このページでわかること
こんにちは、あきです。
第4回は、広告を出す前にほとんどの人が一度は止まるところです。代理店に任せるのか、自分でやるのか。
先に結論を書きます。この判断を分けるのは、予算の大きさではありません。「1か月のあいだに、決まった人が、決まった回数、管理画面を開けるかどうか」です。
金額で決めようとすると、たいてい間違えます。月20万円でも自分で回せている会社があり、月200万円でも社内に誰も見る人がいなくて止まっている会社があります。違いは金額ではなく、手が動くかどうかです。

このページでは、次の順番で書きます。
1. 任せると、実際にいくら払うことになるのか(手数料の3つの型) 2. 自分でやると、実際に何を何回やることになるのか(運用中のアカウントの実測) 3. どちらを選ぶかを5つの問いで決める 4. 代理店を選ぶときに本当に効くチェック(Googleの公式要件から逆算する) 5. アカウントの持ち主は誰なのか(いちばん大事なのに、ほとんど書かれていない) 6. 契約の前に決めておく5項目
このページは、代理店に頼むことをすすめる記事でも、自分でやることをすすめる記事でもありません。私は広告代理店をやっている側の人間です。そのうえで、自分でやったほうがいい会社にはそう書きます。理由は最後に書きます。
このレッスンで使う「代理店 選定チェックリスト」を、私のLINEで配布しています。契約前に必ず聞く質問と、返ってきた答えの見方を1枚にまとめたものです。
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1. 任せると、実際にいくら払うのか
手数料には3つの型がある
広告費とは別に、運用してもらうための手数料がかかります。この手数料の決め方には、大きく3つの型があります。
| 型 | 決め方 | よくある形 |
|---|---|---|
| 料率型 | 広告費に対して何パーセント | 広告費が増えると手数料も増える |
| 定額型 | 月いくら、で固定 | 広告費が増えても手数料は変わらない |
| 最低保証つき料率型 | 料率で計算し、下限を下回ったら下限を請求 | 実際にはこの型がいちばん多い |

ここで注意することが1つあります。「相場は広告費の20%です」と書いてある記事がとても多いのですが、この数字にGoogleの公式な定めはありません。Googleは手数料を決めていませんし、上限も下限も設けていません。代理店とあなたの契約で決まるだけです。
だから20%という数字を前提に予算を組まないでください。見るべきなのは率ではなく、「自分の場合、月にいくら払うことになるのか」という金額そのものです。
少額のときに何が起きるか
3つ目の型(最低保証つき)が実際にいちばん多いので、ここだけ具体的に見ておきます。
たとえば「広告費の20%、ただし最低5万円」という条件だったとします。このとき、実際に払う額はこうなります。
| 月の広告費 | 手数料 | 広告費に対する実質の負担率 |
|---|---|---|
| 10万円 | 5万円(最低額) | 50% |
| 20万円 | 5万円(最低額) | 25% |
| 25万円 | 5万円(ちょうど) | 20% |
| 50万円 | 10万円 | 20% |
| 100万円 | 20万円 | 20% |
広告費が少ないほど、実質の負担率は跳ね上がります。月10万円で始めようとしている人が「相場は20%らしい」と思っていると、実際には50%取られることになります。悪質だという話ではありません。どんな金額でも、代理店側がやる作業の量はあまり変わらないからです。
だからこの判断は「少額なら自分でやるしかない」という形になりやすい、というのが実態です。
手数料のほかにかかるもの
見積もりを見るときは、次の3つが別立てになっていないかを確認してください。
- 初期構築費 … アカウントを作り、キャンペーンを組み立てる作業の費用。1回だけかかる形が多い
- 計測タグの設置費 … コンバージョンの計測を入れる作業。サイト側をさわる作業なので別料金になりやすい
- バナーや動画の制作費 … 検索広告だけなら不要ですが、ほかの種類を出すなら別にかかる
代理店は、その手数料で何をやっているのか
手数料の話をしたので、その中身も書いておきます。運用代行という仕事は、大きく4つの工程に分かれます。
| 工程 | 中身 | 自分でやる場合の難しさ |
|---|---|---|
| 1 設計 | 誰に何を売るのかを決め、キーワードの方針とキャンペーンの分け方を決める | 考え方さえ分かればできる。時間はかかる |
| 2 構築 | アカウントを作り、キーワードと広告文を入れ、計測を入れ、審査を通す | 最初の1回がいちばん重い。2回目からは速い |
| 3 運用 | 検索語句を見て除外する、効いている広告を残す、予算を配り直す | 回数が要る。ここが続かないと成果が落ちる |
| 4 報告 | 数字をまとめ、何が起きたかを説明し、次に何をするかを決める | 自分でやるなら報告は不要。ただし記録は要る |
この4つのうち、外から見えるのは4番だけです。だからレポートの見た目が立派な会社が良い会社に見えます。実際に成果を分けているのは3番です。
3番がやられているかどうかは、あとで確かめる方法があります。この章の最後に書きます。
グロスとネットという言い方
請求書の書き方に2通りあります。この違いを知らないと、同じ条件なのに高く見えたり安く見えたりします。
- グロス … 広告費と手数料をまとめて1本で請求する。請求書には合計額だけが並ぶ
- ネット … 広告費と手数料を分けて請求する。何にいくら使ったかが見える
どちらが得か、という話ではありません。ただ、グロスだと「広告費として実際にいくらGoogleへ流れたのか」が請求書からは読めません。気にする人はネットを選んでください。私はネットのほうがおすすめですが、それはあとで自分たちで判断できるようにしておいたほうがいい、という理由からです。
2. 自分でやると、実際に何をするのか
ここからが、この記事でいちばん書きたかったところです。
「自分で運用する」と書いてある記事はたくさんあります。ただ、その運用が1か月にどれくらいの作業量なのかを数字で書いた記事を、私は見つけられませんでした。なので実際に測りました。
運用中のアカウントで、1か月に何回さわっているか
私が運用している広告アカウントで、実際に数えました。対象は、直近28日間に配信があった7つのアカウントです。「変更履歴」に残っている操作の件数を数えました(2026年8月30日に取得)。
変更履歴というのは、管理画面の中にある記録です。誰が、いつ、どこを、どう変えたかが全部残ります。ここを数えれば、運用という仕事の量がそのまま出ます。

| 28日間の変更件数 | |
|---|---|
| いちばん少ないアカウント | 1件 |
| 中央値 | 56件 |
| いちばん多いアカウント | 135件 |
中央値で56件です。週にならすと14件。「月に1回まとめて見る」では足りない、という数字です。
ただし、いちばん少ないアカウントは1件でした。これは放っておいて良かったわけではなく、動かす必要のある状態なのに手が入っていないという意味です。実際そのアカウントは成果が伸びていません。

何をさわっているのか
件数だけだと「何かをたくさんやっているらしい」で終わるので、中身の内訳も出しました。7つのアカウントを合計した、変更の種類の内訳がこれです。
| 変更した場所 | 多さ |
|---|---|
| 広告グループのキーワードまわり | いちばん多い |
| キャンペーンのキーワードまわり(除外キーワードを含む) | 2番目 |
| 広告文 | 3番目 |
| 予算 | ときどき |
| キャンペーンそのもの | まれ |

運用の実体は、キーワードの出し入れです。
ここは大事なので言い換えます。多くの人は運用と聞くと「広告の文章を考える仕事」だと思います。実際に手を動かしている量でいうと、違います。大半は「検索された言葉を見て、要らないものを止めて、効いているものを足す」作業です。
この作業は、やり方さえ分かれば難しくありません。判断の材料が管理画面に全部あるからです。この講座では第35回で扱います。ただし、回数が要ります。月に1回では、要らない検索語句にお金が流れ続けます。
自分でやると、何が得で何が損なのか
数字の話が続いたので、いったん整理します。
| 良いところ | きついところ | |
|---|---|---|
| 自分でやる | 手数料がまるごと広告費に回せる/検索されている言葉が毎週見えるので、商品や記事のネタが手に入る/止める判断がその場でできる | 最初の1か月が重い/続ける仕組みを自分で作る必要がある/間違えたときに気づくのが遅れる |
| 任せる | 立ち上がりが速い/自分の時間が空く/ほかの媒体もまとめて見てもらえる | 手数料がかかる/中で何が起きているかが見えにくい/担当者によって差が出る |
「検索されている言葉が毎週見える」は、見落とされがちですが大きいところです。お客さんが実際にどんな言葉で探しているかは、広告を出していないと分かりません。この一覧は、広告だけでなく記事やLPの材料にもなります。自分で運用している会社は、これを毎週見ることになります。
時間の目安
私の実感として、最初の1か月と、2か月目以降ではかかる時間が違います。
| 時期 | やること | 時間の目安 |
|---|---|---|
| 最初の1か月 | アカウントを作る・計測を入れる・キーワードを組む・審査を通す | まとまった時間が10時間ほど |
| 2か月目以降 | 検索語句を見る・除外する・広告文を入れ替える・予算を調整する | 週に1時間を決まった曜日に |
「週に1時間」がこの講座の前提です。これが取れないなら、任せたほうがいいというのが私の答えです。逆に、これが取れるなら、少額のうちは自分でやったほうが手数料のぶんだけ広告費に回せます。
3. どちらを選ぶかを、5つの問いで決める
ここまでの話を、実際に選べる形にします。次の5つに答えてください。

問い1 週に1時間、決まった曜日に管理画面を開ける人がいるか
「時間があるとき」ではなく「毎週水曜の朝」のように曜日で決められるかを見てください。広告は決まった間隔で見ないと、悪くなっていることに気づけません。
- いる → 自分でやれる可能性が高い
- いない → 任せる側に寄る
問い2 商品の粗利は、1件あたりいくらか
1件売れて残る金額が小さいと、そもそも広告で採算が合いません。この計算は第3回でやりました。まだ計算していないなら先にそちらを読んでください。
問い3 コンバージョンの計測が入っているか
これが入っていないと、代理店に任せても自分でやっても同じ結果になります。何が売れたのか分からないまま、クリック数だけを見ることになるからです。
計測の入れ方はこの講座の第10回から第12回で扱います。まだ入っていないなら、そこを先に片付けてください。任せるかどうかの判断は、そのあとで大丈夫です。
問い4 月の広告費はいくらか
上の表のとおり、少額だと手数料の負担率が跳ね上がります。目安として、最低手数料を割り込む金額しか出せないなら、その状態で任せるのは割に合いません。
割に合わないというのは、代理店が悪いという意味ではありません。その金額だと、代理店側も十分な時間をかけられないという意味です。
問い5 やめたいときに、やめられる契約か
これは金額の話ではないので後回しにされがちですが、あとでいちばん効いてきます。解約の予告期間と、そのときアカウントがどうなるかを先に決めておいてください。詳しくは6章に書きます。
5つの答えの読み方
| 状況 | おすすめ |
|---|---|
| 週1時間が取れる・広告費が少額 | 自分でやる。この講座がそのために作られています |
| 週1時間が取れない・広告費はある | 任せる。ただし6章のアカウントの持ち主の話だけは先に読んでください |
| 週1時間は取れるが、何をすればいいか分からない | 自分でやる。分からないのは知識の問題なので、時間があるなら解決できます |
| 計測が入っていない | どちらでもない。先に計測を入れてください |
4. 代理店を選ぶときに、本当に効くチェック
任せると決めた人向けです。「実績が豊富」「専任担当がつく」といった言葉は、どこの会社のサイトにも書いてあるので判断材料になりません。代わりに、確認できるものを2つ挙げます。
Google Partners のバッジは、何を証明しているのか
代理店のサイトでよく見る「Google Partner」というバッジがあります。これが何の条件で付くのかは、Googleの公式ヘルプに書いてあります。要件は3つです。
| 要件 | 基準 |
|---|---|
| 実績 | 登録しているアカウントで最適化スコア70%以上 |
| ご利用金額 | 過去90日間、配下のアカウント合計の広告費が1万米ドルを超えていること |
| 認定資格 | アカウント担当者の50%以上が認定資格を持っていること。加えて、過去90日で500米ドル以上使った分野ごとに資格保有者が1人以上 |
出典 Google広告ヘルプ「Google Partner または Premier Partner のステータスを得る方法」(https://support.google.com/google-ads/answer/9702452?hl=ja 2026年8月30日確認)。判定は毎日おこなわれると書かれています。

さらに上位の Premier Partner は、各国の参加代理店の上位3%(年に1度決定)に入る必要があります。判定に使われるのは、既存クライアントの成長率・新規クライアントの成長率・クライアントの維持率・サービスの多様化・年間のご利用額の5つです。
ここから読み取れることは2つです。
1つ目。バッジは「規模」と「資格の保有率」の証明であって、あなたの商売で成果が出た証明ではありません。広告費の合計が1万ドルを超えていて、担当者の半分が資格を持っていれば付きます。
2つ目のほうが大事です。要件の1つに「最適化スコア70%以上」が入っています。
最適化スコアという数字が、代理店の行動を変える
最適化スコアというのは、管理画面に出てくる0〜100%の数字です。Googleが「こうしたほうがいい」と提案してくる項目を、どれだけ適用したかで上がります。

つまりこういう構造になっています。代理店はバッジを維持するために、この数字を70%以上に保つ必要があります。そしてこの数字は、Googleの推奨をそのまま適用すると上がります。
推奨の中身は、予算を増やす・キーワードを広げる・自動入札に変える・部分一致を使う、といったものが並びます。どれも間違いではありませんが、あなたの商売にとって正しいとは限りません。
実際に私が運用しているアカウントの最適化スコアを測ってみると、56%から87%までばらついていました(2026年8月30日時点)。低いアカウントは、推奨をわざと適用していないアカウントです。予算を増やす推奨や、キーワードを広げる推奨を、その商売では不利だと判断して入れていません。
だから聞くべき質問はこれです。
「最適化スコアは、うちのアカウントではどれくらいですか。低い項目があるとしたら、それはなぜ適用していないんですか」
この質問にちゃんと答えられる代理店は、数字ではなくあなたの商売を見ています。逆に「スコアを100%にします」と言い切る相手は、Googleの推奨をそのまま入れるという意味なので、注意してください。
なお、この話は代理店を悪く言うための話ではありません。私も同じ制度の中にいます。知らないまま任せるのと、知ったうえで任せるのとで、結果が変わるだけです。
「正規代理店」「認定代理店」という呼び方について
サイトでよく見る言い方に、正規代理店・認定代理店・公認パートナーなどがあります。言い方は各社が自由に付けているので、そろっていません。
Googleが公式に運用している制度は、Google Partners プログラムの「Partner」と「Premier Partner」の2つだけです。上の表がその要件です。それ以外の呼び方は、公式の制度ではありません。
言い方に意味がないという話ではありません。ただ、名前で判断できるものではない、ということです。判断するなら要件で見てください。
代理店には種類がある
もう1つ、選ぶときに知っておくと早いことがあります。代理店は横並びではなく、得意な形が分かれています。
| 型 | 得意なこと | 向いている人 |
|---|---|---|
| 総合型 | 複数の媒体をまとめて扱う。制作も社内にある | 予算が大きく、媒体をまたいで出したい |
| 媒体特化型 | 検索広告なら検索広告に絞って深い | 1つの媒体で確実に伸ばしたい |
| 少額特化型 | 小さい予算でも受ける。最低手数料が低め | 月10万円台から始めたい |
| 業種特化型 | その業種の勝ちパターンを持っている | 競合が強い業種で、早く立ち上げたい |
どれが良いという話ではありません。自分がどれを求めているかを先に決めてから探すと、比較が速くなります。
認定資格について
要件の3つ目にあった「認定資格」は、無料で誰でも受けられるものです。代理店だけのものではありません。次の第5回でまるごと扱います。
ここまでで、どんな相手を探すかが決まりました。次は、その相手に何を聞くかです。「代理店 選定チェックリスト」には、相見積もりのときに全社へ同じ順で聞く7項目と、実質の負担率をその場で割り出す欄を入れてあります。私のLINEで配布しています。
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5. アカウントの持ち主は誰なのか
ここが、この記事でいちばん読んでほしいところです。そして、代理店比較の記事にはほぼ書かれていません。
2つのパターンがある
広告を代理店に任せるとき、アカウントの作られ方には2通りあります。

パターンA 代理店が、自分たちの管理画面の下に、あなたのアカウントを新しく作る
いちばん多い形です。手続きが速く、あなたは何もしなくて済みます。ただし、そのアカウントは代理店の管理下にあります。
パターンB あなたが自分でアカウントを作り、代理店にアクセス権を渡す
先に自分でアカウントを作っておき、あとから代理店を招待します。ひと手間かかりますが、アカウントはあなたのものです。
何が違うのか
契約が続いているあいだは、どちらでも同じように運用できます。違いが出るのは、代理店を変えるときと、自社に戻すときです。
広告アカウントの中には、時間をかけないと戻せないものが溜まっています。
| 溜まっているもの | 失うと何が起きるか |
|---|---|
| コンバージョンの計測設定と、その履歴 | 過去に何件売れたかの記録が消える。自動入札の学習もやり直しになる |
| 検索語句の記録 | どんな言葉で検索されたかの蓄積。除外キーワードの根拠がここにある |
| 除外キーワードのリスト | 何か月もかけて溜めた「要らない言葉」の一覧 |
| 広告の審査を通した履歴 | ー |
アカウントを引き継げれば、これが全部残ります。引き継げなければ、ゼロからやり直しです。
だから、先に決めておく
契約する前に、この1問だけは必ず聞いてください。
「アカウントは、うちの名義で作って御社に権限をお渡しする形にできますか。契約が終わったときに、アカウントはうちに残りますか」
「できます」と即答する会社は、この話を分かっています。渋る会社は、理由を聞いてください。理由が説明できるなら問題ありません(代理店側の管理の都合や、請求のまとめ方の都合で、実際にパターンAしか受けられない会社もあります)。説明できないなら、そこは考えたほうがいいところです。
なお、アカウントのアクセス権は管理画面から付けたり外したりできます。渡すのも外すのも、あなたの側の操作でできるというのが前提です。

自分でアカウントを作る手順は、次の次の第6回でやります。任せるつもりの人も、アカウントだけは自分で作っておくことをおすすめします。作るのは無料です。
いま任せている人へ。働いているかを自分で確かめる方法
すでに代理店に任せている人向けに、1つだけ実用的な話を書きます。レポートを読まなくても、代理店が実際に手を動かしているかは、あなた自身で確認できます。
使うのは変更履歴です。2章で私が実測に使ったのと同じ画面です。管理画面の左側のメニューのいちばん下にあります。

ここには、誰が・いつ・どこを・どう変えたかが全部残ります。代理店がやった操作も、あなたが見ることができます。期間を「過去30日」にして、件数を見てください。
2章で出した実測と比べてください。
| 30日間の変更件数 | 読み取れること |
|---|---|
| 0〜数件 | ほぼ手が入っていない。自動入札に任せきりの状態。良い悪いの前に、まず理由を聞く |
| 数十件 | 私が運用している口の中央値(56件)に近い。ふつうに動いている |
| 数百件 | ツールで一括操作しているか、大きな作り替えをした月 |
件数が少ないこと自体が悪いわけではありません。うまく回っていて触る必要がない月もあります。ただ、成果が落ちているのに件数も0件なら、それは放置です。
聞き方はこれで十分です。
「先月の変更履歴を見たら◯件でした。この期間はどういう方針で動かしていましたか」
責める質問ではなく、方針を聞く質問にしてください。理由がある放置なら、ちゃんと説明が返ってきます。
乗り換えを考えるサイン
上の確認をふまえて、乗り換えや自社への切り替えを考えるタイミングを挙げておきます。1つ当てはまったからすぐ、という話ではありません。3つ以上重なったら考えてください。
- 検索語句のレポートが付いてこない、または頼んでも出てこない
- 変更履歴がほとんど動いていないのに、成果が落ち続けている
- レポートがクリック数と表示回数だけで、コンバージョンの話が出てこない
- 質問に対して「Googleの推奨なので」以外の答えが返ってこない
- 担当者が代わってから、数字の説明が浅くなった
逆に、成果が一時的に落ちているだけなら乗り換えは損です。アカウントを移すと、学習も除外キーワードもやり直しになる可能性があるからです(5章のとおり、アカウントの持ち主による)。
6. 契約の前に決めておく5項目
ここまでの話を、契約書やメールで先に確定させておく形にまとめました。
| 決めること | 具体的に聞く言い方 |
|---|---|
| 1 手数料の計算根拠 | 「広告費の何パーセントですか。最低手数料はいくらですか」 |
| 2 手数料に含まれる作業の範囲 | 「バナー制作と計測タグの設置は手数料に含まれますか、別料金ですか」 |
| 3 レポートの頻度と中身 | 「月次ですか、週次ですか。検索語句のレポートは付きますか」 |
| 4 アカウントの持ち主 | 「うちの名義で作れますか。終わったときに残りますか」 |
| 5 解約の予告期間 | 「やめるときは何か月前に言えばいいですか」 |

3番のレポートについて、1つだけ足します。「検索語句のレポートは付きますか」と聞いてください。実際に検索された言葉の一覧です。ここが付いてこないレポートは、何にお金が使われたかが分からないレポートです。この講座では第35回で扱います。
任せても成果が出ないときに、原因が代理店側にないこと
先に書いておきたいことがあります。代理店に任せて成果が出ない場合、原因が広告の外にあることがかなりあります。ここを片付けないまま代理店を替えても、同じ結果になります。

原因1 コンバージョンの計測が入っていない、またはずれている
何が売れたのかが管理画面に返ってこないと、Googleの自動入札は学習できません。運用者がどれだけ優秀でも、材料がない状態です。この講座では第10回から第12回で計測を入れます。ずれているときの直し方は第33回です。
原因2 商品の粗利に対して、獲得単価が高すぎる
1件あたりに使える金額が構造的に足りていない場合、広告の調整では埋まりません。第3回でやった逆算をしていない状態で任せると、この形になりやすいです。
原因3 クリックしたあとのページが受け皿になっていない
広告は、ページまで人を連れてくるところまでしかできません。そこから先はページの仕事です。クリックは増えているのに問い合わせが増えないなら、ここを疑ってください。
この3つは、代理店に頼んでも解決しないことが多いという点が共通しています。1と3はサイト側の作業で、代理店の手数料の範囲に入っていないことが多いからです。契約前に「ここは誰がやりますか」を決めておいてください。
相見積もりの取り方
3社くらいに聞くのがふつうですが、バラバラの質問をすると比べられなくなります。同じ質問を同じ順番で聞いてください。
| 聞くこと | なぜ聞くか |
|---|---|
| 手数料の計算根拠と最低手数料 | 実質の負担率を計算するため |
| 手数料に含まれる作業の範囲 | タグ設置とバナー制作が別料金かどうかで総額が変わる |
| レポートの頻度と、検索語句レポートの有無 | 3番の工程がやられているかを見るため |
| アカウントの名義と、終了時の扱い | 5章のとおり |
| 解約の予告期間 | ー |
| 同じ業種の経験の有無 | あれば早い。無くても致命的ではない |
| 最適化スコアの扱い | 4章のとおり。方針を聞く |
金額だけを並べて比べないでください。同じ20%でも、含まれる作業が違えば別物です。上の7つを表にして横に並べると、金額の差が何の差なのかが見えます。
特典のチェックリストは、この7項目をそのまま印刷して書き込める形にしてあります。
最初の3か月に何が起きるか
任せる場合も自分でやる場合も、立ち上がり方はだいたい同じ形をたどります。ここを知らないと、1か月目の数字を見て「失敗した」と判断してしまいます。
| 時期 | 起きること | このとき見る数字 |
|---|---|---|
| 1か月目 | 審査が通り、配信が始まる。数字は安定しない | 表示されているか。クリックされているか |
| 2か月目 | 要らない検索語句が見えてくる。除外を入れ始める | 検索語句の中身。無駄なクリックの割合 |
| 3か月目 | ようやく傾向が読めるようになる | コンバージョンの数と単価 |
自動入札を使っている場合、Googleが学習する期間があります。設定を変えるたびに学習がやり直しになるので、毎日いじるのはむしろ逆効果です。この話は第23回で扱います。
だから、判断は3か月目にしてください。1か月目の数字で代理店を評価するのは早すぎますし、自分でやっている人が1か月目でやめてしまうのも早すぎます。
よくある質問
Q 手数料20%は妥当ですか
妥当かどうかは金額ではなく、その手数料で何をやってもらえるかで決まります。同じ20%でも、月1回のレポートだけの会社と、週1回キーワードを見直す会社があります。上の表の2番と3番を聞いてください。
Q 少額でも受けてくれる代理店はありますか
あります。ただし最低手数料が設定されていることが多いので、実質の負担率を計算してから決めてください。上の表のとおり、月10万円で最低5万円なら50%です。
Q 途中から自社に戻せますか
アカウントの持ち主がどちらかで決まります。5章のとおりです。あなたの名義なら、権限を外すだけで戻せます。
Q 代理店を変えると、またゼロからですか
これも同じです。アカウントを引き継げれば、計測も除外キーワードも学習も残ります。
Q ツールで自動運用するサービスはどうですか
このページでは扱いません。判断の材料が管理画面に出てこない形は、あとで自分で確かめられなくなるからというのが理由です。この講座は自分で確かめられる形だけを扱います。
Q Yahoo!広告もまとめて頼んだほうがいいですか
同じ検索広告なので、まとめたほうが手間は減ります。ただし、この講座はGoogle広告に絞っています。まずGoogleで形を作ってから、同じ考え方をYahoo!に持っていくほうが、覚えることが少なくて済みます。
Q 知り合いの紹介はどうですか
紹介そのものは良いのですが、聞くことは同じです。上の7項目を、紹介でも同じように聞いてください。関係が近いほど、あとで言いにくくなるので先に決めておくほうが安全です。
途中で多いのは、実はこの形
最後に、実際にいちばん多い落としどころを書いておきます。全部任せるか、全部自分でやるか、の2択ではありません。
| 形 | 中身 |
|---|---|
| 最初の3か月だけ任せる | 立ち上げ(アカウント・計測・キャンペーンの組み立て)だけ任せて、そのあと自社で回す |
| 出稿は任せて、判断は自社 | 手は代理店が動かし、止める・広げるの判断は自社がする。そのために社内で読める人を作る |
| 検索広告だけ自社、それ以外は任せる | いちばん学びやすい検索広告を自分でやり、動画やショッピングは任せる |
どの形でも共通しているのは、「社内に読める人が1人いる」ことです。この講座が目指しているのはそこです。全部を自分でやることではありません。任せるとしても、返ってきたレポートの意味が分かる状態になっておくことです。
私は代理店をやっている側ですが、自分で回せる会社が自分で回すのは正しいと思っています。少額のうちは手数料が重すぎるからです。そのうえで、事業が伸びて手が足りなくなったときに相談してもらえれば、それでいいと考えています。
任せると決めた人が、それでも自分で見る3つの数字
全部を代理店に預けても、この3つだけは自分で見てください。月に1回、5分で終わります。

1つ目 コンバージョンの数
問い合わせや申し込みが、先月と比べて増えたか減ったか。クリック数ではありません。クリックが倍になっても申し込みが同じなら、使ったお金は増えて成果は同じです。
2つ目 1件あたりの獲得単価
広告費をコンバージョンの数で割った金額です。これが第3回で計算した「1件にかけられる上限」を超えていないかを見ます。超えているなら、方針を変える相談をしてください。
3つ目 検索語句の上位20個
実際に検索された言葉のうち、お金がかかっている順に20個。自分の商売と関係ない言葉が並んでいないかだけ見てください。関係ない言葉があれば、除外の相談をします。
この3つが読めるようになるのが、この講座の最低ラインです。全42回を読まなくても、第3回・第34回・第35回の3本で足ります。
自分でやると決めた人が、次にやること
この講座の順番どおりに進んでください。遠回りに見えますが、いちばん短い道です。
| 順番 | 何をするか | 該当する回 |
|---|---|---|
| 1 | 学び方を決める。無料の教材で足りるかを判断する | 次の第5回 |
| 2 | アカウントを作る | 第6回 |
| 3 | 支払いを設定し、管理画面の場所を覚える | 第7回・第8回 |
| 4 | コンバージョンの計測を入れる | 第10回〜第12回 |
| 5 | キーワードを選ぶ | 第13回・第14回 |
| 6 | 検索広告を出す | 第15回〜第19回 |
4番を飛ばさないでください。ここを飛ばして出稿すると、この記事の冒頭に書いた「何が売れたか分からないまま、クリック数だけを見る」状態になります。任せる場合も自分でやる場合も、ここが同じ落とし穴です。
「代理店 選定チェックリスト」には、5章と6章の質問をそのまま印刷して使える形で入れています。打ち合わせに持って行ってください。
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次のレッスン
第5回は、その「読める人」を社内に作る、いちばん安い方法です。Google広告の認定資格は無料で受けられます。ただし、資格を取れば運用できるようになるわけでもありません。何が身について、何が身につかないのかを分けて書きます。
この講座の全42回の一覧は、講座トップにまとめています。 → Google広告マスター講座トップ


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