このページでわかること
こんにちは、あきです。
前回の第38回では、広告のテストのやり方を扱いました。この回は計測の上級編です。フォームの送信だけでなく、そのあと実際に商談や契約になったかまでを広告に返す方法、拡張コンバージョンとオフラインコンバージョンを扱います。
先に結論を出します。
拡張コンバージョンは、フォームに入力されたメールアドレスなどを、暗号のような形(ハッシュ化)にしてGoogleに送り、取りこぼしていたコンバージョンを拾い直す仕組みです。ふだんの計測に足して使うもので、置き換えるものではありません。
オフラインコンバージョンは、問い合わせのあと、店舗や電話や営業の場で起きた成果(商談、契約、来店)を、あとから広告に返す仕組みです。今のGoogle広告では、これは「リードの拡張コンバージョン」として、拡張コンバージョンと一体で扱う方向に進んでいます。
なぜ大事かというと、自動入札が「どの問い合わせが本物の客になったか」を学べるようになるからです。フォームの送信だけを成果にしていると、自動入札は送信の数を増やそうとします。いたずらや営業の売り込みでも、送信は送信です。

運用中のアカウントで、計測の設定を見ました。
| 見たもの | 結果 |
|---|---|
| 設定を読み取れたアカウント | 11アカウント |
| 顧客データに関する規約に同意しているアカウント | 11中6 |
| リードの拡張コンバージョンを有効にしているアカウント | 11中1 |
| オフラインのクリックのインポート(GCLIDのアップロード)のコンバージョンアクションがあるアカウント | 11中1 |
Google広告APIで2026年10月10日に集計しました。
規約への同意は半分ほど済んでいましたが、リードの拡張コンバージョンを実際に使っていたのは11中1でした。オフラインの成果を返す仕組みを持っていたのも同じく1つです。問い合わせのあとに営業や来店がある商売なのに、広告にはフォームの送信までしか返っていない、という形がいちばん多いです。
この回のゴールは3つです。
- 拡張コンバージョンとオフラインコンバージョンの違いと、2026年の変更点を説明できる
- 自分の商売で、どちらを、どの順で入れるかを決められる
- サイトの担当の方や営業の方に、何を頼めばいいかが分かる
所要時間は40分です。この回は、実装そのものより「何を準備し、誰に何を頼むか」を中心に書きます。タグの細かい書き方は、サイトを作った会社の方にお願いすることになるからです。
この回で使う「拡張コンバージョン準備シート」を、私のLINEで配布しています。準備の確認表、業種別の「返す成果」12業種、サイト担当と営業への依頼文をまとめました。
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1. なぜ取りこぼしが起きるのか
ふだんのコンバージョンの計測は、広告をクリックした人のブラウザに残る情報を手がかりにしています。

ところが、この手がかりが途切れる場面が増えています。
- ブラウザが、追跡に使われる情報を短い期間で消す
- 広告はスマホで見て、問い合わせはパソコンからする
- 問い合わせのあと、電話や店舗で成約する
この場合、広告がきっかけでも、Google広告からは「成果につながらなかったクリック」に見えます。拡張コンバージョンは、1つ目と2つ目の取りこぼしを、オフラインコンバージョンは3つ目を拾うための仕組みです。
2. 拡張コンバージョンの仕組み
公式ヘルプによると、拡張コンバージョンは、既存のコンバージョンの計測を補う機能です。

流れは次のとおりです。
1. お客様がサイトのフォームに、メールアドレスや電話番号を入れて送信する 2. 計測のタグが、その情報をSHA256という一方向のハッシュ化をしてからGoogleに送る 3. Googleが、広告を見たりクリックしたりしたときにログインしていたGoogleアカウントと照合する 4. 一致すれば、その広告のコンバージョンとして記録される
ハッシュ化は、元のメールアドレスに戻せない形に変える処理です。公式ヘルプには、Googleに送る前にハッシュ化すること、プライバシーに配慮したコンバージョンのみがレポートされることが書かれています。(出典 Google広告ヘルプ 拡張コンバージョンについて 2026年10月10日確認)
2つの種類
| 種類 | 向いている商売 | 何を拾うか |
|---|---|---|
| 拡張コンバージョン(ウェブ向け) | サイトの上で売上や申し込みが完結する | サイトで起きたコンバージョンの取りこぼし |
| リードの拡張コンバージョン | サイトで問い合わせを受け、サイトの外で成約する | 問い合わせのあとの商談、契約、来店 |
公式ヘルプの例では、リードの拡張コンバージョンは「アパートに関するオンラインでの問い合わせ」のように、サイトで見込み客を集めて、サイトの外で成約する広告主に向いているとされています。
3. 2026年に起きている2つの変更
この機能はいま、仕組みが大きく動いています。ここは公式ヘルプで確認した日付をそのまま書きます。

1 2つの拡張コンバージョンが、1つのオンとオフにまとまる
公式ヘルプには、拡張コンバージョン(ウェブ向け)とリードの拡張コンバージョンが、まもなく単一のオン、オフの設定に統合されると書かれています。2026年4月以降、ウェブサイトのタグ、データ マネージャー、APIの接続から、ユーザーが提供したデータを同時に受け取るようになり、既存の利用者は新しい統合設定へ自動で移行されるとあります。(出典 Google広告ヘルプ オフライン コンバージョンのインポートについて 2026年10月10日確認)
2 アップロードの経路が変わる
同じページの冒頭には、2026年6月15日以降、オフラインコンバージョンのインポートとリードの拡張コンバージョンのアップロードはData Manager APIに移り、Google Ads APIではブロックされる、と書かれています。
これは、自社の顧客管理の仕組みとGoogle広告を、プログラムでつないでいる場合の話です。管理画面からファイルを入れている、Googleの「データ マネージャー」でつないでいる、という場合は、この変更の影響は小さいと見ています。ただ、外部のツールでつないでいる場合は、そのツールが新しい経路に対応しているかを、ツールの提供元に確かめてください。
オフラインのインポートは「リードの拡張コンバージョン」へ
公式ヘルプは、オフラインコンバージョンのインポートをまだ入れていないなら、代わりにリードの拡張コンバージョンから始めるのがおすすめ、としています。すでに使っているなら、アップグレードがすすめられています。リードの拡張コンバージョンは、オフラインコンバージョンのインポートをアップグレードしたもの、という位置づけです。
4. 入れる前に決めること
拡張コンバージョンは、管理画面のスイッチを入れるだけでは動きません。先に3つを決めます。

何を成果として返すか
オフラインの成果を返すなら、まず「どの段階を返すか」を決めます。
| 段階 | 例 | 返す意味 |
|---|---|---|
| 問い合わせ | フォームの送信 | 今も返しているもの |
| 見込みのある客 | 商談の日程が決まった、見積もりを出した | いたずらや売り込みを除ける |
| 成約 | 契約、購入、来店 | 本当に売上になった客を学ばせられる |
公式ヘルプは、リードの拡張コンバージョンの目標として「有望な見込み顧客」や「コンバージョンに至った見込み顧客」を選ぶことをすすめています。成約まで日数がかかる商売では、成約だけを返すと件数が少なくなりすぎることがあるので、その手前の「見込みのある客」の段階を返すのが現実的なことが多いです。
どのデータを渡すか
照合に使うのは、フォームで受け取ったメールアドレスや電話番号です。フォームにメールアドレスの欄がない商売では、照合の手がかりが少なくなります。
規約とプライバシーポリシー
拡張コンバージョンを使うには、Google広告の管理画面で、顧客データに関する規約に同意する必要があります。あわせて、Googleの顧客データに関するポリシーに沿うことが求められます。自社のサイトのプライバシーポリシーで、お客様の情報をどう扱うかを示しているかも、サイトを作った会社や、必要なら専門家と確かめておくと安心です。
誰が実装するか
タグの設定は、サイトの担当の方にお願いすることになります。Googleタグを直接使うか、Googleタグ マネージャーを使うか、Google Ads APIやデータ マネージャーを使うかで、作業する人が変わります。
5. 設定の流れ
ここでは、管理画面で何をするかと、サイト側で何をしてもらうかを分けて書きます。

管理画面でやること
1. 「目標」から「コンバージョン」の「設定」を開く 2. 拡張コンバージョンをオンにする 3. 顧客データに関する規約を確認して、同意する 4. 実装の方法(Googleタグ、Googleタグ マネージャー、API)を選ぶ
メニューの名前と置き場所は、2026年10月時点の画面の構成をもとに書いています。時期によって変わることがあるので、見つからないときは「目標」の中のコンバージョンの設定を探してください。
公式ヘルプによると、拡張コンバージョンはアカウント単位で設定できます。アカウント単位で有効にすると、明示的に無効にしたものを除いて、既存のコンバージョンアクションにも有効になります。(出典 Google広告ヘルプ Google 広告のアカウント単位での拡張コンバージョンについて 2026年10月10日確認)
同じページには、コンバージョンアクション単位の設定が残っていると、アカウント単位の設定より優先され、ぶつかってデータが落ちることがある、とも書かれています。アカウント単位に切り替えるときは、アクション単位の設定を外すのが安全です。
サイト側でやってもらうこと
- Googleタグ マネージャーなら、コンバージョンのタグで「ユーザー提供データ」を含める設定をし、どの欄がメールアドレスかを指定する
- フォームの完了ページで、入力されたメールアドレスや電話番号を、タグが読める形にする
- リードの拡張コンバージョンなら、フォームの送信のときにデータを送る設定をする
具体的な手順は、使っているタグの方法によって違います。この部分は、7章の依頼文と一緒に、公式ヘルプのページをサイトの担当の方に渡すのが早いです。
確かめ方
設定のあと、データが正しく届いているかは、拡張コンバージョンの診断レポートで確かめられます。公式ヘルプには、よくある問題として、ユーザー提供データの不足や形式の誤り、ページに埋め込むコードの実装の誤りが挙げられています。反映には時間がかかるので、設定した当日にゼロでも慌てないでください。待つ時間の考え方は第33回と同じです。
6. オフラインの成果を返す流れ
問い合わせのあとの成果を返すには、広告の画面の外で、営業や店舗の記録とつなぐ作業が要ります。

流れ
1. お客様が広告をクリックしてサイトに来る 2. フォームを送ると、メールアドレスなどがハッシュ化されてGoogleに送られる 3. 自社の顧客管理(表計算や顧客管理の仕組み)に、その見込み客を記録する 4. 商談や契約になったら、その見込み客の情報をGoogle広告にインポートする 5. Googleが、送られていた情報と照合し、成果を元の広告に結び付ける
ここで大事なのが3つ目です。営業の現場で、「どの問い合わせが、いつ成約したか」が記録されていないと、返すものがありません。広告の設定より先に、営業の記録の付け方を決めておく必要があります。
GCLIDについて
広告をクリックすると、そのクリックごとに「Google クリック ID(GCLID)」という固有のIDが割り当てられます。公式ヘルプによると、従来のオフラインコンバージョンのインポートでは、このIDを見込み客の情報と一緒に保存しておき、成約したらそのIDと成果をGoogle広告に返します。リードの拡張コンバージョンでは、GCLIDに加えて、メールアドレスなどのユーザー提供データも照合に使えます。
公式ヘルプには、GCLIDとメールアドレスや電話番号を併用した広告主は、標準的なオフラインのインポートと比べて、コンバージョンが中央値で10%増えた、という数字も載っています。Googleの集計なので、自分のアカウントで同じだけ増えるとは限りません。
インポートの方法
インポートは、ファイルのアップロード、Googleの「データ マネージャー」、外部のツール、APIの接続などで行います。件数が月に数件なら、表計算からのファイルのアップロードで十分なことが多いです。件数が多く、毎日返したいなら、データ マネージャーや外部のツールで自動にします。
「拡張コンバージョン準備シート」には、入れる前の確認表、業種別の「返す成果」12業種、営業の記録の付け方の雛形、サイト担当と営業への依頼文をまとめています。
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7. 誰に何を頼むか
この回の作業は、広告の担当だけでは終わりません。3人に頼むことになります。

| 誰 | 頼むこと |
|---|---|
| 広告の担当(自分) | 規約への同意、拡張コンバージョンのオン、返す成果のコンバージョンアクションを作る |
| サイトの担当 | タグでユーザー提供データを送る設定、プライバシーポリシーの確認 |
| 営業、店舗の担当 | 問い合わせごとに、商談や成約になった日を記録する |
いちばん続かないのが、3人目の記録です。記録の欄を増やしすぎると、忙しい日に書かれなくなります。最初は「商談になった日」「成約した日」の2つの欄だけにして、週に1回まとめて付けてもらう、くらいの軽さで始めると続きやすいです。
8. 返した成果を、入札にどう使うか
オフラインの成果を返し始めても、すぐにメインのコンバージョンにしないでください。

最初はサブのコンバージョンにして、数週間、件数と日付のずれを見ます。件数が安定していて、問い合わせとの比率が実態と合っていることを確かめてから、メインに切り替えます。いきなりメインにすると、自動入札が学ぶ成果の中身が一度に変わり、配信が不安定になることがあります。メインとサブの考え方は第10回、自動入札の学習は第23回で扱いました。
成約の件数が少なすぎる場合は、「見込みのある客」の段階をメインにするほうが、自動入札には扱いやすいです。月に数件の成約だけでは、学ぶ材料が足りないことが多いからです。
9. つまずきポイント
規約に同意したのに、何も変わらない
規約への同意は入口にすぎません。拡張コンバージョンをオンにし、サイト側でユーザー提供データを送る設定をして、初めて動きます。
診断レポートに問題が出た
ユーザー提供データが足りない、形式が違う、などの問題が出ます。フォームのメールアドレスの欄を、タグが正しく読めていないことが多いです。
アカウント単位とアクション単位の設定がぶつかった
公式ヘルプには、アクション単位の設定がアカウント単位より優先され、ぶつかるとデータが落ちることがある、と書かれています。どちらか一方に寄せます。
オフラインの成果を入れたら、件数が思ったより少ない
照合できなかったものは数えられません。フォームにメールアドレスの欄がない、営業の記録の書き方が揃っていない、などが原因のことが多いです。
外部のツールでつないでいたら、急に入らなくなった
2026年6月15日以降、Google Ads APIからのオフラインのアップロードはブロックされると公式ヘルプにあります。ツールが新しい経路(Data Manager API)に対応しているかを、提供元に確かめてください。
慣れたらここまで
成約に金額があるなら、その金額をコンバージョン値として返せます。問い合わせの数ではなく、売上の大きい客を学ばせられるので、単価に幅がある商売では効きます。

金額を返すときは、税込か税抜かなど、社内で数え方を揃えておきます。月ごとに数え方が変わると、自動入札が学ぶ中身がぶれます。
突き詰めるなら
問い合わせから成約までの段階を、複数のコンバージョンアクションに分けて返すと、どの広告が「成約まで行く客」を連れてきているかが見えます。問い合わせは多いのに成約が少ないキャンペーンと、問い合わせは少ないのに成約が多いキャンペーンが分かれれば、予算の配り方が変わります。

段階を分けるときも、メインにするのは1つか2つにとどめます。全部をメインにすると、1人の客を何度も数えることになり、自動入札が実際より多くの成果が出ていると受け取ります。
まとめ
- 拡張コンバージョンは、フォームのメールアドレスなどをハッシュ化して送り、取りこぼしを拾い直す仕組み。今の計測に足して使う
- オフラインコンバージョンは、商談や契約をあとから広告に返す仕組み。今は「リードの拡張コンバージョン」として扱う方向
- 2026年4月以降、2つの拡張コンバージョンは1つのオンとオフにまとまり、既存の利用者は自動で移行される
- 2026年6月15日以降、オフラインのアップロードはData Manager APIへ。Google Ads APIではブロック
- 入れる前に、返す成果、渡すデータ、規約への同意、実装する人を決める
- 営業や店舗の記録がないと、返すものがない。記録は2つの欄から始める
- 返し始めた成果は、まずサブで数週間見てからメインに
- 運用中の11アカウントで、リードの拡張コンバージョンを使っていたのは1つ
「拡張コンバージョン準備シート」は、入れる前の確認表、業種別の返す成果12業種、営業の記録の雛形、やってしまうと困ること、サイト担当と営業への依頼文をまとめています。
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次のレッスン
第40回は、AI最大化設定(AI Max)と自動化機能との付き合い方です。この回で、自動入札に「本当の成果」を学ばせる準備をしました。次は、その自動化をどこまで任せるかを扱います。
この講座の全42回の一覧は、講座トップにまとめています。 → Google広告マスター講座トップ


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