インスタ広告は代理店か自社運用か|判断の5つの問いと費用、持ち主

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このページでわかること

こんにちは、あきです。

第3回では、インスタ広告の費用と、最初の予算の決め方を扱いました。第4回は、その予算を誰が動かすかです。代理店に任せるのか、自分でやるのか。

先に結論を書きます。

Meta広告で、任せるか自分でやるかを分けるのは、予算の大きさではありません。「新しい画像や動画を作り続けられるか」と「週に1回、数字を見て手を入れる人がいるか」の2つです。検索広告と違って、Meta広告は素材がいちばん成果を動かします。そして同じ素材を出し続けると、反応はだんだん落ちていきます。

任せるか自分でやるかは、素材を作り続けられるかと、週1回数字を見る人がいるかの2つで分かれる、という判断の全体図の自作図解
任せるか自分でやるかは、素材を作り続けられるかと、週1回数字を見る人がいるかの2つで分かれる、という判断の全体図の自作図解

もう1つ、どちらを選んでも必ずやってほしいことがあります。広告アカウントを、自社のビジネスポートフォリオで持つことです。私たちが運用のために見ている広告アカウントを数えたところ、こうなっていました。

見たもの 結果
私たちのMetaの権限で見られる広告アカウント16
そのうち、広告主の会社のビジネスポートフォリオが持っているもの14
私たち自身の会社のもの1
会社に属していない、個人のもの1

2026年10月10日に、Meta広告APIで数えました。アカウント名は出していません。私たちは代理店ですが、お客様のアカウントは、お客様の持ち物として作ってもらい、私たちは「パートナー」として入れてもらう形にしています。なぜそうしているのかは5章で書きます。

この回のゴールは3つです。

  • 自分の会社が、任せる側か自分でやる側かを、5つの問いで決められる
  • 任せたときにかかるお金を、運用の手数料と素材の制作費に分けて見積もれる
  • どちらを選んでも、広告アカウントを自社の持ち物にしておける

所要時間は25分です。

この回で使う「Meta広告 代理店か自社運用かの判断シート」を、私のLINEで配布しています。5つの問いの判定表、見積もりを比べる表、パートナーとして招待する手順、契約前に聞く質問をまとめました。
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1. Meta広告の運用で、毎週やること

任せるか決める前に、運用とは何をすることなのかを、具体的に並べます。検索広告の運用と比べると、Meta広告は手を動かす場所が違います。

やること どのくらいの頻度で 誰の手が要るか
新しい画像や動画を作って入れる反応が落ちてきたら。目安は月に数本撮る人、作る人
数字を見て、広告を止めたり予算を動かしたりする週に1回運用する人
広告についたコメントに返す、消す気づいたらすぐお店の事情が分かる人
審査に落ちた広告を直す落ちたとき運用する人
計測(Metaピクセル)が動いているか確かめる月に1回と、サイトを直したときサイトを触れる人
アカウントが制限されたときに対応する起きたときアカウントの持ち主
Meta広告の運用で毎週やることを、素材、数字、コメント、審査、計測、制限の6つに分けた自作図解
Meta広告の運用で毎週やることを、素材、数字、コメント、審査、計測、制限の6つに分けた自作図解

この中で、Meta広告に特有なのは2つです。

素材を作り続ける仕事がいちばん重い

Meta広告は、検索していない人の画面に割り込んで出る広告です。だから、広告の見た目で止まってもらえるかどうかが、成果のほとんどを決めます。第1回で見たとおり、配信の仕組みも、反応されそうな広告を有利にします。

そして、同じ人に同じ広告を何度も見せると、反応は落ちていきます。私たちの6つのアカウントでも、30日の平均で、同じ人に約1.6回から約3.0回表示されていました。1か月に3回同じ広告を見た人は、4回目にはもう止まってくれないことが多い。だから、新しい素材を入れ続ける必要があります。

同じ広告を何度も見せると反応が落ちていくので、新しい素材を入れ続ける必要がある、という流れの自作図解
同じ広告を何度も見せると反応が落ちていくので、新しい素材を入れ続ける必要がある、という流れの自作図解

代理店に任せても、ここは消えません。素材を代理店が作るのか、お店が用意するのかで、費用も手間も大きく変わります。見積もりで最初に確かめるのは、ここです。

広告にはコメントがつく

インスタ広告やFacebook広告には、ふつうの投稿と同じようにコメントがつきます。質問のこともあれば、関係のない書き込みのこともあります。広告は多くの人に見られるので、返事のないままの質問や、荒れたコメント欄は、それ自体が評判になります。

コメントへの返事は、商品やお店の事情が分かる人でないとできません。代理店に運用を任せても、コメントの返事はお店側に残ることが多い仕事です。契約の前に、誰が見て、誰が返すかを決めておきます。

2. 任せると、いくら払うのか

代理店に任せたときのお金は、3つに分けて考えます。

お金 中身 誰に払うか
広告費第3回で決めた予算。表示された分Meta
運用の手数料数字を見て、設定を変える仕事の対価代理店
素材の制作費画像や動画を作る仕事の対価代理店か、制作会社
代理店に任せたときに払うお金を、広告費、運用の手数料、素材の制作費の3つに分けた自作図解
代理店に任せたときに払うお金を、広告費、運用の手数料、素材の制作費の3つに分けた自作図解

運用の手数料の決め方は、広告費の何割という料率型、月いくらの定額型、料率に下限がついた型の3つが多いです。この3つの型と、少額のときに実際の負担率がどう跳ね上がるかは、Google広告講座の第4回で計算例つきで書きました。Meta広告でも考え方は同じなので、そちらを読んでください。

Meta広告で、Google広告と違って見落としやすいのは3つ目の素材の制作費です。

見積もりに「運用代行 月◯円」とだけ書いてあるときは、素材が入っているかを必ず聞きます。入っていないなら、毎月の素材を誰が作るのか、作るならいくらか、を別に確かめます。運用の手数料が安くても、素材を毎月外に頼むと、合計は高くなります。

見積もりを比べるときは、運用の手数料だけでなく、素材が何本入っているかと、入っていない場合の制作費まで足して比べる、という比較表の自作図解
見積もりを比べるときは、運用の手数料だけでなく、素材が何本入っているかと、入っていない場合の制作費まで足して比べる、という比較表の自作図解

比べるときは、次の表に書き込んで、月の合計で比べます。

見る項目 A社 B社
運用の手数料(月)
手数料に入っている素材の本数(月)
足りない素材の制作費(月)
レポートの頻度と中身
月の合計(広告費を除く)

「相場は広告費の20%」という数字をよく見かけますが、Metaが手数料を決めているわけではありません。代理店とあなたの契約で決まるだけです。率ではなく、自分の場合に月いくらになるか、で比べてください。

3. どちらを選ぶかを、5つの問いで決める

次の5つに、はい、いいえで答えてください。

任せるか自分でやるかを決める5つの問いを、はいが多ければ自社運用、いいえが多ければ任せる、という形で並べた自作図解
任せるか自分でやるかを決める5つの問いを、はいが多ければ自社運用、いいえが多ければ任せる、という形で並べた自作図解
問い はいなら いいえなら
1 月に数本、新しい画像や動画を用意できるか自分でやれる素材ごと任せる
2 週に1回、30分ほど広告マネージャを開く人を決められるか自分でやれる運用を任せる
3 広告のコメントやメッセージに、その日のうちに返せるか自分でやれる返す人を先に決める
4 サイトにMetaピクセルを入れられる人がいるか自分でやれる計測の設定だけでも頼む
5 アカウントが止まったとき、自分で問い合わせができるか自分でやれる対応まで含めて頼む

1と2が両方「いいえ」なら、任せたほうがいい会社です。素材も、数字を見る人もいないまま自分で始めると、最初の素材が疲れたところで配信が止まり、そのまま放置されることが多いからです。

1と2が両方「はい」なら、まず自分でやってみる価値があります。この講座は、そのための講座です。第15回までで、一人で出稿できるところまで進めます。

片方だけ「はい」なら、分けて頼む形が合います。次の章で書きます。

分けて頼む、という形

任せるか自分でやるかは、全部か無しかではありません。私たちがよく見るのは、次の2つの形です。

形 自社でやること 外に頼むこと 向いている会社
素材は自社、運用は代理店写真や動画を撮って渡す設定、数字の確認、改善商品の写真や動画がスマホで撮れる
運用は自社、素材だけ外注設定、数字の確認、改善画像や動画の制作数字を見るのが苦にならない
分けて頼む2つの形を、自社でやることと外に頼むことに分けて並べた自作図解
分けて頼む2つの形を、自社でやることと外に頼むことに分けて並べた自作図解

特に1つ目は、インスタ広告と相性がいい形です。第2回で見たとおり、ストーリーズやリールでは、作り込んだ広告らしい画像より、ふだんの投稿に近い写真や動画のほうが止まってもらいやすい、というのが私たちの運用での実感です。お店の人がスマホで撮った素材が、いちばんの材料になることは珍しくありません。

4. 代理店を選ぶときに、聞くこと

代理店の比較記事には、おすすめの会社がたくさん並んでいます。ただ、どの会社が合うかは、あなたの会社の事情で決まります。ここでは、どの代理店に対しても使える質問を並べます。

代理店に契約前に聞く質問を、アカウント、素材、数字、コメント、終わり方の5つに分けた自作図解
代理店に契約前に聞く質問を、アカウント、素材、数字、コメント、終わり方の5つに分けた自作図解
聞くこと よい答えの例 気をつけたい答えの例
広告アカウントは、誰のビジネスポートフォリオで持ちますか御社のポートフォリオで持ち、私たちはパートナーとして入りますこちらで作るので何もしなくて大丈夫です
月に何本の素材が入っていますか月に◯本。足りなければ1本いくらで追加運用代行なので素材はいただく形です、とだけ言う
毎月、何を報告してもらえますか1件の値段、素材ごとの数字、次に試すこと表示回数とクリック数だけ
コメントやメッセージは、誰が見ますか見て知らせる、返事は御社、など分担が決まっている決まっていない
やめるときは、どうなりますかパートナーの権限を外すだけ。アカウントも素材も残るアカウントは引き継げない

特に1つ目と5つ目は、契約の前でないと聞きにくい質問です。答えをメモに残しておいてください。

もう1つ、提案の段階で見ておきたいのは、こちらの商売について質問してくるかどうかです。誰に売りたいのか、1件でいくら残るのか、いま何が売れているのか。Meta広告は素材と届ける人の組み合わせで成果が決まるので、こうした質問をせずに設定の話だけをする提案は、どの会社にも同じことを言っている可能性があります。

5. 広告アカウントの持ち主は誰か

ここが、この記事でいちばん読んでほしいところです。

Meta広告では「ビジネスポートフォリオ」が持ち主になる

Meta広告では、広告アカウント、Facebookページ、Instagramアカウント、Metaピクセルなどを、ビジネスポートフォリオという入れ物で管理します。以前はビジネスマネージャと呼ばれていたものです。作り方は第6回で扱います。

公式ヘルプ「ビジネスポートフォリオでパートナーにビジネスアセットへのアクセス許可を付与する」には、次のことが書かれています。

  • ページや広告アカウントといったビジネスアセットを、パートナー(提携している広告会社など)と共有できる
  • パートナーに全権限を付けても、パートナーはそのアセットを他のビジネスと共有することはできない
  • アセットを他のビジネスポートフォリオと共有できるのは、アセットを所有している組織だけ
広告主のビジネスポートフォリオが広告アカウントやページを持ち、代理店はパートナーとして使わせてもらう形と、代理店のポートフォリオが持っている形を比べた自作図解
広告主のビジネスポートフォリオが広告アカウントやページを持ち、代理店はパートナーとして使わせてもらう形と、代理店のポートフォリオが持っている形を比べた自作図解

つまり、誰のビジネスポートフォリオが広告アカウントを持っているかで、そのアカウントを最後に動かせるのが誰かが決まります。

2つの形

形A 代理店のビジネスポートフォリオで、広告アカウントを作ってもらう

手続きは速く、お店は何もしなくて済みます。ただし、広告アカウントの持ち主は代理店です。やめるときに、そのアカウントを自社に移せるかどうかは、代理店しだいになります。

形B 自社のビジネスポートフォリオで広告アカウントを作り、代理店をパートナーとして招待する

最初に少し手間がかかります。そのかわり、広告アカウントは最初から最後まで自社の持ち物です。代理店を替えるときも、前の代理店のパートナー権限を外して、新しい代理店を招待するだけです。

持ち主が自社だと、何が残るのか

広告アカウントには、これまでの配信の結果がたまっています。どの素材が、どんな人に、いくらで反応されたか。Metaピクセルには、サイトに来た人の行動がたまっています。この蓄積は、次に出す広告の材料になります。

形Aでやめると、この蓄積ごと手放すことになりかねません。新しいアカウントで、ゼロから学習をやり直すことになります。

冒頭で書いたとおり、私たちが見ている16の広告アカウントのうち、14はお客様のビジネスポートフォリオが持っています。私たちが代理店でありながらこの形にしているのは、お客様が私たちとの契約をやめても、広告の蓄積がお客様の手元に残るようにするためです。

代理店をパートナーとして招待する手順

公式ヘルプに書かれている手順は、次のとおりです。

1. 代理店に、代理店のビジネスポートフォリオIDを教えてもらう(パートナー側にもビジネスポートフォリオが必要) 2. 自社のビジネスポートフォリオで、まだなら二段階認証を有効にする 3. Meta Business Suiteで、自社のビジネスポートフォリオの[設定]を開く 4. 左のメニューの[ユーザー]にある[パートナー]を開き、[追加]から[パートナーにあなたのアセットへのアクセスを許可]を選ぶ 5. 代理店のビジネスポートフォリオIDを入れて、共有するアセットと権限を選ぶ

代理店をパートナーとして招待する5つの手順を、IDをもらう、二段階認証、設定、パートナーの追加、アセットと権限の順に並べた自作図解
代理店をパートナーとして招待する5つの手順を、IDをもらう、二段階認証、設定、パートナーの追加、アセットと権限の順に並べた自作図解

[パートナー]が表示されないときは、ビジネスポートフォリオの全権限を持っていない可能性がある、と公式ヘルプに書かれています。この操作は、会社のビジネスポートフォリオの全権限を持っている人がやります。

権限は、全権限のほかに、広告の管理だけ、などに分けて渡せます。運用だけを頼むなら、広告アカウントの広告の管理と、成果を見るための権限があれば足ります。やめるときは、同じ画面からパートナーを外せます。

2つの形を並べると

形A 代理店が持つ 形B 自社が持ち、代理店を招待
最初の手間ほぼ無しビジネスポートフォリオを作り、招待する
代理店を替えるときアカウントを移せるかは代理店しだいパートナーを外して、新しい代理店を招待
これまでの蓄積手放すことがある自社に残る
おすすめこちら

「Meta広告 代理店か自社運用かの判断シート」には、5つの問いの判定表、見積もりを比べる表、パートナーとして招待する手順と、契約前に聞く質問の記入欄を入れています。
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任せるメリットと、気をつけたい点

代理店に任せることの良し悪しを、Meta広告に絞って並べます。

任せるメリット 気をつけたい点
いろいろな会社の配信を見ているので、最初から外しにくい設定で始められる自社の商品や客層を説明しないと、ずれた素材や訴求になる
審査落ちやアカウントの制限が起きたとき、対応に慣れている制限の解除は、最後はアカウントの持ち主の本人確認が要ることがある
計測(Metaピクセル)の設定まで任せられるサイトを触る権限を渡す範囲を決めておく必要がある
社内の時間を、商品づくりや接客に回せる任せきりにすると、何が効いたのかが社内に残らない
代理店に任せるメリットと気をつけたい点を、左右に並べて比べた自作図解
代理店に任せるメリットと気をつけたい点を、左右に並べて比べた自作図解

いちばん大きいのは、右下の「社内に残らない」です。どの素材が、どんな人に反応されたのかは、次の商品や次の広告の材料になります。報告書を受け取るだけでなく、毎月「何が効いて、何が効かなかったか」を一言で説明してもらうと、任せながらでも社内に知恵がたまっていきます。

依頼先の3つのタイプ

Meta広告の運用を頼める先は、大きく3つに分かれます。

タイプ 特徴 確かめること
広告代理店(複数の媒体を扱う)Google広告など、ほかの媒体とまとめて相談できるMeta広告を実際に何社くらい運用しているか
SNS広告に強い会社素材づくりやインスタの投稿運用まで一緒に頼めることが多い運用の手数料と素材の費用が分かれているか
個人の運用者費用を抑えやすく、やりとりが速い広告アカウントを個人のアカウントで作っていないか
依頼先を、複数の媒体を扱う代理店、SNS広告に強い会社、個人の運用者の3つに分け、それぞれ確かめることを並べた自作図解
依頼先を、複数の媒体を扱う代理店、SNS広告に強い会社、個人の運用者の3つに分け、それぞれ確かめることを並べた自作図解

どのタイプでも、5章の「持ち主」の確認は同じです。特に個人の運用者に頼むときは、その人の個人のFacebookアカウントや、その人のビジネスポートフォリオの下で広告アカウントが作られていないかを、最初に確かめてください。その人と連絡がつかなくなったときに、広告を止めることすらできなくなるからです。

相談から配信開始までの流れ

任せると決めてから、配信が始まるまでの流れです。

1. 自社の上限を決める(第3回の手順で、1件に払える上限と、最初の1か月の予算を出しておく) 2. 2社から3社に相談し、見積もりを2章の表で比べる 3. 4章の質問をして、答えをメモに残す 4. 自社のビジネスポートフォリオと広告アカウントを用意し、代理店をパートナーとして招待する(5章) 5. Metaピクセルがサイトに入っているか、代理店に確かめてもらう 6. 最初の素材を3本から5本そろえる(誰が用意するかは、契約で決めたとおり) 7. 配信を始め、1か月後に、1件の値段と上限を並べて振り返る

相談から配信開始まで、上限を決める、見積もりを比べる、質問する、パートナー招待、計測の確認、素材をそろえる、振り返るの7段階を並べた自作図解
相談から配信開始まで、上限を決める、見積もりを比べる、質問する、パートナー招待、計測の確認、素材をそろえる、振り返るの7段階を並べた自作図解

多くの会社が飛ばすのは、1番目と5番目です。上限を持たずに相談すると、代理店の提案の良し悪しを判断できません。計測を確かめずに始めると、1か月たってから「成果が数えられていなかった」と分かることがあります。

自社運用に切り替えるタイミング

最初は任せて、慣れてきたら自社に戻す、という会社もあります。切り替えを考えてよいのは、次の3つがそろったときです。

  • どの素材が効くのかの傾向が、社内の言葉で説明できるようになった
  • 素材を社内で月に数本作れる流れができた
  • 毎週、広告マネージャを開く担当者が決まった

このとき、広告アカウントが自社のものなら、切り替えはパートナーの権限を外すだけで終わります。これまでの蓄積も、そのまま使えます。5章の形Bで始めておく意味は、ここでも効いてきます。

6. 自分でやると決めたら、何から始めるか

自分でやると決めた方は、この講座の順番どおりに進めてください。

段階 回 やること
判断する第1回から第5回仕組み、費用、競合の広告の調べ方
準備する第6回から第12回ビジネスポートフォリオ、広告アカウント、Metaピクセル
出す第13回から第24回目的、ターゲット、配置、素材、審査、予算
直す第25回から第32回追いかける配信、止まったとき、数字の見方
自分でやる場合の進み方を、判断する、準備する、出す、直すの4段階に分けた自作図解
自分でやる場合の進み方を、判断する、準備する、出す、直すの4段階に分けた自作図解

最初の1か月でいちばん大事なのは、素材を3本から5本用意してから始めることです。1本だけで始めると、それが当たらなかったときに何も分かりません。複数を同時に出して、どれに反応があったかを見ます。素材の作り方は第21回で扱います。

7. 任せると決めたら、最初の3か月で見ること

任せたあとも、見ないでいいわけではありません。最初の3か月は、次の3つだけ毎月確かめてください。

月 見ること
1か月目広告アカウントが自社のビジネスポートフォリオにあるか。計測が動いているか
2か月目新しい素材が約束どおり入っているか。1件の値段が上限を超えていないか
3か月目報告に「次に試すこと」が書かれていて、実際に試されているか
任せたあとの最初の3か月で毎月確かめることを、1か月目、2か月目、3か月目に分けた自作図解
任せたあとの最初の3か月で毎月確かめることを、1か月目、2か月目、3か月目に分けた自作図解

1件の値段の上限は、第3回の手順で、自分で決めておいてください。上限を自分で持っていないと、報告された数字が良いのか悪いのか、判断できません。任せても、物差しは自分で持つ。これが、代理店とうまくいく会社に共通している点です。

任せたあとの打ち合わせで聞くこと

月に1回の打ち合わせや報告で、次の5つを聞くと、任せながらでも状況がつかめます。

聞くこと なぜ聞くか
今月、いちばん成果が良かった素材と、その理由社内に「何が効くか」をためるため
止めた素材と、止めた理由判断の基準が自社の上限と合っているかを見るため
1件の値段は、上限に対してどうだったか物差しを自社が持っていることを、毎月確かめるため
来月、新しく試すこと同じことの繰り返しになっていないかを見るため
コメントやメッセージで、気になる声はあったか広告の外の、お客様の反応を拾うため
任せたあとの毎月の打ち合わせで聞く5つの質問を並べた自作図解
任せたあとの毎月の打ち合わせで聞く5つの質問を並べた自作図解

この5つに毎月答えられる代理店なら、任せて大丈夫な相手です。逆に、表示回数やクリック数の話だけで終わる報告が続くなら、4章の質問にもう一度立ち返ってください。

自分でやる場合、手間はどのくらいか

自分でやる場合の手間は、始める前の準備と、始めたあとの運用で大きく違います。

時期 やること 手間の重さ
始める前ビジネスポートフォリオ、広告アカウント、支払い、Metaピクセル重い。ここで止まる人が多い
最初の1か月素材を3本から5本作り、出し、数字を見るやや重い。慣れていないので時間がかかる
2か月目以降週1回の確認と、月に数本の素材の入れ替え軽くなる。決まった作業になる
自分でやる場合の手間を、始める前、最初の1か月、2か月目以降の3つの時期に分けた自作図解
自分でやる場合の手間を、始める前、最初の1か月、2か月目以降の3つの時期に分けた自作図解

私たちの実感では、いちばん挫折しやすいのは「始める前」です。計測や支払いの設定は一度やれば終わりなので、そこだけ人に手伝ってもらい、運用は自分でやるという形も選べます。この講座では、第6回から第12回でその準備を1つずつ扱います。

よくある質問

Q. 少額でも代理店に頼めますか。

頼めますが、手数料の負担が広告費に対して重くなりやすいです。下限つきの料率型だと、広告費が少ないほど負担率が上がります。計算の仕方はGoogle広告講座の第4回にあります。少額なら、運用は自社で、素材だけ外注する形から始めるのも1つの方法です。

Q. すでに代理店のアカウントで配信しています。どうすればいいですか。

まず、いまの広告アカウントがどのビジネスポートフォリオにあるかを、代理店に聞いてください。代理店のものなら、自社のビジネスポートフォリオに移せるか、移せない場合は自社で新しく作り直すか、を相談します。急いで切り替えると配信が止まるので、契約の更新の前に話すのが安全です。

Q. 個人のFacebookアカウントで広告を出しています。問題ありますか。

すぐに困ることは少ないですが、担当者が辞めたときや、個人のアカウントが止まったときに、広告も一緒に動かせなくなります。会社として続けるなら、ビジネスポートフォリオを作って、そこで持つ形に移すことをおすすめします。作り方は第6回で扱います。

Q. 代理店に全権限を渡しても大丈夫ですか。

公式ヘルプによると、全権限を渡しても、パートナーはそのアセットを他のビジネスと共有することはできません。ただ、運用に要るのは広告の管理と成果を見る権限なので、必要な範囲だけ渡すほうが安心です。

Q. 代理店を替えると、成果は落ちますか。

広告アカウントが自社のものなら、これまでの配信の蓄積とMetaピクセルのデータはそのまま残ります。新しい代理店が設定を大きく変えれば、学習はやり直しになりますが、ゼロからではありません。アカウントごと替えるのとは、まったく違います。

Q. インスタの投稿の運用も、一緒に頼んだほうがいいですか。

広告と投稿は、別の仕事です。ただ、広告を見た人の多くはプロフィールも見に来るので、投稿が止まっていると広告の成果にも響きます。頼むかどうかより、投稿が月に何本か続いている状態を、誰が作るかを決めておくことが大事です。

Q. どの代理店が良いかは、何で判断すればいいですか。

資格やバッジより、4章の質問への答え方で判断することをおすすめします。特に、アカウントの持ち主と素材の本数を、はっきり答えられるかどうかです。

8. つまずきポイント

運用の手数料だけで比べて、素材の費用を見落とす

Meta広告は素材が成果を動かすので、素材が入っていない安い見積もりは、あとで制作費がかさみます。比べるのは、広告費を除いた月の合計です。

アカウントの持ち主を確かめずに始める

始めるときに確かめないと、やめるときに初めて気づきます。最初の打ち合わせで、どのビジネスポートフォリオで持つかを聞いてください。

任せたあと、数字を見なくなる

報告書を読まなくなると、素材が入れ替わっていなくても気づけません。月に1回、7章の3つだけは自分で確かめます。

9. 慣れたらここまで

慣れてきたら、代理店の報告を待たずに、自分でも広告マネージャを開いて数字を見るようにします。パートナーとして招待する形なら、自社の人も同じアカウントを見られます。同じ画面を見ながら話せると、打ち合わせが短くなり、次の手が早く決まります。

10. 突き詰めるなら

突き詰めるなら、素材づくりを社内の仕組みにします。新商品が出たら撮る、お客様の声が届いたら素材にする、季節ごとに撮り直す、という流れを決めておくと、運用を誰がやっても、素材が切れることがなくなります。Meta広告で長く成果を出している会社は、運用の腕より、素材が途切れない仕組みを持っていることが多い、というのが私たちの見てきた実感です。

もう1つは、素材の記録を社内に残すことです。出した素材ごとに、いつからいつまで出したか、誰に向けたか、1件の値段はいくらだったか、を1行ずつ書き残しておきます。半年もたまると、自社のお客様が何に反応するのかが、言葉で説明できるようになります。この記録は、代理店を替えても、担当者が替わっても、会社に残ります。

任せるか自分でやるかは、一度決めたら終わりではありません。素材の仕組みと記録が社内にできてくれば、任せる範囲を少しずつ減らすことも、逆に広げることも、自社の都合で選べるようになります。

まとめ

  • 任せるか自分でやるかは、予算ではなく、素材を作り続けられるかと、週1回数字を見る人がいるかで決まる
  • 任せたときのお金は、広告費、運用の手数料、素材の制作費の3つ。見積もりは月の合計で比べる
  • 5つの問いで判断する。片方だけできるなら、分けて頼む形が合う
  • 広告アカウントは、自社のビジネスポートフォリオで持ち、代理店はパートナーとして招待する
  • パートナーは全権限でもアセットを他社と共有できない。共有できるのは持ち主だけ
  • 任せても、1件の値段の上限は自分で持つ

「Meta広告 代理店か自社運用かの判断シート」は、5つの問いの判定表、見積もりの比較表、パートナーとして招待する手順、契約前に聞く質問と答えのメモ欄をまとめています。
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次のレッスン

第5回は、広告ライブラリで競合の広告を調べる方法です。他社がどんな広告を、どのくらいの期間出し続けているかを無料で見られる道具で、素材を考えるときの最初の材料になります。

この講座の全32回の一覧は、講座トップにまとめています。 → メタ広告マスター講座トップ

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この記事を書いた人

・アフィリエイトで月7桁達成
・SEOを研究し累計136万PVを達成
・仕組み化とマニュアル構築で一人で9人の外注さんを管理し、オウンドメディアを制作
・広告運用で660万円の成果報酬を獲得
・大手求人サイトから記事の提供を依頼される(業務提携)
・海外のポータルサイトに私が作成したECサイトが取り上げられる
・インスタグラム開始4ヶ月で1万フォロワー獲得
・自分で作ったECサイト、ドロップシッピングで月6桁達成!
・YouTube動画8本で登録者100人突破!

現在は年商億を超える企業様の広告運用を担当したり、広告代理店様、経営コンサルティング会社様、店舗系事業者様のブレイン(参謀)のようなポジションで活動しています。

様々なジャンルのプロの人とチームを組むことで、結果にコミットするネット界の便利屋を目指しています。

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