた1キャンペーン
一方で、予算の損失が63.6%に達していたキャンペーンも1つありました。このキャンペーンでは、1日の予算を平均クリック単価で割ると、1日に買えるクリックは約3回分でした。
1日に3クリック分の予算では、朝のうちに予算を使い切り、昼から先は広告が出ていない日が多くなります。ここで効くのは、予算を上げるか、出る範囲を絞って、限られた予算を成果の出やすい検索に集めることです。この考え方は第42回の低予算の回でまとめます。
5. どこまで上げるべきか
インプレッションシェアを上げるには、費用がかかります。だから「上げられるか」ではなく「上げて得をするか」で判断します。

上げてよい条件
- 今のコンバージョン単価が、目標より十分に低い(上げて単価が上がっても、まだ目標の中に収まる)
- 逃している検索が、今コンバージョンが出ている検索と同じ種類
- 会社名や商品名の検索で、シェアが低い(自分の名前で調べた人に出ていないのは、取りこぼしが大きい)
上げないほうがよい条件
- コンバージョン単価が、すでに目標ぎりぎり
- 逃している検索の多くが、意図の違う検索(第35回の除外で止めるべきもの)
- シェアを上げるために、入札単価を大きく上げる必要がある
3つ目は見落としやすいです。シェアの最後の数割は、オークションで最も激しく競っている検索です。そこを取りに行くと、クリック単価が大きく上がることがあります。
会社名・商品名の検索は別に見る
会社名や商品名の検索は、一般の検索とは分けてシェアを見ます。自分の名前で調べた人は、すでに買う気に近い人です。ここでシェアが低いなら、ほかの会社に表示を取られている可能性があります。会社名の検索を別のキャンペーンに分けておくと、このシェアだけを見られます。
「インプレッションシェア診断シート」には、3つの数字から次の手を決める表と、上げてよいかの判断表、オークション分析の読み方をまとめています。
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6. オークション分析で、相手を見る
ランクの損失が大きいとき、相手がどれくらい強いのかを見るのがオークション分析です。同じオークションに参加している他の広告主と、自分を比べられます。

開き方
1. キャンペーン、広告グループ、キーワードのどれかの一覧を開く 2. 見たい行のチェックボックスをオンにする 3. 「オークション分析」を選ぶ
新しいデザインの画面では、「分析情報とレポート」の中にも「オークション分析」があります。
6つの数字
| 数字 | 意味 |
|---|---|
| インプレッション シェア | 各広告主のインプレッションシェア |
| 広告の重複率 | 自分の広告が出たときに、その広告主も一緒に出た割合 |
| 上部掲載率 | 一緒に出たときに、その広告主が自分より上に出た割合 |
| 優位表示シェア | 自分が相手より上に出たか、自分だけが出た割合 |
| 上部表示率 | 無料の検索結果より上に出た割合 |
| 最上部表示率 | 検索結果ページのいちばん上に出た割合 |
検索キャンペーンでは、この6つが出ます。ショッピングキャンペーンでは、インプレッションシェア、広告の重複率、優位表示シェアの3つです。(出典 Google広告ヘルプ オークション分析レポートでパフォーマンスを比較する 2026年10月10日確認)
読み方
見るのは、「最近、新しく出てきた相手がいないか」と「広告の重複率が上がっている相手がいないか」です。
- 新しい相手が増えた ー 同じ検索を取り合う相手が増え、ランクの損失が増えやすい
- ある相手の広告の重複率と上部掲載率が上がった ー その相手が入札や品質を強めた可能性
期間を2つに分けて比べると、変化が見えます。第34回のとおり、長さと曜日をそろえた2つの期間で見ます。
出てこないとき
インプレッションシェアが10%未満だと、オークション分析には何も表示されません。また、データの量が一定の基準に達していないキーワードや広告グループでは、レポート自体が作れません。(出典 同上)
7. 上部と最上部のシェア
インプレッションシェアには、「どこに出たか」を見る仲間の数字もあります。

| 数字 | 意味 |
|---|---|
| 上部インプレッション シェア | 上部の広告として出られた回数のうち、実際に上部に出た割合 |
| 最上部インプレッション シェア | 上部の1番目として出られた回数のうち、実際に1番目に出た割合 |
公式ヘルプには、上部や最上部の「率」を入札の目標にするのはおすすめしない、と書かれています。入札単価を上げると、かえって競争の激しいオークションに入り、指標が下がることがあるためです。(出典 Google広告ヘルプ 検索結果ページにおける上部インプレッションと最上部インプレッションに関する指標 2026年10月10日確認)
上の位置ほどクリックされやすい傾向はありますが、上に出るほどクリック単価も上がります。位置そのものより、コンバージョン単価で判断するのが無難です。
「目標インプレッション シェア」の入札について
インプレッションシェアそのものを目標にする自動入札もあります。表示されること自体に価値がある場面、たとえば会社名の検索で必ず上に出たいときに使われます。成果を目的とするキャンペーンでは、コンバージョンを目標にする入札のほうが合うことが多いです。入札戦略の選び方は第21回で扱いました。
8. つまずきポイント
予算を上げたのに、表示がほとんど増えない
ランクの損失が大きいキャンペーンでは、予算を上げても表示は増えません。予算を上げる前に、予算の損失とランクの損失のどちらが大きいかを見てください。
インプレッションシェアが「ー」になっている
データが足りないか、まだ更新されていません。キーワードが新しい、検索の数が少ない、などが原因です。更新には1日から2日かかるので、直近の日付を外して見ます。
広告グループの一覧に、予算の損失が出てこない
予算はキャンペーンに付いているので、予算の損失はキャンペーン単位でしか見られません。また公式ヘルプには、期間中に予算を使い切った場合、ランクの損失が広告グループのタブに表示されないことがある、と書かれています。
自分のシェアと、オークション分析の競合のシェアが合わない
相手と自分では、「出られた検索」が一部しか重ならないからです。公式ヘルプには、自分の列が100%でも、相手の対象オークションでは50%になる例が載っています。相手の数字は、自分と重なっている部分での話として読みます。
シェアを上げたら、コンバージョン単価が上がった
シェアの最後の数割は、競争の激しい検索です。上げた分のクリックが高くつくのは自然なことです。コンバージョン単価が目標を超えるなら、上げた分を戻します。
慣れたらここまで
キーワード単位でインプレッションシェアを見ると、どの検索で負けているかが分かります。キーワードの一覧にも同じ列を足せます。

手を打つ順番は、「コンバージョンが出ていて、ランクで負けているキーワード」からです。成果が出ている検索で表示を取りこぼしているのが、いちばんもったいない状態です。広告文と飛び先をそのキーワードに合わせると、品質が上がってランクの損失が減ることがあります。
もう1つは、完全一致のインプレッションシェアです。登録したキーワードとぴったり同じ検索だけでのシェアです。部分一致で広く拾っていて全体のシェアが低くても、狙いの検索ではしっかり出ているか、をこれで確かめられます。
突き詰めるなら
インプレッションシェアを、週ごとに折れ線で並べておくと、市場の変化に早く気づけます。シェアが下がり始めた週に、オークション分析で新しい相手が出ていないかを見る、という流れです。

季節で検索が増える商売では、繁忙期の前にシェアを見ておくと、予算の上げ時が分かります。検索が増える時期に予算の損失が増え始めたら、それが予算を上げる合図になります。
まとめ
- インプレッションシェアは、出られた回数のうち実際に出た割合。推定なので少しの上下は気にしない
- 2つの損失率(予算、ランク)と並べて読む。3つを足すとおおむね100%
- 予算の損失が大きいなら、予算を上げるか出る範囲を絞る
- ランクの損失が大きいなら、品質と入札。予算を上げても表示は増えない
- 運用中の15キャンペーンでは、13でランクの損失のほうが大きかった
- 100%を目指さない。上げた分のクリックが成果に見合うかで決める
- 会社名・商品名の検索は別に見る
- 相手の動きは、オークション分析で2つの期間を比べて見る
「インプレッションシェア診断シート」は、3つの数字の記入欄、予算とランクのどちらから手を付けるかの判断表、上げてよいかの判断表、オークション分析の読み方、週ごとの記録表をまとめています。
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次のレッスン
第37回は、成果が出ないときの切り分け手順です。コンバージョン単価が上がった、件数が減った、というときに、どの数字から順に見て、原因を絞るかを扱います。
この講座の全42回の一覧は、講座トップにまとめています。 → Google広告マスター講座トップ


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