このページでわかること
こんにちは、あきです。
前回の第36回では、インプレッションシェアで「出られたのに出られなかった表示」を読みました。この回は、講座の中でもいちばん実戦に近い回です。コンバージョン単価が上がった、件数が減った、というときに、どの数字から順に見て原因を絞るかを扱います。
先に結論を出します。
成果が落ちたときは、思いつきで直さず、決まった順番で上から切り分けます。順番は5段です。
1. 計測は止まっていないか 2. 表示回数は減っていないか 3. クリック率は下がっていないか 4. クリック単価は上がっていないか 5. コンバージョン率は下がっていないか
どの段で数字が動いたかが分かれば、見る場所は自然に決まります。逆に、この順番を飛ばして「広告文が悪いのでは」と書き換え始めると、本当の原因が別の段にあったとき、何週間も遠回りすることになりがちです。

運用中のアカウントで、直近30日とその前の30日を比べました。
| 見たもの | 結果 |
|---|---|
| 2つの期間ともコンバージョンがあったアカウント | 7アカウント |
| コンバージョンが2割以上減っていたアカウント | 7中4 |
| そのうち、クリック数はほぼ同じか増えていたのに減った | 4中3 |
| 直近30日にクリックが30回以上あった検索キャンペーンのクリック率 | 3.3%から29.1%(中央値10.1%)、15キャンペーン |
Google広告APIで2026年10月10日に集計しました。比べた期間は2026年8月10日から9月8日と、9月9日から10月8日の、それぞれ30日です。
コンバージョンが減った4アカウントのうち3つは、クリックは減っていませんでした。来る人の数は同じなのに、成果に至る人が減っていたのです。この形なら、広告文を書き換えても直りません。見るべきは、来た人の質と、来た先のページです。
そして、クリック率は同じ検索キャンペーンでも3%台から29%まで、ほぼ9倍の幅がありました。「クリック率の平均は何%か」と調べる方は多いのですが、平均と比べても、あまり判断の役に立たない理由がここにあります。4章で扱います。
この回のゴールは3つです。
- 成果が落ちたときに、5つの段を上から順に確かめられる
- 動いた段から、次に見る場所を選べる
- 原因を1つに絞り、直したあとの判断の日を決められる
所要時間は40分です。管理画面で、前の期間と比べた統計情報の表を開いて読み進めてください。
この回で使う「成果が出ないときの切り分けシート」を、私のLINEで配布しています。5つの段の数字を書き込むと、次に見る場所が決まる形にしました。
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1. 最初に「本当に悪くなったのか」を確かめる
切り分けの前に、3つだけ確かめます。ここで「悪くなっていなかった」と分かることも、実はよくあります。

件数が少なすぎないか
コンバージョンが月に十数件のアカウントでは、週ごとのコンバージョン単価は6倍から8倍ぶれることがあります。これは第34回で見た実測です。1週間に1件か3件かで、単価は3倍変わります。
月に30件に届かないなら、まず期間を4週間以上に延ばして、それでも悪くなっているかを見ます。延ばしたら元に戻っていた、ということなら、それは件数のぶれです。設定を変える理由にはなりません。
比べている期間がそろっているか
2つの期間の長さと曜日の並びがそろっていないと、何も変わっていなくても数字が動きます。月曜を2回含む7日と、土曜を2回含む7日では、平日と週末で動きが違う商売なら結果が違って見えます。直近の2日は、コンバージョンがあとから付くので外します。
時期のせいではないか
去年の同じ時期と比べて、同じように落ちていないかを見ます。連休、年末、決算期、季節の商品など、商売によっては毎年同じ時期に検索そのものが減ります。去年も同じ時期に落ちていたなら、広告の問題ではなく市場の動きです。
2. 切り分けの5つの段
3つを確かめても、やはり悪くなっているなら、5つの段を上から見ていきます。

なぜこの順番なのかは、数字の関係から来ています。
| 段 | 確かめること | ここが動いていたら |
|---|---|---|
| 1 計測 | コンバージョンの記録が止まっていないか | 3章へ。他の段を見る前に直す |
| 2 表示回数 | 前の期間より減っていないか | 4章 |
| 3 クリック率 | 前の期間より下がっていないか | 5章 |
| 4 クリック単価 | 前の期間より上がっていないか | 6章 |
| 5 コンバージョン率 | 前の期間より下がっていないか | 7章 |
コンバージョン単価は、平均クリック単価 ÷ コンバージョン率でした。(第34回)つまり、コンバージョン単価が上がったなら、4段目か5段目のどちらか、または両方が動いています。件数が減ったなら、2段目、3段目、5段目のどれかです。
1段目の計測を最初に置くのは、計測が止まっていると、ほかの段の数字が全部正しく見えなくなるからです。
変化の大きさを数字で書く
各段の数字を「前の期間 → 今の期間」で並べ、今 ÷ 前の倍率を出します。倍率で見ると、どの段がいちばん大きく動いたかが一目で分かります。

| 段 | 前の期間 | 今の期間 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 表示回数 | 10,000 | 10,500 | 1.05倍 |
| クリック率 | 8.0% | 7.8% | 0.98倍 |
| クリック単価 | 100 | 102 | 1.02倍 |
| コンバージョン率 | 3.0% | 1.8% | 0.60倍 |
この例(架空の数字です)なら、ほかの段はほとんど動いておらず、コンバージョン率だけが4割下がっています。見るべきは7章の側です。
3. 1段目 計測が止まっていないか
コンバージョンが急に0件になった、またはある日から急に減ったなら、最初に計測を疑います。

出やすいサインは3つです。
- ある日を境に、コンバージョンが0件の日が続いている
- クリック数は変わらないのに、コンバージョンだけが急に減った
- 自社の管理画面や受信メールでは問い合わせが来ているのに、広告の画面では数字が出ない
運用中のアカウントでも、2つの期間ともコンバージョンが0件で、計測そのものが成り立っていないアカウントが1つありました。この状態では、ほかの段をいくら見ても判断ができません。
確かめ方と直し方は、第33回で扱いました。コンバージョンアクションの状態の表示を見て、「コンバージョンを記録中」以外なら、そちらを先に直します。サイトを作り直した日、フォームを変えた日と、減った日が重なっていないかも見ます。
4. 2段目 表示回数が減った
表示回数が減ったなら、「出られなくなった」か「出る場面そのものが減った」かを分けます。

インプレッションシェアで分ける
第36回のインプレッションシェアを、2つの期間で並べます。
- シェアが下がっている ー 出られなくなった。予算の損失か、ランクの損失のどちらが増えたかを見る
- シェアは変わらない ー 出る場面(検索の数)そのものが減った。時期や市場の動き
出られなくなる、よくある原因
シェアが下がっていたら、次のどれかが起きていることが多いです。
| 原因 | 確かめる場所 |
|---|---|
| 予算を下げた、予算を早く使い切るようになった | 予算の損失、変更履歴 |
| 広告が不承認になった | 広告の一覧のステータス(第19回) |
| 支払いが止まった | 請求の画面(第8回) |
| キャンペーンの終了日が来た | キャンペーンの設定 |
| 入札戦略や目標の単価を変えた | 変更履歴(第21回) |
| 競合が強くなった | ランクの損失、オークション分析(第36回) |
| 除外キーワードを足しすぎた | 除外の記録(第35回) |
意外と多いのが、自分で変えたことを忘れている、という原因です。8章の変更履歴と、減った日を並べると、すぐに見つかることがあります。
5. 3段目 クリック率が下がった
表示はされているのに、押されなくなった状態です。

「クリック率の平均」と比べない
「クリック率の平均は何%か」は、よく調べられる質問です。ただ、冒頭の表のとおり、運用中の15の検索キャンペーンのクリック率は、3.3%から29.1%まで、ほぼ9倍の幅がありました。真ん中は10.1%です。
同じ検索広告でも、これだけ違う理由は主に3つです。
- 会社名や商品名の検索は、クリック率が高くなりやすい。その名前を探している人が検索しているため
- 一般の言葉で幅広く拾うキャンペーンは、低くなりやすい
- 競合が多い検索では、上に出られないとクリック率が下がる
だから、比べる相手は「世の中の平均」ではなく、「同じキャンペーンの前の期間」です。前の期間より大きく下がったなら、何かが変わっています。
クリック率が下がる、よくある原因
| 原因 | 確かめる場所 |
|---|---|
| 広がった検索に出ている | 検索語句レポート(第35回)。意図の違う語が増えていないか |
| 掲載の位置が下がった | 上部インプレッション シェア(第36回) |
| 競合の広告が強くなった | オークション分析。新しい相手、上部掲載率の変化 |
| 広告文やアセットを変えた | 変更履歴(第16回、第17回) |
| 部分一致のキーワードを足した | 検索語句の数が急に増えていないか |
いちばん多いのは、1つ目の「広がった検索に出ている」です。部分一致のキーワードや自動入札で、狙いより広い検索に出るようになると、表示回数は増えるのにクリック率は下がります。この形なら、広告文ではなく、検索語句の側を直します。
6. 4段目 クリック単価が上がった
同じクリックを取るのに、前より高く払っている状態です。

クリック単価が上がる原因は、大きく3つです。
1. 競合が増えた、入札を強めた ー オークション分析で、新しい相手や、広告の重複率が上がった相手がいないか 2. 自分の入札が上がった ー 自動入札の目標を変えた、入札戦略を変えた、予算を上げて入札の幅が広がった 3. 品質が下がった ー 広告と検索の関連性、飛び先のページ。広告ランクは入札と品質で決まるので、品質が下がると同じ順位に出るのに高く払うことになる
公式ヘルプには、広告ランクは大まかに、入札単価、広告とランディング ページの品質、広告ランクの下限値、オークションにおける競争力、ユーザーが検索に至った背景、広告アセットなどの見込み効果、の6つの要素で決まると書かれています。(出典 Google広告ヘルプ 広告ランクについて 2026年10月10日確認)品質の見方は第22回で扱いました。
自動入札では、クリック単価が上がること自体は悪いことではありません。コンバージョン率の高い検索に、高く入札している結果かもしれないからです。クリック単価だけでなく、コンバージョン単価が上がったかで判断します。
7. 5段目 コンバージョン率が下がった
来る人の数は変わらないのに、成果に至る人が減った状態です。冒頭のとおり、コンバージョンが減った4アカウントのうち3つが、この形でした。

2つの方向から見る
コンバージョン率が下がる原因は、「来る人が変わった」か「来た先が変わった」のどちらかです。
| 方向 | 確かめること |
|---|---|
| 来る人が変わった | 検索語句レポートで、意図の違う語が増えていないか。デバイス、地域、時間帯の内訳が変わっていないか |
| 来た先が変わった | 飛び先のページを変えていないか。フォームの項目を増やしていないか。ページが遅くなっていないか。在庫切れや価格の変更はないか |
来る人の側は、第34回の分割と、第35回の検索語句レポートで見られます。分割を1つずつかけて、どこか1つの内訳だけが大きく落ちていないかを見ます。
来た先の側は、広告の画面の外で起きていることが多いです。サイトの担当の方に、その期間に何を変えたかを聞くのが早いです。キャンペーンを止めずに、まず自分で広告から飛んで、問い合わせの最後の画面まで進んでみてください。フォームが送れない、ページが表示されない、といった単純な原因が見つかることがあります。
広告の外で起きやすい変化
運用の相談でよく見つかる「来た先」の変化を並べます。どれも広告の管理画面には出てきません。
| 変化 | 起きること |
|---|---|
| 飛び先のページが消えた、URLが変わった | 広告から来た人が、見つからないページに着く |
| フォームの項目を増やした、必須を増やした | 入力の途中でやめる人が増える |
| フォームの送信エラー | 送ったつもりで届いていない。計測も止まる |
| 電話番号や営業時間の変更 | 電話の成果が別の番号に流れる、つながらない |
| 在庫切れ、価格の改定 | 来ても買えない、比べて離れる |
| ページの表示が遅くなった | 読み込みの途中で離れる |
サイトの更新は、広告の担当とは別の人がやっていることが多いので、変えたことが伝わっていないことがよくあります。月に1回、サイトで何を変えたかを聞く習慣があると、ここで迷う時間が減ります。
季節と競合のキャンペーン
来る人もページも変わっていないのに下がったなら、季節や、競合のセールを疑います。同じ商品を競合が安く売り始めると、比べた末にそちらで買う人が増えます。広告の数字には出てこないので、競合のサイトを実際に見に行きます。
「成果が出ないときの切り分けシート」には、5つの段の記入表、段ごとの確かめる場所の一覧、変更履歴と減った日を並べる表、サイトの担当の方への確認文をまとめています。
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8. 変更履歴と、減った日を並べる
どの段で動いたかが分かったら、その日の前後に何を変えたかを見ます。

変更履歴の開き方
1. 左のメニューの「キャンペーン」から「変更履歴」を開く 2. 右上で期間を選ぶ 3. フィルタで、キャンペーン、変更の種類、ユーザー、ツールなどに絞る
公式ヘルプによると、変更履歴では過去2年間の変更を見られます。管理画面での操作だけでなく、自動化ルール、Google Ads API、Google広告エディタでの変更も記録されます。過去30日の変更であれば、ほとんどの種類は元に戻せます。(出典 Google広告ヘルプ アカウントの履歴を確認する 2026年10月10日確認)
広告の外の変更も並べる
変更履歴に出てくるのは、広告の中の変更だけです。サイトの更新、フォームの変更、価格の変更、在庫切れ、営業時間の変更は出てきません。自分で「変えたことの記録」を付けておくと、ここで役に立ちます。第34回の特典の記録表を使ってください。
9. 原因が絞れたら、1つだけ直す
原因の候補が見つかっても、まとめて直さないでください。

直すのは1つだけです。2つ以上を同時に変えると、翌月に数字が戻っても、どれが効いたのか分かりません。効かなかったときに、どれを戻せばいいのかも分かりません。
直したら、判断の日を先に決めます。コンバージョンが月に30件に届かないなら4週間後、それ以上なら2週間後が目安です。自動入札を使っているキャンペーンでは、設定を変えると学習が入り直すことがあるので、その分も待ちます。学習期間の話は第23回で扱いました。
判断の日までは、ほかの設定を触らないのが理想です。どうしても触るなら、触ったことを記録しておきます。
10. つまずきポイント
広告文を何度書き換えても、成果が戻らない
原因が広告文ではない段にある可能性が高いです。クリック率が下がっていないのに広告文を変えても、成果は戻りません。2章の表で、どの段が動いたかを先に確かめます。
クリック率が業界の平均より低いので、不安になった
平均との比較は、判断にほとんど使えません。同じ検索広告でも、運用中のキャンペーンで9倍の幅がありました。比べる相手は、同じキャンペーンの前の期間です。
全部の段が少しずつ悪くなっている
どの段も1割前後の動きなら、件数のぶれや時期の影響のことが多いです。1章に戻って、期間を延ばしても同じかを見ます。
Googleの担当者や画面のおすすめに従って直したら、悪くなった
おすすめは、その段の原因に合っていないことがあります。たとえば、コンバージョン率が下がっているときに「予算を上げましょう」に従っても、来た人が成果に至らない状態は変わりません。おすすめを使う前に、どの段に効く変更なのかを考えます。
コンバージョンは減ったが、自社の問い合わせは減っていない
計測の側を疑います。電話の問い合わせが増えた、フォーム以外の経路で来ている、なども考えられます。第33回の手順で、計測が止まっていないかを先に確かめます。
慣れたらここまで
キャンペーンの合計で段を見たら、次はキャンペーン、広告グループ、キーワードと、1段ずつ下りていきます。合計でコンバージョン率が下がっていても、実は1つのキャンペーンだけが大きく落ちていて、ほかは変わっていない、ということがよくあります。

下りるときは、費用の大きい順に見ます。費用の小さいキャンペーンの変化は、全体にはほとんど響きません。第35回の検索語句と同じで、上から見るのがいちばん速いです。
もう1つ、変動レポートも使えます。第34回で触れたとおり、変動が大きいキャンペーンと考えられる原因を出してくれます。候補として眺め、この回の5つの段で自分で確かめるのが無難です。
突き詰めるなら
成果が落ちるのを待ってから切り分けるのではなく、毎週、5つの段の数字を記録しておくと、落ち始めの週に気づけます。

「いつもの幅」を知っておくのがコツです。8週ほど記録すると、そのアカウントのクリック率やコンバージョン率が、ふだんどれくらい上下するかが分かります。いつもの幅の中なら様子見、外に出たら切り分け、と決めておくと、慌てて設定を触ることが減ります。
広告の外、つまりサイト、価格、在庫、営業の対応まで含めて切り分けたいなら、GA4のデータと並べます。広告から来た人が、ページのどこで離れているかが見えます。
まとめ
- 成果が落ちたら、まず「件数」「期間」「時期」で本当に悪くなったかを確かめる
- 5つの段を上から見る。計測、表示回数、クリック率、クリック単価、コンバージョン率
- コンバージョン単価 = クリック単価 ÷ コンバージョン率。どちらが動いたかで見る場所が決まる
- 運用中の7アカウントでは、コンバージョンが減った4つのうち3つで、クリックは減っていなかった
- クリック率は世の中の平均ではなく、同じキャンペーンの前の期間と比べる。15キャンペーンで9倍の幅があった
- 変更履歴と、広告の外の変更を、減った日と並べる
- 原因が絞れたら、直すのは1つだけ。判断の日を先に決める
「成果が出ないときの切り分けシート」は、5つの段の記入表と倍率の計算欄、段ごとの確かめる場所、業種別の「広告の外で起きやすい変化」12業種、変更の並べ表、サイト担当への確認文をまとめています。
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次のレッスン
第38回は、テストのやり方と広告の入れ替え判断です。この回で「直すのは1つだけ」と書きました。その1つが本当に効いたのかを、Google広告の「テスト」の機能で確かめる方法を扱います。
この講座の全42回の一覧は、講座トップにまとめています。 → Google広告マスター講座トップ


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