このページでわかること
こんにちは、あきです。
前回の第24回では、P-MAXを扱いました。検索も含めたGoogleの広告枠に、まとめて自動で出すキャンペーンです。この回は、その隣にあるデマンドジェネレーションを扱います。
最初に言葉の整理をしておきます。「デマンドジェネレーション」は、BtoBのマーケティングでは「需要創出」、つまり見込み客を集めて育てる活動全体を指す言葉です。この回で扱うのはそちらではなく、Google広告のキャンペーンの種類としての「デマンドジェネレーション キャンペーン」です。同じ名前なので、検索するとこの2つが混ざって出てきます。

先に結論を出します。
デマンドジェネレーションは、YouTube、Discover、Gmail、マップ、Googleディスプレイネットワークに、画像や動画の広告を出すキャンペーンです。検索結果には出ません。まだ検索していない人に見てもらい、欲しいと思ってもらうためのキャンペーンです。
成果を分けるのは、次の3つです。
- 1日の予算を、目標のコンバージョン単価の10倍以上にしているか(Google広告ヘルプの推奨)
- コンバージョンが50件前後たまるまで、入札や目標を大きく動かさずに待てるか
- 画像と動画を、面に合わせた形でそろえているか

この回のゴールは3つです。
- デマンドジェネレーションが、P-MAXやディスプレイ、YouTubeの広告とどう違うのかを説明できる
- 目標と入札戦略と1日の予算を、自分の状況から決められる
- 作成の画面で、どこを自分で決めてどこを任せるかを迷わず進められる
所要時間は40分です。この回の内容は、2026年9月26日にGoogle広告ヘルプで確認したものです。画面の名前や仕様は変わることがあるので、作る前にヘルプもあわせて見てください。
この回で使う「デマンドジェネレーション設計シート」を、私のLINEで配布しています。入札戦略の選び方、目標の単価から1日の予算を出す欄、素材の形のチェック欄、公開後に触ってよいことの早見表を全8ページにまとめました。
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1. デマンドジェネレーションとは
デマンドジェネレーションは、Googleが持っている「見る場所」に、画像や動画の広告を出すキャンペーンです。Google広告ヘルプでは、YouTube、Discover、Gmail、Googleディスプレイネットワークに配信でき、月に30億人以上に届くと書かれています。作成の手順のページでは、これにマップも加わっています。以前は「ファインド広告」という名前で、Discoverと Gmail を中心にしたキャンペーンでした。
検索キャンペーン(第2回、第18回)との一番の違いは、相手がまだ何も探していないところに出すことです。
検索キャンペーンは、「〇〇 おすすめ」と検索した人に広告を出します。探している人に答えを出す広告です。デマンドジェネレーションは、YouTubeで動画を見ている人、Discoverでニュースを眺めている人、Gmailを開いた人に広告を出します。その人はまだ、あなたの商品を探していません。だから広告の役目は「答える」ではなく「気づかせる」になります。

出る場所は5つ
Google広告ヘルプに書かれている配信先は、次の5つです。
- YouTube(ショートを含む)
- Discover。記事やニュースが並ぶGoogleのフィード
- Gmail
- マップ。ディスプレイからの移行のページでは「ベータ版」と書かれています
- Googleディスプレイネットワーク。Googleと提携しているサイトやアプリの広告枠

どの面に出るかは、選んだ目標で変わります。作成の手順のページには、使えるチャネルは広告の形、オーディエンス、キャンペーンの設定で決まり、広告によっては一部のチャネルを使えない、と書かれています。
P-MAX、ディスプレイ、YouTubeとの違い
Google広告には、画像や動画を出せるキャンペーンがいくつかあります。違いは「出る場所」と「自分で決められる範囲」です。
- P-MAX(第24回)は、検索も含めたGoogleの広告枠全部に出します。どこに出すかも、誰に出すかも、ほぼGoogleが決めます
- デマンドジェネレーションは、検索には出ません。そのかわり、どの面に出すかを自分で選べて、誰に出すかも自分で指定できます
- ディスプレイキャンペーン(第26回)は、Googleディスプレイネットワークの広告枠に出します。2026年からデマンドジェネレーションへの統合が進んでいます。これは12章で詳しく書きます
- 動画キャンペーン(第27回)は、YouTubeの動画広告を細かく作り分けるためのキャンペーンです

P-MAXとの違いを一言で言うと、配信をどこまで自分で握るかです。P-MAXは任せる範囲が広いぶん、どこで成果が出ているのかが見えにくいキャンペーンです。デマンドジェネレーションは、面と相手を自分で選べるので、「YouTubeのこの層に、この動画を見せたい」という意図を形にしやすくなります。
2. まずこれだけ(目標と入札戦略を決める)
作り始める前に、2つだけ決めてください。何を増やしたいか(目標)と、どう入札するか(入札戦略)です。ほかの設定は、この2つが決まれば自然に決まります。
目標の選択肢
作成の画面では、最初に広告掲載の目標を選びます。Google広告ヘルプに書かれている選択肢は次のとおりです。
- 販売促進
- 見込み顧客の獲得
- ウェブサイトのトラフィック
- アプリのインストール
- YouTubeのリーチ、視聴回数、エンゲージメント
- 来店数と店舗売上の向上
- 目標を指定せずに作成する
商品を買ってほしい、問い合わせがほしいなら、販売促進か見込み顧客の獲得を選びます。目標を選ぶと、次にその目標に合ったコンバージョンを選ぶ画面になります。コンバージョンの計測がまだなら、先に第10回で準備してください。
入札戦略の選び方
デマンドジェネレーションで選べる入札戦略は、作成の手順のページでは次の5つです。
- コンバージョン数の最大化。予算の中で、コンバージョンをできるだけ多く取りにいく
- 目標コンバージョン単価(目標CPA)。1件あたりの単価を目標に近づける
- コンバージョン値の最大化。売上の合計をできるだけ大きくする
- 目標広告費用対効果(目標ROAS)。広告費に対する売上の割合を目標に近づける
- クリック数の最大化。予算の中で、クリックをできるだけ多く集める
よくある質問のページでは、これに加えて目標クリック単価も使える入札戦略として挙がっています。

迷ったら、この順番で考えます。
1. コンバージョンを計測していない、または数がほとんど無い → クリック数の最大化。最低の予算の要件がありません 2. 計測していて、これから数をためる → コンバージョン数の最大化(売上の金額まで計測しているならコンバージョン値の最大化) 3. コンバージョンが50件前後たまった → 目標CPA か 目標ROAS に切り替える
Google広告ヘルプでは、はじめて使う場合は最大化の入札戦略から入り、コンバージョンが50件に届いてから目標CPAや目標ROASに切り替えることを勧めています。
目標ROASに切り替えるときは、過去30日のROASより20%ほど低い、緩めの目標から入るように書かれています。たとえば、過去30日のROASが400%なら、最初の目標は320%前後です。そこから成果を見ながら、10%ずつ動かしていきます。入札戦略そのものの考え方は、第21回で詳しく扱います。
3. 1日の予算は、目標CPAの10倍以上
デマンドジェネレーションで一番つまずきやすいのが、予算の小ささです。
Google広告ヘルプでは、目標CPAで入札するキャンペーンは、1日の予算を目標CPAの10倍以上にすることを勧めています。成果を上げるための手引きのページにも同じ目安があります。
たとえば、目標CPAが3,000円なら、1日の予算は3万円以上です。

なぜ10倍なのか
理由は単純です。1日の予算が目標CPAの10倍なら、1日に取れるコンバージョンは多くても10件前後です。予算がそれより小さいと、1日に取れる件数がさらに減ります。件数が少ないと、Googleの自動入札が「どんな人がコンバージョンしやすいか」を学ぶための材料が足りません。学ぶのが遅れるほど、成果が安定するまでの期間が延びます。
この10倍は、目安であって上限ではありません。作成の画面では、キャンペーンの設定と過去の実績から、1日の予算の推奨が「低」「中」「高」の3つまで表示されることがあります。「低」は推奨の最小の値です。
予算が出せないときの考え方
10倍の予算が出せないときは、3つの考え方があります。
- 目標の単価を見直す。目標CPAそのものが低すぎないか
- 手前のコンバージョンを目印にする。購入が少ないなら、カートに入れる、会員登録など、もっと多く起きる行動を目印にする
- クリック数の最大化から入る。最低の予算の要件が無いので、小さく始めて反応を見られる
どれも選べないなら、無理に始めずに検索キャンペーンを先に固めるのも手です。予算の考え方と学習の期間は、第23回で詳しく扱います。
4. 向いている商材と、向いていない商材
デマンドジェネレーションが向いているのは、見たら欲しくなるけれど、まだ検索されていない商材です。

向いている例は、次のようなものです。
- 写真や動画で良さが伝わるもの。料理、服、化粧品、インテリア、旅行など
- まだ世の中に知られていない新しい商品やサービス。名前で検索されないので、見せる場所が要る
- 買うまでに時間がかかり、比べて選ぶもの。何度か見てもらって思い出してもらう必要がある
向いていない例は、急いで探している人が相手の商材です。水漏れの修理、鍵の開錠、今日行ける病院などは、困った人が検索します。こうした商材は、検索キャンペーンで探している人に確実に出すほうが先です。
判断の目安は、「その商品を知らない人に見せて、欲しいと思ってもらえるか」です。思ってもらえる絵が作れるなら、デマンドジェネレーションの出番があります。
5. 広告はどこに出るか(チャネルを選ぶ)
デマンドジェネレーションでは、広告を出す面を「チャネル」と呼びます。チャネルは広告グループごとに選べます。
選び方は2つです。
- すべてのGoogleチャネル。YouTube、Discover、Gmail、マップ、ディスプレイネットワークの全部に出す。Googleが予算の配分を自動で決める
- 手動で選ぶ。出したいチャネルだけにチェックを入れる

Google広告ヘルプでは、ほとんどの広告主に「すべてのGoogleチャネル」を勧めています。成果を上げるための手引きのページでも、最初は全チャネルで出すことが既定になっています。全部の面を使うほうが、予算を成果の出やすいところに回しやすいからです。
手動で選ぶ場面
それでも手動で選ぶ場面はあります。
- 素材が動画しかない。画像の面で出す素材が無いなら、YouTubeに絞る
- 面ごとに訴求を変えたい。YouTubeのショートには縦長の動画、ほかの面には画像、と作り分ける
- 検証として、面ごとの成果を分けて見たい
手動で絞ると、そのぶん配信できる量は減ります。絞る理由がはっきりしているときだけにしてください。
デリケートなカテゴリは、YouTubeに限られることがある
Google広告ヘルプには、デリケートなカテゴリに当たる広告は、通常YouTubeの広告枠にだけ配信が制限され、Gmailやディスプレイネットワークには出ないと書かれています。配信がYouTubeに偏っていて、商材がデリケートなカテゴリに当たりそうなときは、このルールを疑ってください。
6. 課金の仕組みは、面と形で変わる
デマンドジェネレーションは、「クリックされたら払う」だけのキャンペーンではありません。面と広告の形で、表示で払うか、クリックで払うかが変わります。
Google広告ヘルプのよくある質問のページに書かれている内容をまとめると、次のとおりです。
- YouTubeの動画広告 → 表示された回数で払う(インプレッション単価)
- YouTubeの画像の広告 → 表示された回数で払う
- Gmail → 広告を開く最初のクリックで払う(サイトへ移る2回目のクリックは課金されない)
- Discoverの画像の広告 → クリックで払う
- Discoverの動画広告 → クリック数の最大化なら表示で払う。それ以外の入札戦略なら、クリックか、10秒以上見られたあとの操作で払う
- Discoverで、ビュースルーコンバージョンを有効にしているキャンペーン → すべての形が表示で払う
- Googleディスプレイネットワーク → 表示で払う

大事なのは、表示で払う面が多いことです。表示で払う面では、クリックされなくても費用がかかります。だから、見た瞬間に何の広告か伝わらない素材は、そのまま費用のむだになります。素材の作り方は8章で書きます。
支払いの設定そのもの(請求のタイミングや支払い方法)は、第8回で扱っています。
7. 誰に出すか(オーディエンスを決める)
検索キャンペーンではキーワードで相手を決めました。デマンドジェネレーションでは、オーディエンスで相手を決めます。オーディエンスは広告グループごとに設定します。

作成の手順のページで挙がっているのは、次の4つです。
- カスタムセグメント。検索キーワードやURLを入れて、「こういうことに関心がある人」を自分で定義する
- データセグメント。サイトに来た人、アプリを使った人、顧客リストなど、自分のデータから作る
- 類似セグメント。データセグメントの人に似た人を探す
- 興味関心とユーザー属性。Googleが用意している関心のカテゴリや、年齢、性別など
カスタムセグメントは、キーワード10から15個
迷ったら、カスタムセグメントから作ってください。自分の商品の見込み客が検索しそうな言葉を並べて、相手を定義します。
Google広告ヘルプのよくある質問のページでは、クリック数の最大化で使う場合の話として、関心や購入意向がわかる検索キーワードを10から15個使うことを勧めています。多すぎると相手がぼやけ、少なすぎると届く人が少なくなります。

類似セグメントは、デマンドジェネレーションだけの機能
類似セグメントは、Google広告の中でもデマンドジェネレーションで使える機能です。よくある質問のページでは、類似セグメントは元にしたオーディエンスに似た新しい見込み客を探すもの、と説明されています。
元になるのは、サイトで購入した人や顧客リストなどのデータセグメントです。元のリストの質が、そのまま類似セグメントの質になります。サイトに来ただけの人より、購入した人のリストを元にするほうが、狙いがはっきりします。データセグメントの作り方は、第30回と第31回で詳しく扱います。
最適化されたターゲティングは、オンのまま始める
作成の画面には、最適化されたターゲティングという設定があります。オンにすると、指定したオーディエンスの外にいても、成果につながりそうな人にGoogleが広告を広げます。
Google広告ヘルプでは、オンにすることを勧めています。注意点が1つあります。オンにすると、ユーザー属性の拡張もあわせて適用されます。つまり、年齢や性別を指定していても、その外の人に出ることがあります。

年齢や性別を必ず守りたい商材なら、ユーザー属性の拡張を指定した年齢と性別に制限できます。ただし、その場合は成果が制限されることがある、とヘルプに書かれています。
最初はオンのまま始めて、成果を見て判断するのが無難です。類似セグメントとの違いは、類似セグメントが「元のリストに似た人を探す」もので、最適化されたターゲティングが「指定の外にも広げる」ものだという点です。
8. 広告の形と素材の仕様
デマンドジェネレーションで作れる広告は、3つの形です。広告は広告グループの中で作ります。
- 動画広告。動画を1本使う広告
- イメージ広告。画像を1枚使う広告
- カルーセル広告。複数の画像を横にめくれる形で並べる広告

どの形でも、ロゴは最大5個まで入れられます。テキストは、広告見出し、長い広告見出し、説明文、ビジネス名、行動を促すフレーズなどを入れます。広告表示オプション(アセット)として使えるのは、サイトリンクです。アセットの考え方は第17回で扱っています。
商品フィード(Merchant Centerの商品データ)をつなぐと、商品の画像と価格を並べた広告も出せます。Merchant Centerは第28回で扱います。
画像の形とサイズ
Google広告ヘルプのアセットの仕様のページに書かれている画像の形は、次の4つです。
- 横長 1.91対1 → 最小 600×314、推奨 1200×628
- 正方形 1対1 → 最小 300×300、推奨 1200×1200
- 縦長 4対5 → 最小 480×600、推奨 960×1200
- 縦長 9対16 → 最小 600×1067、推奨 1080×1920(YouTubeのショート向け)
画像は1枚5MBまで、形式はJPGかPNGです。ロゴは正方形1対1で、最小144×144、150KBまでです。

3つの形(横長、正方形、縦長4対5)は、最低限そろえてください。形がそろっていないと、その形の枠に出られません。ショートにも出したいなら、9対16も用意します。
動画の形と長さ
動画は、横長16対9、正方形1対1、縦長4対5、縦長9対16の4つの形が使えます。長さは最短5秒です。10秒未満の動画は、YouTubeのインストリーム(動画の前後や途中に流れる枠)には出ません。

動画はYouTubeに上げたものを使います。手元に動画が無い場合は、作成の画面の中にある動画制作ツールで、画像と文字からテンプレートで動画を作ることもできます。
素材づくりで気をつけること
表示で払う面が多いので、最初の1秒で何の広告かが伝わる素材にしてください。
- 1枚の画像で伝えることは1つにする。商品の見た目、使ったあとの変化、使っている人、信頼の根拠など、画像ごとに役割を分ける
- 文字とロゴは真ん中に寄せる。面によって画像が切られることがある
- 動画は最初の数秒で商品を見せる。YouTubeでは飛ばされる前提で作る
- 縦長の動画を必ず1本入れる。ショートの枠はスマホの縦の画面で見られる
素材の数は、多いほど組み合わせの幅が広がります。ただし、似た素材を増やしても意味がありません。伝えることを変えた素材を増やしてください。
9. 作成の手順(6ステップ)
Google広告ヘルプの作成の手順のページでは、作成は6つのステップに分かれています。

1. 新しいキャンペーンを作成する。キャンペーン名を入れる。商品フィードを使う場合は、ここで「商品フィード キャンペーンを実施する」をオンにする 2. 広告掲載の目標を選ぶ。2章で決めた目標を選び、コンバージョン目標を選ぶ 3. キャンペーン単位のターゲティングを決める。デバイスと、地域と言語 4. 入札と予算を決める。2章と3章で決めた入札戦略と1日の予算を入れる 5. 広告グループを作る。チャネル、オーディエンス、最適化されたターゲティング 6. 広告を作る。動画広告、イメージ広告、カルーセル広告のどれかを選び、素材を入れる
ステップ3で気をつけること
デバイスは、キャンペーン単位で決めます。すべてのデバイスに出すか、パソコン、スマートフォン、タブレット、テレビ画面から選ぶかです。スマートフォンやタブレットを選ぶと、OS、機種、ネットワーク(携帯の通信事業者)まで絞れます。
地域と言語は、キャンペーン単位か広告グループ単位のどちらかで決めます。最初は広告グループ単位になっていて、言語は「すべての言語」、地域は「すべての地域」です。

ここは大事なので、3つ覚えてください。
- 公開したあとに、キャンペーン単位から広告グループ単位へは戻せない
- 両方で設定することはできない。編集できるのも、設定したのと同じ単位だけ
- 店舗からの半径で絞るなら、キャンペーン単位で設定する
地域が「すべての地域」のままだと、海外にも広告が出ます。日本だけで売るなら、必ず日本に絞ってください。地域と時間帯とデバイスの考え方は、第20回で詳しく扱います。
ステップ4とステップ5で気をつけること
予算は、1日の予算か、期間全体の合計予算かを選びます。合計予算にすると、開始日と終了日の入力が必要です。Google広告ヘルプでは、合計予算の場合は2営業日以内に公開するよう書かれています。
広告グループは、細かく分けすぎないでください。よくある質問のページでは、広告グループをまとめて数を減らすと、Googleの自動入札が使えるデータが増える、と説明されています。オーディエンスを1つずつ別の広告グループに分けると、1つあたりのデータが少なくなります。キャンペーンと広告グループの分け方は、第9回で扱っています。
公開してから配信が始まるまで
広告の審査には、少なくとも24時間かかると考えてください。公開した日に配信が始まらなくても、慌てて設定を変えないことです。審査の仕組みは第19回で扱います。
10. 実測|デマンドジェネレーションを使っていたアカウントの記録
ここからは、Google広告のヘルプではなく、実際のアカウントの記録です。
私が運用に関わっているGoogle広告のアカウントのうち、デマンドジェネレーションを使っていた4つのアカウントを、2026年9月26日にGoogle広告のAPIで集計しました。期間は2023年1月から2026年9月25日までです。アカウントの業種や金額は書きません。
4つのアカウントで、デマンドジェネレーションのキャンペーンは22本ありました。開始した月は、最も早いもので2025年9月です。

入札戦略は、アカウントごとにはっきり分かれた
22本の入札戦略の内訳は、次のとおりです。
- クリック数の最大化 12本
- 目標CPA 6本
- コンバージョン数の最大化 4本
面白いのは、1つのアカウントの中では、ほぼ同じ入札戦略にそろっていたことです。クリック数の最大化の12本は、すべて同じ1つのアカウントでした。目標CPAの6本も、別の1つのアカウントにそろっていました。アカウントの運用方針が、そのまま入札戦略に出ていたと言えます。
広告は30本すべてが動画だった
広告は30本あり、30本すべてが動画広告でした。イメージ広告とカルーセル広告は1本もありませんでした。

そして、配信が記録された3つのアカウントでは、APIの配信面の区分で、表示もクリックもコンバージョンも100%がYouTubeに入っていました。ディスプレイネットワークの区分は0でした。

ここから言えることは2つです。
1つ目は、「デマンドジェネレーションを使っている」と言っても、実態はYouTubeの動画広告として使われていることが多いということです。素材が動画しか無ければ、出られる面はそれに合わせて決まります。
2つ目は、まだ試していない面が残っているということです。4つのアカウントとも、画像の広告を1本も作っていませんでした。動画だけで成果が頭打ちになったときは、画像の素材を足してほかの面を試すのが、次の一手の候補になります。
ひとつ断っておくと、APIの配信面の区分とDiscoverやGmailの対応は、今回確認したヘルプには書かれていませんでした。「DiscoverとGmailに一切出ていなかった」とまでは言い切れません。ここで言えるのは、APIの区分ではすべてYouTubeに入っていた、というところまでです。
クリック率は、アカウントごとに大きく違った
クリック率(CTR)は、アカウントごとに次のようになりました。
- クリック数の最大化が中心のアカウント → 4.12%
- 目標CPAのアカウント → 1.23%
- コンバージョン数の最大化のアカウント(コンバージョンは0件のまま停止) → 0.76%

この数字を、入札戦略の良し悪しとして読まないでください。業種も、商品も、素材も違います。クリック数の最大化はクリックを集めるように入札するので、クリック率が高く出やすいのは自然なことです。クリック率が高くても、コンバージョンにつながっているとは限りません。
ここで見てほしいのは、同じデマンドジェネレーションでも、クリック率に5倍ほどの幅があるということです。ほかのアカウントの数字や、ネットの平均値と比べて一喜一憂するより、自分のアカウントの中で、素材を変えたときにどう動いたかを見るほうが役に立ちます。
11. 公開したあとの見方(待つことと、動かし方)
デマンドジェネレーションは、公開してから成果が安定するまでに時間がかかります。その間に設定を何度も変えると、いつまでも安定しません。
Google広告ヘルプの成果を上げるための手引きのページに書かれている、公開後のルールをまとめます。

50件たまるまで、大きく動かさない
コンバージョンが50件前後たまるまでは、入札戦略を変えないでください。作成の手順のページでも、入札戦略の変更は学習の期間が終わり、50件程度のコンバージョンがたまってから行うことを勧めています。
学習中かどうかは、管理画面の入札戦略のステータスで確認できます。「学習中」になっている間は、成果の判断もしないようにします。
入札は週に5から10%、多くても15%
目標CPAや目標ROASを動かすときは、1週間に5から10%ずつ、多くても15%までにします。大きく動かすと、学習がやり直しになることがあるからです。
予算は、使い切っているかで判断する
健全なキャンペーンは、1日の予算の80%以下を使いながら目標を達成している、とヘルプに書かれています。毎日のように予算を使い切っているなら、予算が足りずに自動入札の動きが縛られています。その場合は予算を上げます。上げるときも一度に大きく上げず、段階的に上げてください。
逆に、予算が余っているなら、予算を上げても配信は増えません。そのときは、オーディエンスや入札や素材を見直します。
コンバージョンの目標は、途中で変えない
配信中のキャンペーンでコンバージョンの目標を変えると、学習した内容が大きくリセットされます。ヘルプでは、目標を変えたいときは、新しいキャンペーンを作ることを勧めています。
変えたあとは、30から50件待つ
何かを変えたあとは、少なくとも30から50件のコンバージョンがたまってから成果を判断します。素材を差し替えた場合は、審査にもう一度24から48時間ほどかかります。

コンバージョンには、遅れて付くものがある
広告を見てすぐには買わず、数日たってから買う人がいます。直近の数日の数字が悪く見えても、あとからコンバージョンが付くことがあります。判断する期間は数週間を含めるようにしてください。
また、ビュースルーコンバージョン(広告を見ただけでクリックせず、あとでコンバージョンした人)のような浅い行動は、入札には使わない設定にしておくことがヘルプで勧められています。入札に使うのは、本当に増やしたい行動だけにします。コンバージョンの設定のしかたは第10回、GA4との連携は第12回で扱っています。
12. ディスプレイキャンペーンの統合で変わること
2026年から、ディスプレイキャンペーンはデマンドジェネレーションに統合されつつあります。これからGoogle広告で画像の広告を始める人は、ここを知っておいてください。

Google広告ヘルプに書かれている流れは、次のとおりです。
- 2026年6月 → 移行ツールの段階的な提供が始まり、対象の広告主は既存のディスプレイキャンペーンを任意で移行できる
- 今後 → 新しいキャンペーンはデマンドジェネレーションでしか作れなくなり、残りの対象キャンペーンは自動で移行される
移行ツールを使うと、履歴を引き継げる
移行のページでは、移行ツールを使うことが推奨されています。移行ツールを使うと、過去42日分までの成果の履歴を引き継いだ状態で移行でき、学習期間を1から2日程度に抑えられる、と書かれています。
注意点は3つです。
- 移行したキャンペーンは、ディスプレイキャンペーンに戻せない
- 移行したキャンペーンの名前は、元の名前の後ろに「2」が付く
- 一度に100個を超えるキャンペーンを移行することは勧められていない
使えなくなる機能と、使える機能
ディスプレイキャンペーンで使えていた機能のうち、デマンドジェネレーションでは使えないものがあります。移行のページの表では、個別クリック単価、視認範囲のインプレッション単価、コンバージョンに対するお支払いは対象外です。
一方で、コンテンツターゲット(特定のテーマのサイトやページに出す設定)は、デマンドジェネレーションでも使えます。アップロード型のHTML5広告と第三者配信の広告は、2026年後半に対応予定と書かれています。

除外の設定は、ページによって書き方が違う
ブランドを守るための除外の設定は、アカウント単位の「コンテンツの適合性」で管理します。デマンドジェネレーションの概要のページには、トピックとプレースメントの除外は、キャンペーン単位や広告グループ単位では一般提供されていない、と書かれています。一方、移行のページでは、ディスプレイネットワークでのプレースメントの除外が使える扱いになっています。
ここは提供の途中で、アカウントによって見える項目が違う可能性があります。除外を前提に始めるなら、自分のアカウントの管理画面にその項目が出ているかを先に確かめてください。
ディスプレイキャンペーンそのものの考え方は、次の第26回で扱います。
13. つまずきポイント
ほとんど配信されない
1日の予算が、目標CPAの10倍を大きく下回っていないかを見てください。予算が小さいと、1日に取れるコンバージョンが少なく、学習が進みません。目標CPAそのものが低すぎる場合も、配信が絞られます。
公開した日に配信が始まらない
審査には少なくとも24時間かかります。翌日まで待ってから判断してください。
年齢や性別を指定したのに、外の人にも出ている
最適化されたターゲティングをオンにすると、ユーザー属性の拡張もあわせて適用されます。必ず守りたいなら、ユーザー属性の拡張を指定した年齢と性別に制限します。
海外にも出ている
地域が「すべての地域」のままになっていないかを見てください。最初は広告グループ単位で「すべての地域」になっています。
YouTubeにしか出ていない
素材が動画だけになっていないかを見てください。画像の素材が無いと、画像の枠には出られません。デリケートなカテゴリに当たる商材も、YouTubeに限られることがあります。
成果が落ちたので目標を変えたら、もっと落ちた
配信中にコンバージョンの目標を変えると、学習がリセットされます。目標を変えたいときは、新しいキャンペーンを作ってください。
クリックは多いのに、コンバージョンが無い
クリック数の最大化は、クリックを集めるための入札です。コンバージョンを計測できるようになったら、コンバージョン数の最大化へ切り替えることを考えてください。広告と遷移先のページの内容がずれていないかもあわせて見ます。

「デマンドジェネレーション設計シート」には、この章のつまずきを公開前に防ぐチェック欄も入れています。地域、ユーザー属性の拡張、素材の形の確認を、作成の画面を開く前に済ませられます。
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慣れたらここまで
- 面ごとに素材を作り分ける。ショートには縦長の動画、画像の面には横長・正方形・縦長の3つの形の画像
- 画像の素材を足して、YouTube以外の面を試す
- コンバージョンが50件前後たまったら、目標CPAか目標ROASに切り替える
- 弱い素材を定期的に入れ替える。入れ替えたら30から50件待ってから判断する
突き詰めるなら
- 購入した人のリストを元に、類似セグメントを作る。元のリストの質を上げることが、相手の質を上げる近道になる
- カスタムセグメントを、訴求ごとに作り分ける。同じ商品でも、悩みから入る人と比較から入る人では、使う言葉が違う
- 売上の金額まで計測して、コンバージョン値の最大化や目標ROASに進む
- ディスプレイキャンペーンを使っているなら、移行ツールでの移行を計画する

まとめ
デマンドジェネレーションは、YouTube、Discover、Gmail、マップ、ディスプレイネットワークに、画像と動画の広告を出すキャンペーンです。BtoBの需要創出とは別物です。まだ探していない人に気づいてもらうための広告です。
- 検索には出ない。P-MAXより、面と相手を自分で選べる
- 目標と入札戦略を先に決める。計測が無いならクリック数の最大化、あるならコンバージョン数の最大化、50件前後で目標CPAか目標ROAS
- ★1日の予算は、目標CPAの10倍以上
- 課金は面と形で変わる。表示で払う面が多いので、一目で伝わる素材にする
- 相手はオーディエンスで決める。迷ったらカスタムセグメントを10から15語で
- ★最適化されたターゲティングは、ユーザー属性の拡張もあわせて適用される
- 画像は横長、正方形、縦長4対5の3つをそろえる。10秒未満の動画はインストリームに出ない
- ★地域と言語の単位は、公開後に戻せない。「すべての地域」のままにしない
- 実測では、広告30本すべてが動画で、配信はYouTubeの区分に集まっていた。画像の素材を足せば、残りの面を試せる
- ★50件前後たまるまで大きく動かさない。入札は週5から10%、目標は途中で変えない
- ディスプレイキャンペーンは統合が進んでいる。移行したら戻せない

「デマンドジェネレーション設計シート」は、入札戦略の分かれ道、目標の単価から1日の予算を出す欄、オーディエンスとチャネルを決める欄、素材の形のチェック欄、公開後に触ってよいことの早見表をまとめています。
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次のレッスン
第26回は、ディスプレイ広告です。Googleと提携しているサイトやアプリの広告枠に、画像の広告を出す方法を取り上げます。デマンドジェネレーションとの統合で何が変わるのかも、あわせて扱います。
この講座の全42回の一覧は、講座トップにまとめています。 → Google広告マスター講座トップ


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